軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

52 糸しさと切なさと心強さと

コソコソ。

右、ヨシ!

左、ヨシ!

前方、標的ヨシ!

『エルローコホコロ LV7

HP:67/89(緑)

MP:21/21(青)

SP:79/79(黄)

:54/85(赤)

ステータスの鑑定に失敗しました』

前方にはでっかいダンゴムシみたいな魔物。

体はダンゴムシなのに、頭はネズミっぽい。

哺乳類なのか、昆虫類なのかはっきりしてほしい。

ダンゴムシってことは、丸まられると防御力が高くなりそう。

前に亀の魔物とやりあった時も、甲羅に引っ込まれて苦労したしね。

まあ、私の糸にかかれば、丸まる前に雁字搦めですよ。

というわけで、投網スタンバイ。

てりゃ!

ヒットー!

あとは操糸でちょちょいのちょいと。

《条件を満たしました。称号『糸使い』を獲得しました》

《称号『糸使い』の効果により、スキル『操糸LV1』『斬糸LV1』を獲得しました》

《『操糸LV1』が『操糸LV5』に統合されました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『操糸LV5』が『操糸LV6』になりました》

お?

おお?

称号ゲットキター!

糸使いとな?

あの厨二心をくすぐる糸使いとな?

ちょっとダンゴムシ、お前に構ってる暇なくなったから手早く済ますよ?

いいね?

ダメ?

ダメじゃなーい。

というわけで毒牙毒牙。

岩陰に運び込んで、と。

さて、では早速今回ゲットした称号について検証してみましょう。

糸使い、獲得条件は、やっぱ糸を使いまくるってことかな?

んー?

それならもうちょい早く称号ゲットできててもおかしくなさそうなんだけどなー。

また別の条件なのかもしれない。

まあ、もうゲットできた称号の獲得条件考えても仕方ないよね。

重要なのはその称号が使えるかどうかってことですよ。

そして、確信がある。

今回の称号は、使える。

いや、まあ、既に操糸のレベル上げてくれたから結果は出してくれちゃってんだけどね。

操糸は日に日に重要度が増していってるし、レベルが上がるのは非常に嬉しい。

これだけでもこの称号の価値はあったってもんよ。

けど、私の興味はもう一つのスキルに釘付け。

斬糸。

もうね、聞くからに厨二心をくすぐる単語だと思わない?

これ要はあれでしょ?

糸で敵をスパッとかできるあれでしょ?

ば、馬鹿な!

見えない斬撃だと!?

なんだ!?

何に切られているんだ!?

く、こ、これは、糸だと!?

こんな展開もできるってことでしょ?

うは。

いいわー。

これいいわー。

まあ、そういう厨二心とは別にしてもこれ、相当戦力アップになりそう。

今まで私の攻撃手段って言ったら毒牙だけだったしね。

それがようやく、もう一つ攻撃手段が増えるってことだもん。

それも、私のメインウエポンたる糸が、その武器になるっていうからもうね。

おっと、まだ鑑定もしてないし、実験もしてない状況でぬか喜びしちゃダメだよね。

まずは鑑定っと。

『斬糸:糸に斬属性を付与する』

うむ。

名前の通りの効果やね。

これで突拍子もない効果だったらどうしようかと思ったわ。

とりあえず懸念は一個消えた。

後の問題は、蜘蛛糸に適用できるのかってことと、ちゃんと発動できるのかってことと、レベル1でどの程度の効果があるのかってことかな。

ここで役立つのがさっき仕留めたダンゴムシですよ!

さあ、実験台になってちょーだい。

まずは蜘蛛糸を出す。

最初は強度マックスにして、粘着性ゼロにする。

ダンゴムシの死骸に向けて糸を振りつつ、斬糸と念じる。

お、感覚的にちゃんと発動したっぽいな。

糸はダンゴムシの体に弾かれる。

むう。

やっぱレベル1だとそんな威力は出ないか。

あ、でもちょっと傷は付いてるな。

レベル1でこれなら十分じゃない?

今までのスキルのレベル1なんて、あってないようなのがほとんどだったんだし、レベル1で硬そうなダンゴムシに傷がつけられるってかなり性能いい気がする。

そういえば、消費はどうだろう?

MPとか減ってるかな?

MPは、減ってない。

SPは、過食の影響で減らないからあんまわかんないな。

けど、毒合成とかのこと考えると、多分消費無しってことはないと思う。

となると、赤ゲージが1も減らないけど、内部的にはちょっと減ってるんだと思う。

普通だったらどれくらい消費するのかわかんないけど、コスパは悪くなさそう。

それに、今後も過食で赤のスタミナゲージは長持ちするんだし、いいんじゃないかな。

次は糸に粘着性を持たせてみる。

さっきと同じようにダンゴムシを攻撃。

ん?

んー。

発動はちゃんとしたけど、傷はついてないなー。

まあ、ここら辺予想通りだったりする。

蜘蛛糸はいろいろ実験して、カスタマイズできる項目にも限度があるってことがわかってた。

例えば粘着性を最大にすると、弾力性を持たせるのが難しくなる。

できなくはないけど、効果は小さくなる。

一度に糸に付加できる性質には限界値があって、それを各性質で振り分けるみたいな感じだ。

だから、今回糸に粘着性を持たせたことによって、斬属性の付与が最大までできなかったんだと思う。

粘着性と斬撃性の両立は、できないこともないけど、あんまり現実的じゃなさそうかな。

けど、斬糸は相当いいスキルだ。

私との相性が抜群にいい。

これはスキルレベルをとっとと上げるべきだね。

そういうわけでダンゴムシくん。

既に死んでしまった君に更に鞭打つようだけど、スキルレベル上げに付き合ってくれたまえ。

私はダンゴムシに斬糸を叩き込み続けた。