軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

46 世の中弱肉強食、かと思いきや…

コソコソ移動。

他の魔物の乱闘なんかを観戦しつつ、巻き込まれたらたまらねー、ということでそそくさ逃げる。

いやー、下層パないわ。

めっちゃつえー思ってた蟷螂、あれここじゃ良くて中堅くらいだわ。

蟷螂を食い殺した大蜘蛛とか、翼の生えたライオンとか、蛇の進化系だと思われる大蛇とか、とんでもモンスターの宝庫ですよ。

ないわー。

私はそんな連中に見つからないように隠れながら移動してたわけだけど、今のところ発見もされずになんとかやり過ごせてる。

まあ、見つかったらアウトだしね。

で、寝るのも我慢して移動してたんだけど、さすがにぶっ続けでずっと移動してたせいか、減らなかった赤の総スタミナゲージが減りだした。

なんで減らなくなったのかは結局わかんなかったけど、ついにタイムリミットが表示されちゃったわけだ。

この38という数値が尽きる前に、食事をしないといけない。

とはいえ、私の仕留められそうな標的はいなかったので、その日はもう寝ることにした。

ぶっちゃけ言おう。

ほとんど寝れなかった。

そりゃそうよ。

今まで寝るときは安全確保のために、簡易ホーム作ってその中で寝てたんだもんよ。

けど、こんなモンスターハウスで安全に寝ようと思ったら、簡易だけじゃ物足りない。

ガッツリホームを作るくらいしないといけないんだけど、それやっちゃうと目立つわけで、私としてはとっても目立ちたくないわけで。

何が言いたいのかっていうと、地龍怖い。

ガッツリ巣なんか作ったら地龍が追っかけてくるかもしれんでしょ。

え、被害妄想?

知らんがな。

地龍怖い、マジ怖い。

ヤダヤダ。

というわけで、私は生まれて初めてホームを作らないで寝たわけだ。

めっちゃ不安だったわ。

ホームの外で寝るのがこんなに心細いものだったとは、やってみて初めて知ったわ。

ウトウトして、物音でビクッと起きて、またウトウトして。

そんな感じで全然安眠できなかった。

次回からは気休めでもいいから簡易ホーム作るべきかもしれない。

まだ耐えられるけど、このまま寝不足が続いたらいつかやらかしそうな気がする。

まあ、前世では平均睡眠時間4時間だったし、多少は大丈夫だと思うけどね。

まあ、睡眠はそんな感じだったんだけど、問題は食事だ。

私はこのモンスターハウスの中で、なんとか食事をゲットしなければならない。

と、意気込んだけど、食事に関しては割とあっさりどうにかなりそう。

というのも、結構簡単に手に入る食料があるんだよね。

不思議には思ってたのよ。

ここの魔物の強さはおかしい。

けど、そんなおかしい強さの魔物に混じって、上層で見たような割と弱めの魔物もいたりするのだ。

蛇もそのうちの1種だし。

蛇を弱いって言う日が来るとは思わなかったわー。

まあ、そんなわけで、そういう弱い魔物はいったい何を食ってんだと気になったわけよ。

だって、弱けりゃ食われるだけで食うことはできない。

弱肉強食の世界ってそういうもんだし。

今までのこのダンジョンの傾向はまさにそれだったし。

ところがこいつらは割とちょろちょろいるんだな、これが。

蜂はこういう弱い魔物をメインのターゲットにしてたんだね。

で、そういう弱い魔物を観察した結果、そいつらにはある共通点があることがわかった。

皆毒持ちだった。

目から鱗とはこのことだね。

私なんか生まれつき毒耐性持ってて、そこらへん気にせず食べちゃってたけど、普通毒物は食べないよね。

こいつらは弱いけど、毒持ちだから毒耐性がある魔物以外は進んで食べようとしないんだ。

となると、私ももし見つかっても、そういう理由で見逃してもらえるかもしれない。

といっても、やっぱ見つからないに越したことはないから、このままスニーキングするけどね。

で、弱い魔物が何を食べてるのかというと、二つのものを主食にしてることがわかった。

一つは他の弱い魔物。

これがメインだね。

弱い奴は弱い奴同士でやり合うわけだ。

私も周りに強い魔物がいなくて、チャンスがあったら奇襲で仕留めてみようかと思う。

もう一つ、これこそが弱い魔物が最終的にどうしてもやむを得ず食べるもの。

『エルローゲーレイシュー LV3 ステータスの鑑定に失敗しました』

そいつの姿は、平べったい黒い虫だ。

ただ、イメージ的には虫というか、タニシっぽい。

そいつらは迷宮の壁に張り付いて、ゆっくり這うように移動している。

その姿がすごくタニシっぽい。

タニシ虫と呼ぼう。

そのタニシ虫は、この下層にいっぱいいる。

壁を見れば視界に1匹くらいは入る。

それくらいいっぱいいる。

こんなにいっぱいいてなんで魔物の皆さんは食わないんだろう、と、こいつを食ったことがなかった私は浅はかにもそんなことを思ってしまったわけだ。

そう、浅はかだった。

私はもっと覚悟を決めてからこいつと相対しなければならなかった。

悔やんでも悔やみきれない。

こいつを食うのは本当に最後の手段なのだと、食ってしまってから気づいた。

そう、私はこいつを食った。

食ってしまった。

壁から糸で引っペがし、毒牙であっさり止めをさせてしまったが故に、こいつの真の恐ろしさを知らなかった。

いただきます、と、呑気に宣った過去の自分を戒めたい。

ありえないくらい不味かった。

もうね、あれはこの世の味じゃない。

蜘蛛に生まれ変わってからというもの、いろんなゲテモノを食べてきた私だけど、あれはない。

あまりの不味さにHPが減るっていう事態になったくらいだもんよ。

あれは断じて食料じゃない。

何故か腐蝕耐性が上がったりもしたし、常識で考えていいもんじゃなかった。

お残しはしないという信念がなければ、絶対に食べきろうとは思わなかった。

そういうわけで、食料は手に入れようと思えばすぐ手に入る。

とんでもない苦痛が伴うけど。

まあ、飢えて死ぬのと、死ぬほど不味いもの食べるのと、どっちがより嫌かって言ったら実際死ぬほうが嫌だしね。

本当にどうしようもなくなったらまたタニシ虫を食べよう。

…なるべくそうならないことを祈るけど。