軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

275 人魔大戦終結

私が転移で戻った時には、戦況はほぼ決まっていた。

勇者とその仲間を失い、勢いを失った人族軍。

対するのは、それまで第七軍の後ろに控えていた、無傷の第十軍。

しかも、第十軍は一人一人が私の手によって鍛え上げられた精鋭。

勇者を失って士気の落ちた人族軍に、第十軍を止める力はない。

「おかえりなさいませ」

指揮をしていたワルドくんが出迎えてくれる。

さすが、元、イヤ今もだけど、名門貴族出の坊ちゃん。

部隊の指揮もなんのその。

伊達にフェルミナちゃんの婚約者だったわけじゃないね。

しかし、いかんせん鍛える期間はフェルミナちゃんよりもだいぶ短かったから、ステータスでは随分後れを取ってしまったなあ。

それでも他の第十軍一般兵と同じくらいにはなってるんだから、吸血鬼の底上げと元からの才能というのは大きいってことね。

まあ、とは言えもう一人の吸血鬼の先輩はかなり先に行っちゃってるから、ワルドくんは苦労しそうだけど。

分体越しに他の戦場の様子を確認してみれば、第二軍のところは砦が猿に占拠され、第三軍のところは人族が砦を放棄して撤退を開始。

第四軍はメラが撤退を指示し、後退中。

第五軍もどうやら撤退を開始したみたい。

第六軍も死んだショタの代わりに、副軍団長が撤退を指示したみたい。

第八軍は、鬼くんがやりすぎて殲滅完了って感じ。

第一軍は私が召喚したクイーンタラテクトによって、相手の砦もろとも完全に崩壊させた。

すべての戦場が終結しつつあるといっていい。

ここも、白兵戦は決着した。

勇者に引っ掻き回された第七軍も、その勇者がいなくなったことで立て直して反撃。

第十軍と連携して、砦の外に出ていた人族軍はほぼ掃討完了。

あとは砦で篭城戦をしている連中だけど、勇者を失った以上、長くは持たないだろう。

戦力的にも精神的にも。

最終的に、魔族が勝利したのがここを合わせて四箇所。

人族の勝利したのが三箇所。

両者全滅で引き分けが一箇所か。

そう聞くとかなり接戦だったように思えるけど、総合的な被害の大きさは人族の方が多いかな。

勝利したところでもかなりの損害は出してるし。

ただ、魔族の人口が少ないことを考えると、魔族の受けた被害もバカにできない。

私や鬼くんなんかのイレギュラーを除けば、魔族も人族もどっこいどっこいのダメージを受けたんじゃないかな。

それ自体は計画どおり。

第二軍のおっぱい星人が予想外の手で完全勝利したりもしたけど、想定外と言うほどではない。

計画が狂ったのは、やっぱりアーグナーを殺す羽目になったことか。

戦争するんだし、アーグナーが討ち死にする可能性も考えなかったわけではない。

けど、まさか私の手で使い潰すようなマネをしなければならないとは思わなかった。

計画を早める必要が出てきた。

予定ではアーグナーとバルトの二人に魔族を取りまとめさせるつもりだったけど、その片割れが欠けた今、魔族をまとめ直そうと思ったらかなりの時間がかかる。

傷ついた軍の再編にも時間がかかる。

本当なら人族の反撃を警戒して、防衛できるだけの編成が終了してからエルフの里を攻めるつもりだったけど、そんな悠長なことは言っていられないかも。

取り急ぎ、エルフの里に侵攻できる戦力だけ再編して、防衛の方は多少疎かになっても仕方ないと考えるべきか。

新しく勇者になったと思われる山田くんの対処も考えなきゃならない。

間違っても魔王と引き合わせないようにしなきゃ。

あそこの王国で暗躍してるポティマスを潰す作業と並行して、夏目くんと妹ちゃんに行動してもらおう。

夏目くんは色欲と強欲の七大罪スキルを取得した。

そこから自分自身で密かに動き、力を蓄えようとしている。

少しこっちの都合がいいように手綱を握ってやれば、うまく動いてくれるだろう。

その手綱の役割を、妹ちゃんにやらせるか。

神言教にも一度顔を出さないといけないな。

新勇者のことを説明しなきゃならないし、もしかしたらそれで協力してもらうことになるかもしれない。

そうでなくても、この戦争が終わったらエルフの里に攻め込むって約束してたんだから、その詳細な打ち合わせをしなきゃならない。

魔族軍を人族領域にあるエルフの里に派遣するには、どうしたって神言教の協力は不可欠なんだから。

やろうと思えば私の転移でも送り込むことはできるけど、かなり大量のエネルギーを消費しなきゃならないから、できるならばやりたくない。

あ、エルフと言えば。

吸血っ子とフェルミナちゃんが回収したサイボーグポティボディの解析もしなきゃ。

機械なんて私の専門外だけど、どうせ魔術込みの超科学でできてんでしょ?

だったら少しくらいなら解析もできるはず。

どんな魔術が施されてるのか見れば、それがどれくらいやばい代物なのかがわかるってもんよ。

吸血っ子との戦闘シーンで大体の脅威は知れてるけどね。

問題があるとすれば、その超科学兵器をエルフがどんだけ所持してるのか見当がつかないってことか。

こればっかりは実際にぶつかってみなければわかんないな。

まあ、魔王もいるし、私も参戦すれば負けるってことはないだろうけど。

あとは、システム周りの見直しをしなきゃならない。

まさか女神が介入してくるなんて想定してなかった。

今後、システムを崩壊させるにあたって、また女神が介入してきて計画が狂うかもしれない。

そうさせないためにも、何かしら対策を施しておかないといけないだろう。

残念ながらまだその具体的な方策が思い浮かばないけど。

システムの核である女神の介入を防ぐなんて、できるのか?

でも、やらなきゃならないよな。

クッソ。

ホントやってくれたわ。

ああ、やることが多い。

多すぎるわ!

なんで、こんな忙しいの?

それもこれも全部あのクソ女神のせいだ!

魔王と黒の前では絶対言わないけどさあ。

ふう、なんかご褒美でもなければやってられんわー。

後で魔王に甘味でもゆすっておくか。

とりあえず、砦の攻略はワルドくんに丸投げしよう。

そうしよう。