軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

244 ヤンデレ妹に愛されすぎて話が通じない

うーん。

口説くといっても、コミュ能力皆無の私に、果たしてこの妹ちゃんとまともな会話を成立させることができるのか?

ぶっちゃけ自信ないぞ?

それに、この妹ちゃんも、普段の監視を見てる限りだと、私ほどじゃないにせよコミュ能力低そうだし。

というか、ブラコンでヤンデレだし。

普通の人でもコミュニケーション成立させる難易度高くね?

それを私にせよと?

ムリ臭くね?

と、悩むこと百分の一秒。

妹ちゃんが行動に移った。

ドロー! 魔法カード発動!

……何となく言ってみたかっただけ。

妹ちゃんが魔法を発動させる。

んん?

これ、毒魔法か。

しかも、結構レベル高くね?

完全に殺す気できたよね?

毒の霧が部屋に充満する。

まあ、私にその程度の魔法が通用するわけもないんだけど。

「ひゅーっ!」

あ、やべ。

夏目くんがなんかちょっと普通だと出ない呼吸音してる。

死ぬ死ぬ。

いつかは使い捨てるけど、今死なれるのは困る。

魔法の構築に介入して、分解。

毒魔法はシステム由来の完全なオリジナル魔術だけど、分解することくらいなら私にもできる。

私自身で使うことはできないけど。

前まで使えていたものが使えないっていうのは、変な感覚だわ。

ちょっと懐かしくなっちゃったじゃないか。

「ひゅっ、ひゅっ!」

おおう、死ぬ死ぬ。

陸に上がった鯉みたいに口をパクパクさせて死にかけてる夏目くんに治療を施す。

してる間に妹ちゃんが短刀片手に突っ込んできた。

やばいよー。

この子殺意高すぎんよー。

まあ、その刃が私に到達することはないがな。

「えっ!?」

妹ちゃんの体が不自然な感じに静止する。

はい、蜘蛛の巣にご招待。

妹ちゃんは私の目の前に張られた蜘蛛の糸に絡め取られ、身動き一つできない状態になった。

捕獲完了。

と、思ったらこの子、意外とやるわ。

体が動かないことを瞬時に悟った上、それが目に見えないほどの細い糸で拘束されているからだって見破ったっぽい。

妹ちゃんの体から冷気が迸る。

氷魔法まで使えるのかい。

私の糸を凍らせて、砕いて拘束を解除しようって魂胆かな。

残念。

神化前だったらいざ知らず、今の私の糸をどうにかできるのなんか黒以外にはこの世界にいない。

その黒も現在異空間に半封印中。

よって、私の糸から抜け出すことはできない。

神化前の糸だったら、氷には弱かったんだけどねー。

ふふふ。

今の私の糸をただの糸と思うことなかれ。

私イコール糸と毒ってくらい、糸は私にとって大事なアイデンティティー。

その私が、糸の改良を怠ることなんかないのですよ。

現在の糸は既に半分物理の領域を超えて、糸そのものが半異界化した、半物質半空間という代物になっているのだ。

それだけ聞いてもよくわからんと思うけど、要は糸型の超小規模世界を構築してるようなもん。

この糸を破壊するには空間破壊の力を使わないと、単純な物理と魔術の力だけじゃムリ。

理論上単純な力だけでも破壊は可能だけど、それこそスーパーな野菜星人クラスの物理攻撃力でもなければムリでしょ。

部屋の気温がグングン下がっていく中、それでも全く凍りつかない私の糸。

このまま続けても糸を凍らせるのは不可能だと判断したのか、妹ちゃんは標的を私の方に変えた。

氷の小さな槍が妹ちゃんの目の前に形成され、射出される。

ちなみに、私と妹ちゃんの位置は1メートルあるかないかの結構な至近距離。

普通、この距離で魔法なんかブッパされたら避けきれない。

普通ならね。

「なっ!?」

妹ちゃんが驚く。

私がしたことといえば、目を開いただけ。

それだけで、高速で飛んでくる氷の槍が、力なく砕け散った。

どうも、邪眼に関してはやりすぎたかもしれない。

強力にするように分体が改良を続けた結果、いろいろな機能がこれでもかと詰め込まれてしまっている。

その一つ、視界に入った攻撃の自動迎撃。

引斥の邪眼の応用で組み込まれたこの機能、視界に入った攻撃は私の意思に関係なく、自動的に斥力によって排除される。

しかも、私の視界って透視の応用で死角なし。

つまり、どこから来ても迎撃可能。

これ、攻撃判定が誤爆した日には、恐ろしい被害が出そう。

魔王がスキンシップで突撃してきたのをぶっ飛ばすとか。

まあ、目を閉じてる間は意図的に機能をオフにしてるから大丈夫だけど。

「ひっ!?」

おっと。

機能その二の恐怖喚起が効いちゃったか。

失敬失敬。

まだ人生経験浅い妹ちゃんに、私の目はインパクトが強すぎるね。

あれでも魔族のエリートであるアーグナーでも屈服した恐怖。

子供にはきついよねー。

あーあ。

やっちゃった。

まあ、この部屋、夏目くんのだし、掃除するの夏目くんだし、いっか。

吸血っ子の時もそうだったけど、優しい私はみなかったことにしてあげよう。

そうしよう。

あ、夏目くん、生きてる?

凍死してない?

私の足元付近に転がっている体を、軽く足蹴にする。

一応うめき声らしきものをあげたから生きてる。

うん、死ななきゃ安い。

妹ちゃんは糸で拘束されてるから動くに動けず、イヤイヤするみたいに首を小刻みに揺らしてる。

あー、これ、完全にトラウマ刻み込んじゃったかな?

まあ、それならそれでいっか。

口で説明するよりも、恐怖で言うこと聞かせたほうが手っ取り早い。

特にこういう口よりもまず手が出るやつは。

イヤ、ホントこの子どうなの?

いきなり殺しに来るとか。

あれか?

私がターゲットの夏目くんをかばったからか?

やめてほしいわー。

山田くん、君の妹ちゃんは君が思っているよりもずっと過激でやばいぞ。

将来刺されないように気をつけろよ?

イヤ、割とマジで。