軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

鬼4 命名

武器錬成のおかげでゴブリン村はわずかだけど発展した。

刃物が付いているものなら大抵錬成することができたので、包丁やハサミなどの日用品が充実した。

それに、武器についてもそれまで使っていた粗末なもの、死んだ冒険者のお古だったり、魔物の骨などから作ったものだったり、よりもちゃんとした武器が支給されたことによって、狩りに出かけるゴブリン達の生還率もわずかながら上がった。

武器錬成のスキルを自覚してから半年。

僕は来る日も来る日も武器を錬成し続けた。

おかげで最初は粗末なナイフを錬成するだけで底をついていたMPもだいぶ増えて、今では相当出来のいい武器を錬成できるようになった。

僕は完成した剣を鑑定してみる。

『錬成剣:攻撃力96、耐久1099:錬成によって生み出された剣』

僕は錬成した武器の能力を確認するため、村長から鑑定石を貸し出されている。

その力を使って鑑定してみたところ、この剣はなかなかの性能だといえる。

攻撃力はそのままステータスにプラスされる攻撃力。

耐久はその武器の強度を表していて、この値が低くなっていると壊れやすくなる。

武器の防御力みたいなもので、多分だけどこの数値以上の攻撃力で攻撃されると一撃で壊れてしまうんだと思う。

そう考えると、この剣は攻撃力1099未満なら、一撃では壊されないということになる。

相当頑丈だと言えるんじゃないかな?

攻撃力も96も上がる。

僕の今の攻撃力が81だから、僕がこの剣を装備しただけで倍以上の攻撃力になる。

剣の攻撃力よりも低い自分の攻撃力を嘆くべきなのか、性能のいい剣ができたことに喜べばいいのか。

微妙なところだね。

この半年は武器錬成ばっかりしててあんまり攻撃力を伸ばせなかったし、仕方ないのかもしれない。

この半年はいろいろあった。

見知った同年代のゴブリンが凍死したり、収穫期を誤った畑の野菜に食われたりした。

狩りに行った兄貴分のゴブリンが戻ってこなかったりもした。

かと思えば本当の兄貴がめでたくホブゴブリンに進化したりもした。

僕の家族は兄4人、姉6人、両親2人、弟と妹が1人ずつで、僕を合わせて15人家族だ。

人間だったら大家族だけど、ゴブリンだとそこまででもない。

妊娠期間が短く、繁殖力も高いため、早いスパンで子供を産めるからだ。

ただ、その分死亡率も高い。

話を聞く限りだと僕の上にはあと4人の兄弟がいたらしいし、弟が1人流産したりもした。

あれはきつかった。

初めての弟になるはずだった。

けど、ダメだった。

家族みんなで泣いた。

僕はしばらく食欲が減った。

そんな僕を慰めたのが、1番上の兄であるラザラザ兄だった。

あれを慰めたというのかは微妙な気がするけど。

何をしたのかというと、殴られた。

「いつまでも辛気臭い顔をするな。食って元気に生きろ。それが生きてる奴の義務だ」

そう言って無理矢理僕に食べさせた。

本当に強引に口を開けさせられて、食べ物を詰め込まれた。

それからというもの、僕が落ち込んだ様子を食事時にしていると、有無を言わさず食べさせられた。

死ぬかと思ったけど、次第に落ち込むことはなくなっていった。

ラザラザ兄の言うことも最もだし、何よりその時には新しい命を母さんが身篭っていた。

ゴブリンの生命力はすごい。

そうして妹が生まれてきた。

その時に僕はこの子を守ろうと誓った。

ラザラザ兄は村の中でも指折りの戦士だ。

ホブゴブリンがさらに進化したハイゴブリンであり、ステータスも普通のゴブリンとは比べ物にならないくらい高い。

自慢の兄だ。

男の兄弟はみんなラザラザ兄を目標にしている。

けど、僕は武器錬成のせいでちょっと特殊な立ち位置になってしまった。

まだ狩りにも出れない年少者なのに、村ではなくてはならない存在になりつつある。

狩りは危険だ。

けど、狩りに出なければレベルを上げられず、進化ができずに寿命ですぐ死んでしまう。

僕を失うことはできないけど、狩りには行かせなきゃならない。

それで少し上の方でどうするか揉めているらしい。

まあ、まだ狩りに出るのは先の話だし、その頃にはどうするのか大まかには決まっていると思う。

多分村の中でも選りすぐりの戦士に護衛してもらうことになるんだと思うけど。

その時の護衛はラザラザ兄にお願いしたいなー。

できればの話だけど。

僕は出来上がった錬成剣に名前を付ける。

「命名、断爪」

名前を付けられた錬成剣が一瞬光を放つ。

もう1度鑑定し直してみる。

『断爪:攻撃力116、耐久1199:錬成によって生み出され、命名された剣』

攻撃力が20上がり、耐久が100上がった。

これはスキル「命名」の効果だ。

僕は武器ができるとそれに名前を毎回つけていたんだけど、その時にこのスキルを手に入れた。

効果は名前を付けたもののステータスの上昇。

今はスキルレベル2。

このスキルによって、僕が名付けた武器はさらに効果が高くなる。

実はこのスキル、何も武器だけじゃない。

生き物でも名前を付ければステータスが上昇する。

元々名前がついているものでも、元ある名前を上書きすることによって効果を発揮させることもできる。

けど、このゴブリンの村で、僕から名前を付けてもらおうというゴブリンはいない。

ゴブリンにとって、名前というものは神聖な意味を持つ。

いくらステータスが上昇するとわかっていても、1度名付けられた名前を変えようというゴブリンはいなかった。

その誇りに敬意を表する。

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「隊長ー。ゴブリン1匹仕留めましたぜー」

「そうか。ご苦労。こちらの損害は?」

「0でーす。いや、ちょっち危なかったんすけどね。最近やたらいい武器持ってるんすもん」

「鍛冶ができるゴブリンでもいるのか?」

「まさかー。ゴブリンでっせ?でも、そんなゴブリンがいたら隊長のスキルで下僕にしちゃいましょうや。そうすりゃ、こんな僻地に飛ばされた俺らの装備も少しはマシになるってもんっすわ」

「そうだな。しかし、ゴブリンの行動範囲が広がるのは見過ごせない。早急に対策を練るぞ」

「へいへーい」