軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

8 知恵のない蜘蛛はただの蜘蛛だ

zzz。

ふあぁー。

あーよく寝た。

寝すぎて逆にだるいくらい寝た。

やっぱ安心して寝れるっていうのは素晴らしいね。

どんくらい寝たんだろう?

前世の私の平均睡眠時間は大体4時間くらい。

寝不足の貧血でぶっ倒れて、一日中寝てた時と同じ感覚がする。

けど、蜘蛛と人間じゃ感じ方も変わってくるだろうし、正確にどんだけの時間が経ってるのかはわからないなー。

うーん、時計が欲しい。

そもそも私が生まれてからどのくらいの時間が経ってるんだろう?

体感時間は2、3日ってところなんだけど。

ダンジョンの中じゃ、昼も夜もわからない。

この世界の暦もわからないし、一日が24時間って保証もないんだよね。

一年は地球が太陽の周りを一周する期間だし、一日は地球が自転して一回転する時間だしね。

この世界が地球と全く同じ大きさ、同じ公転周期を持ってるっていうのは、ちょっと確率的にありえない気がする。

まあ、それも物理的な解釈の話で、オカルトチックな並行世界だとか、宇宙とは別の法則で動く異世界だとか、ここがそういう世界だって言うんならありえなくはない。

確かめるすべはないけどねー。

いつかはこのダンジョンから出て行く日が来るかもしれないけど、今はこの怠惰生活を満喫しよう。

まあ、ただゴロゴロしてるだけなのもアレなんで、今まで放りっぱなしにしてたいろんな謎についてちょっと考えてみよう。

まず初めに、なんで私死んだ?

いや、これも考えてみたら、死んだって私が思ってるだけなんだよね。

勝手に死んで転生して蜘蛛になったって、そう思い込んでるけど、私自分が死んだ記憶がないし。

んー?

一番最後の記憶は、確か古文の授業だったと思う。

岡ちゃんって言われてる先生が、古文の朗読をしてる最中だったかな?

私はうつらうつら居眠りをしていて、突然ものすごい激痛がして、そのあとの記憶がない。

もし死んだのだとしたら、その時の謎の激痛が原因なんだろうけど、その激痛の原因すら謎だからなー。

一番有力なのは、やっぱりその時の激痛で死んで、蜘蛛に転生したってパターン。

あと考えられるパターンは、実は死んでなくて、魂だけ蜘蛛に憑依しちゃったとか。

私の本来の体は病院のベッドで植物状態になってたり。

もっと突拍子もない考えだと、私は実は私の記憶を持ってるだけの赤の他人とか。

本物の私は今も普通に授業を受けてるのかもしれない。

うーん。

考え出したらきりが無い。

私が実は私じゃないとか、どうやって証明するんだって話だし。

私は私であるが故に私なのだ、とか訳わからんことを言ってみる。

大体転生なんて突拍子もないことが、一番有力なパターンて時点で常識かなぐり捨ててるよね。

とりあえず、この件は保留。

我思う、故に我あり、の精神で、私は私であると仮定して生きていこう。

次、私の今の体について。

蜘蛛の体は割と便利だ。

8本の足も自在に動かせるし、人間だった時より軽快に動けるくらいだ。

壁面にも登れるし、無茶をすれば天井だって歩くことができる。

難点を挙げるとすれば、手がないことと、後ろを見るとき、体ごと反転しないといけないことくらいか。

手がないっていうのは結構不便だ。

一応、一番前の足で手の代用はできるけど、どうしても人間の手ほど精密な動きはできない。

なんせ私の足の先は鋭利な1本の爪状になっているんだから当然だ。

そんな危なっかしいもので、人間の指の代わりができるはずがない。

不便だけど、今のところ何とかなっているから、仕方がないと割り切るしかない。

でだ、大きな問題はもう一個の方なのだ。

後ろが見えない。

これは結構危ない。

蜘蛛の首って、胴体とくっついちゃってるせいで、後ろを振り向くという機能がないのだ。

一応左右は目が多いおかげか、かなり広い範囲が見える。

けど、後ろが見えないってことは、背後からの奇襲に弱いってことだ。

その対策に、糸を使おうと思っている。

体の構造上、後ろを視覚で把握するのが不可能ならば、それ以外の感覚に頼るしかない。

具体的には、背後に糸を常に貼っておいて、その感触で何があるのか把握できるようにするのだ。

まあ、言うほど簡単じゃないだろうけどねー。

これは後で要練習ということで。

マイホームに引きこもっていれば、早々奇襲を受けることなんてないだろうけど、備えあれば憂いなしってね。

最後、スキルについて。

まだ細かい疑問点はいっぱいあるけど、とりあえず大きな疑問はこれで最後。

スキルってなんぞや?

ゲーム的な考えで言うのなら、スキルとはすなわち才能、もしくは技みたいなもんだ。

スキルがあればできることが広がる。

ただ、この世界でスキルがどんな扱いなのかはわからないし、それは考えない方向で行こう。

重要なのは私が持ってるスキルについてと、私が今後獲得できるかもしれないスキルについて。

今持ってるスキルは、確定してるので、『鑑定LV1』『酸耐性LV2』『毒耐性LV2』の3つ。

鑑定はスキルポイントを支払って獲得した。

このスキルポイントも謎だ。

鑑定を取るのに全部のポイントを使っちゃったけど、このポイントの増やし方がわからない。

ゲームなんかだと、レベルアップでもらえたりするけど、この世界にレベルって概念があるのかもわからないし、期待できない。

あとは時間経過で増えたり、何かを摂取することで増えたりするかもしれない。

最悪、増えないってこともあり得る。

スキルポイントは生まれ持った魂のポイントで、一度使ったらなくなっちゃう的な。

それだとかなりショックが大きいなー。

そうじゃないといいなー。