軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

帝国騎士VSオーガ

あー、やる気がでんのー。

なんだって儂がオーガ退治なんぞせにゃならんのじゃ。

あの方に与えられた勇者育成すら満足に出来ないクズには、オーガ退治がお似合いじゃと、そう言いたいのかのぅ。

思い出すだけで腸が煮えくり返るわ。

神言教の宗教狂いどもめ。

儂が最強の勇者に育ててやると言っておるのに、無理矢理引き剥がしおって!

帝国も帝国じゃ。

なぜ神言教の言うことにホイホイ従っておるのじゃ。

もっと大国として、毅然と対応すべきじゃろうに。

まあ、今代の剣帝は名前ばかりの凡人じゃからのう。

それゆえに生まれた我が子に将来の夢を見ておるようじゃが。

聞いた話では数年前に生まれた王子は、生まれながらの天才などと言われておるらしいの。

凡才でも剣帝にも王者の血が流れておったということかの。

辺境に送られた儂には関係のない話じゃが。

よりにもよって飛ばされた先が魔族領との境であるダーザロー砦とは。

儂のこれまでの功績と実力からすれば、もう少し緩い対応になると踏んでおったんじゃが。

やはり勇者を保護した話にはちと無理があったか。

そこから不審に思った神言教が裏で手を引いたか?

「ロナント殿!見えてきましたぞ!あれがオーガの巣食う森ですぞ!」

すぐ隣で暑苦しく叫ぶ騎士に落ちていたやる気がさらに落ちる。

「叫ばんでも見えとるよ」

「そうであるか!」

無駄に声がでかい。

耳が痛くなるではないか。

この騒音の主は、帝国の騎士ニョドズ。

無駄に暑苦しく、無駄にうるさく、無駄に強い。

無駄だらけの変人じゃな。

年齢が儂と近いが、活動場所が異なっていたため今まであまり接点がなかったのじゃが、儂が辺境に飛ばされたためにこうして一緒になってしまった。

ニョドズは平民出身の成り上がり騎士で、ずっとこの辺境におったからの。

儂は基本帝国の中央にいたし、会うのは数年に1度といった具合だったのじゃが、この無駄な存在感のせいでしょっちゅう会う連中よりも顔をよく覚えておるという、無駄に記憶を使わされるような奴じゃな。

「ロナント殿の魔法と吾輩の剣技が合わさればまさに無敵!悪逆たるオーガにも負けるはずがなし!いざゆかん!」

無駄に熱く剣を高々と掲げ、無駄に突撃をしようとする。

まったく、無駄な時間を使わせるでない。

「待たれよ。この地にいるオーガは特異種だそうじゃ。無策に突っ込んでいっては兵の損耗が多くなるであろう」

「むむ!ロナント殿の言うとおりである!吾輩としたことが失念であった!」

失念ではなく初めから何も考えておらんだけじゃろ。

「それで、弟子2号。オーガの情報はちゃんと聞いてきたのであろうな?」

「はいな。つーか師匠。一緒にギルドに行ったはずなのにどうして話を聞いてたのがアタシ1人だけだったのかと小1時間くらい問いただしていいっすか?」

「却下じゃ」

弟子2号まで時間を無駄にしてきおる。

儂はオーガの情報なんぞ聞いている暇があれば、魔道の真髄に少しでも近づく努力をしたいのじゃ。

「えー。師匠たちは聞いていないでしょうが、このオーガ、どうも特殊なスキルを複数所持している他、知恵がだいぶ回るようっすね。確認されてる特殊なスキルの効果は、唐突な完全回復。傷だけでなく魔力や気力も回復するそうっす。次に爆発的なステータスの一時向上。持続時間は短いそうっすけど、さっき言った回復と合わせて使ってきたりするそうなんで厄介っすね。んで、最後が重要なんすけど、奴さん、魔剣を作り出すスキルを持ってるんじゃないかと」

「魔剣であるか!?」

「そんなスキルは聞いたことないがのー」

「アタシも初耳っす。あくまで憶測の域を出ない未確認情報ってやつっすね。けど、魔剣を複数所持しているのは確認済みらしいっすよ」

「オーガが魔剣を持つとは!これは吾輩の愛剣と勝負であるな!」

「妙な対抗心を持つでないわ。オーガの持っている魔剣の能力はわかるか?」

「確認されているのは、雷の魔剣、火の魔剣、あと、地面に埋めて爆発させる魔剣なんかがあるっぽいっす」

「地面に埋める?」

「なんでも地面に埋まってて、踏んづけると爆発するらしいっす。冒険者の大半はこれでやられたとか」

面白い。

かつてそんな魔剣の使い方をした愚か者がおっただろうか?

魔剣は製造が難しく、希少。

それを、爆発させるとな?

ありえんじゃろ。

支払ったコストに対して、得た結果が剣1本につき冒険者1人だとすれば、割に合わん。

だというのにそれを平然と実行してみせる。

これを面白いと言わずして、何とする。

「興味が沸いてきたのう」

やる気が出てきたわい。

「地面に埋まった魔剣は一定以上の負荷がかかると爆発するそうっす。冒険者さんが命懸けで得た情報っすね」

「風の魔法で地面を打ち据えてみるのが堅実かの?」

「師匠のアホみたいな魔力なら出来るんじゃないっすか?」

「戯け。その程度お主がやれ」

「ええー!?アタシっすか!?」

この小娘は下級貴族の末娘で、才能はあるが怠けぐせと言葉使いのせいで行くあてがなくなっていたところを拾った。

勇者を育てろというあのお方の言葉を果たせなかった儂じゃが、せめて弟子をとって人を育てるということを経験してみようと思ったのじゃ。

結果、儂は多くのことを学んだ。

人を教え導くということは思った以上に難しかった。

儂もなんだかんだ人の身では天才と呼ばれた男。

教えてみてわかったことじゃが、儂が普段何気なく行っておることでも、弟子には理解ができないことが多くあった。

なぜ理解できんのかが理解できん。

そんなことが多くあり、理解できない理由を探っているうちに、別の視点にたどり着いたりもした。

それによって、儂は弟子を教えながら、自らも学ばされた。

これを見越してあのお方は儂に勇者を育てろと言っておったに違いない。

さすがですじゃ。

「無理っす!無理無理!」

「娘!やる前から無理と決め付けるのは良くないぞ!それではできるものもできなくなってしまうのである!」

「やってみるだけやってみよ。何、失敗しても儂が大爆笑してやるだけで済む」

「師匠、あんた最低っすね!」

「最高の間違いじゃろうが」

さて、儂とニョドズ率いる帝国騎士100名。

オーガはどのように戦って見せるのか。

見ものじゃのう。