軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

223 旅の終わり

私たちの旅の目的地は魔王城である。

そう聞くと勇者御一行の旅路に聞こえなくもないけど、残念、魔王一行でした。

思うに、魔王城飛び出してエンカウントしに来る魔王とか、なにそのクソゲーって思うよね。

魔王は魔王城にいろよ!

魔王いなかったら名称詐欺じゃん!

しかも魔王城飛び出した理由が勇者倒すためじゃなくて、私倒すためとかなんでやねん!

そんなこと考えてたらなんとなくイラッとしてきたので、魔王を軽く殴っておいた。

魔王、涙目になって頭抑えつつ、???状態の顔してた。

なんでこんな話をし始めたのかというと、その魔王城に到着したから。

それすなわち、この旅の終わりを意味する。

魔王城は結構大きな城だった。

某国民的RPGのラストダンジョンみたいな雰囲気はなく、どっちかというとネズミが支配する夢の国のお城みたい。

当然のごとく、城がいきなりデーンとあるわけじゃなくて、城下町が周りに広がっている。

というか、外からだと城下町しかみえない。

千里眼を発動させないと、その存在自体見ることができない。

それだけ城下町は広い。

私がこの旅で見てきた街の中で、ダントツで広い。

城下町をブラブラ観光するだけで何日も潰せそうな勢いだ。

そんな城下町に入っても、私たちは徒歩で進んでいる。

魔王の凱旋だっていうのに、それに気づく町人はいない。

お迎えが来ることもない。

魔王、もしかしなくても部下に慕われてないんじゃね?

そりゃ、一人飛び出しても捜索されないようなやつだしなー。

魔族領に入っても尋ね人魔王、なんて文言はなかったし。

ちょっと可哀想な目で魔王を見てあげたら、???状態の顔で見返された。

で、城下町を歩き続け、魔王城までようやくたどり着く。

が、魔王は城には向かわず、その近くにある大きな屋敷へと足を運んだ。

そして、その屋敷の門番に話しかけ、中に入れてもらう。

「私が魔王だっていうのを知ってるのはごく一部だからねー。このまま城に行っても門前払いされちゃう」

とのこと。

魔王なのに、魔王城に入れないとはこれ如何に?

訪れた屋敷は魔族の有力者の本邸らしく、魔王の正体を知っている数少ない人物らしい。

魔王は私の所に来る前はこの屋敷で生活していたこともあったそうで、屋敷の使用人は魔王のことを知っていた。

屋敷の中に通された私たちは、とりあえず客室をそれぞれ宛てがわれた。

屋敷の主人は普段魔王城の中にいるらしく、帰ってくることはあまりないらしい。

今は使いのものを出して、魔王が来たことを知らせに行っているそうだけど、忙しいらしいので帰ってくるのがどれくらいの時間になるのかわからないそうだ。

待っている時間暇になったので、この後のことを魔王と話し合う。

吸血っ子は魔族の学園に通わせることになった。

魔族にも学園があり、そこで教育を施している。

人族とそこらへんは変わらない。

というか、魔族は人族と変わることなんてあんまりない。

寿命がちょっと長くて、ステータスがちょっと強い程度。

寿命が長い分、繁殖力が低いのか数は人族に劣るけど、違いといえばその程度。

吸血っ子が通うのは魔族の貴族が通うエリート校。

まあ、今の吸血っ子ならついていけると思う。

魔王的には将来を見越して、吸血っ子に教育と人脈作りをさせたいんだと思う。

分体を張り付かせていれば下手なことは早々起こらないだろうし、ずっと私たちと一緒なんて閉じた世界にいるよりかは、学園に通って見聞を広めたほうが吸血っ子のためになる。

私に否やはなかった。

問題は、メラだ。

正直私はどうでもいいんだけど、メラをこのまま吸血っ子の近くに侍らせておくことはできない。

できないこともないだろうけど、それだとお互いの為にならないと魔王は思っているようだ。

共依存とでも言うべきか。

メラは失ったものの代理として吸血っ子を守ることを生きがいにしてる。

吸血っ子は以前との最後の繋がりであるメラのことを盲目的に信頼している。

それはそれで関係性としていいけど、どちらか一方が欠けた時、もう片方もどうにかなりかねない。

一旦引き離して、それぞれ自立させないことには将来危ない、というのが魔王の考え。

私はそこまで誰かに依存したことがないので実感が沸かないけどねー。

そういうわけで、メラは魔王が部下として持っていくことになった。

当の魔王はこれから本格的に魔王としての活動を開始するとのこと。

まずは魔族の軍備を整える。

人族との戦争を起こすために。

多分、過去に例を見ないほどの大規模な戦争になるんじゃないかと思う。

それだけ死者の数も多くなるってこと。

それこそが魔王の狙い。

ぶっちゃけ魔王が単騎で暴れたほうが強いと思うけどねー。

両軍をぶつけて人族と魔族の戦いにしないと、後が続かない。

最悪魔王の圧倒的な強さに人族と魔族が手を取り合うなんて、ありえないような展開も起きなくはない。

内心どう思っていようと、存続が危ういのならそうせざるを得なくなる。

私がDの言いなりになってるのも同じような理由だし。

人族と魔族がそれで結託すると、せっかく今まで積み上げてきた両者の溝が埋まりかねない。

和平なんてことになったら目も当てられない。

そうさせないためにも、あくまで人族と魔族の戦いにしないといけない。

面倒だけど、それがこの世界でのルールなんだから。

まあ、それも無駄になるかもだけどね。

私も、食べ歩きの旅が終わったことだし、そろそろ本格的に動き始めよう。

下準備は順調に進んでいるしね。

旅の間に各地に放り込んでおいた分体はいい仕事をしてくれている。

私もただ食べ歩いていただけじゃないのだよ。

訪れる場所に分体を設置してきて、今では人族領、魔族領、合わせてかなり広い範囲での情報収集を可能にしている。

自分の目でこの世界を観察するために。

魔王が戦争を始めるのはまだ先の話。

その間に、私は世界を観察し、下準備を完了させる。

世界を壊す下準備を。