軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

239 それぞれの学園生活

先生含む数人の転生者が、人族の学園に通い始めた。

驚いたことに、この前先生が会った転生者2人の他に、もう2人転生者が同じ学園に通うようだ。

夏目くんと長谷部さん。

長谷部さんに関しては、失礼かもだけどあんま印象に残ってない。

特別影が薄いわけでもないけど、目立つわけでもない。

なんというか、普通?

そんな感じの娘だった気がする。

イヤ、ホント覚えてないのよ。

ごめん。

けど、転生した長谷部さんの印象は、そんな前世とは打って変わって強烈だった。

まず、美人。

おぼろげな記憶では、前世は特別美人だった印象はなくて、ちょっと幼さの残る感じの愛嬌のある顔だった気がするんだけど、今世では間違いなく美人。

まだ子供のうちから将来が透けて見えるような整った顔立ちをしている。

まあ、それ言ったら転生者って結構な頻度で美男美女が多いんだけどね。

Dのプレゼントなのかなんなのか。

そんでもって、中身はもっと強烈に変わってた。

「神言とはその名のとおり、神様のお言葉。神様のお告げそのもの! だから、そのお声を少しでも多く聞くために、あたしたちはレベルを上げて、スキルを鍛えていかないといけないの! だってそうしないと神様のお言葉が聞けないじゃない!」

うわあ。

ないわー。

どうしてこうなった?

長谷部さんに関しては私ってその存在を把握してなかったんだよねー。

どうも神言教が巧妙に隠してたっぽいけど。

同じように隠してた荻原くんにはちょくちょく接触することがあったから把握できたけど。

あと神言教が抱えてる転生者は、草間くんか。

うーん。

今まで後回しにしてきたけど、神言教にも一度接触しとかないとなー。

ポティマスみたいな例もあるし、場合によっては厄介な敵になりかねない。

どういう意図を持って転生者を囲ってるのか。

そんでもって、その一人をあえてエルフの里に送りつけた理由はなんなのか。

神言教がどこを目指して活動しているのか。

知る必要がある。

ただ、長谷部さんに関しては放置でいいかな。

なんかこの娘、半分イっちゃってるし。

神言教に都合のいい感じに洗脳されちゃってるとも言えるけど、どうも密命とかそういうのを預かってるわけじゃなさそう。

これまでの監視で怪しい行動は一切してないし。

監視は続行するけど、そこまで警戒する必要はないかな。

問題があるとすれば、夏目くんの方か。

夏目くんは長谷部さんとは違って、かなり印象に残っている。

悪い意味で。

まあ、一言で言うとガキ大将みたいなやつだった。

高校生にもなって、○ャイアンみたいなことばっかやってた。

あと、私のこと叩き潰そうとしたやつでもある。

蜘蛛としての私の記憶には、夏目くんがその相手だというのは残っていない。

誰かに殺されそうになったという程度の認識しかない。

けど、それを若葉姫色の記憶が補完している。

一匹の蜘蛛を叩き潰そうとしている、夏目くんの姿を覚えている。

それを静止する、先生の姿も。

その時のことを恨んでるか。

そりゃね。

未遂とは言え殺されかけたわけだし。

蜘蛛としての記憶なんかほとんど残ってないけど、その時に感じた恐怖と、助けられた感謝だけは今でも忘れていない。

どうにかして夏目くんに嫌がらせできないかなー?

殺すのが一番手っ取り早くてスッキリするわけだけど、それやっちゃうと先生が悲しむだろうし。

先生が大島くんと話していた時のことを思い出す。

死んだ生徒の話をした時の先生の顔は、表情が抜けきっていた。

けど、私は知っている。

寝てる時に、泣きながら目を覚ますことがあるのを。

「ごめんなさい」と、小声で震えながらうずくまる姿を。

死んだ生徒は4人。

内1人はピンピンしてるから、実質3人。

この世界の過酷さは私がよく知っている。

そんな世界に日本のただの高校生が赤ん坊になって生まれ変わって、たった3人に犠牲者を抑えた。

きっと、私が把握する前から、相当危険な橋を渡り続け、無茶をし続けてきたんだと思う。

私としては十分すぎる成果だと思う。

けど、先生自身はそう思っていない。

死んだ3人も、救えたんじゃないかといつも気にしている。

そんなはずないのにね。

人一人にできることなんてたかがしれてる。

神ですら万能ではないんだから。

全てを救えると思うのは、傲慢以外の何者でもない。

先生は誇っていいと思う。

でも、それができないからこそ、先生は先生なんだろうなー。

本当に。

先生にしろ、魔王にしろ黒にしろ、全てをハッピーエンドで終わらそうとするのはムリなんだよ。

もう、大団円でなんて終われない。

全てを救うには、世の中クズが多すぎる。

ポティマスや、夏目くんみたいな、ね。

夏目くんには早い段階から目をつけていた。

生まれながらの天才とか言われてたし、転生者なんじゃないかって。

そしたら案の定。

それが夏目くんだっていうのを知ったのは先生たちと合流した時だけど。

予想はしてた。

だって、夏目くん中身が前世と変わってないんだもん。

イヤ、前世より酷くなったか。

王子なんて身分に生まれて、生まれながらの天才と持て囃されて、事実子供ながらに強い力を持っちゃってて。

はい。

調子乗ってます。

もう、天狗。

鼻伸びきって天元突破してますがな。

その鼻をポッキリ折るのは簡単なんだけど、それは私の仕事じゃないか。

見ててイライラしてくるけど、あんま介入すべきじゃない。

学園っていう隔離された空間にようやく転生者がまとまったんだから。

ここで私が下手な行動を起こして感づかれたら、ポティマスやあいつが介入してくることもありえる。

それはマズイ。

特に、あいつ、山田くんの兄、勇者ユリウスの介入は避けたい。