軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

エルフの里攻防戦⑩

【ソフィア】

どうしよう。

京也君、飛び出していっちゃった。

「お嬢様、いかがなさいますか?」

私が聞きたいわ。

けど、ここは私が何か言わなきゃダメなのよね?

だって、京也君も勝手に行っちゃったし、立場的に私が一番上よね?

う…。

プレッシャーで胃が…。

ここは、いつもどおりの作戦で行こう。

「メラゾフィス、あとは任せたわ」

ザ、丸投げ。

本当は京也君に丸投げする予定だったけど、いなくなっちゃったし。

もう。

友達見つけたからって私を置いていくなんてどういうことよ?

私1人で軍の指揮なんかできるわけないでしょ?

「お嬢様はいかがなさるのですか?」

メラゾフィスの問いに、ゆったりと間を空けて答える。

実際にはその間にうまい言い訳を考えてるんだけど。

「勇者がそこにいるのですもの。魔王様の臣下として挨拶に出向かなくては、失礼に当たるでしょ?」

なんでやねん。

自分で言ってこれはちょっと無理があるかなーと引く。

わざわざ敵に挨拶しに行くなんて、どこの悪の四天王よ。

「左様でございますか」

「あら? 気に食わないのかしら?」

「滅相もございません。全てはお嬢様のご随意のままに」

恭しく頭を下げるメラゾフィス。

なんとか誤魔化せたわね。

それじゃあ、京也君の後でも追いましょうか。

ゆっくりと歩き始める。

人族とエルフが争う戦場を、優雅に歩く。

そんな私に、誰も気がつかない。

歩いている間に現在の戦況を確認。

万里眼で見たところ、戦場の中央付近は膠着状態。

勇者がいるのもこのあたり。

右翼と左翼は、ああ、エルフのロボットにやられてほぼ人族が壊滅。

仕方ないわよね。

あのロボットが相手じゃ、普通の人族では勝てないもの。

あら?

あのお爺さん、すごいわね。

ロボット倒しちゃってるわ。

あら?

ご主人様何をなさっているのかしら?

お爺さんとお知り合いなのかしら?

まあ、ご主人様なら問題ないでしょう。

あら?

草間君、ロボットにやられて撤退してるわ。

まあ、草間君そこまで強くないし、ロボット相手に生き残れただけでも儲け物かしら?

それとも転生者だからエルフもわざと見逃したのかしら?

忍者のスキルのおかげで逃げ足も速いし、自力で逃げた可能性も高いけど。

どっちとも言えないわね。

あら?

メラゾフィスは進軍をするのね。

まあ、頃合かしら。

中央以外の人族はほとんど使い物にならないし。

もう少し頑張ってほしかったところだけど、ロボットが相手じゃ仕方ないかしら。

となると、ここから先は魔王軍と人族軍とエルフ軍の三つ巴の戦いになるのね。

実際には間に挟まれた人族軍はすぐに退場になるから、魔王軍対エルフ軍でしょうけど。

メラゾフィスは大丈夫かしら?

彼、表向きは魔王軍の第四軍団長なんて肩書きを持っているけれど、実際の強さは私たちよりもだいぶ劣るのよね。

他の飾りの軍団長に比べれば強いけど、それでもロボット複数体が相手だと厳しい気がするわ。

ちょっと援護してあげましょう。

スキル、不死王発動。

ちょうど良く死体はいっぱいあるし、戦力としては期待できないけれど、嫌がらせくらいにはなるわね。

私のスキルの力を受け、戦場のあちこちにあった死体がゆっくりと起き上がる。

ゾンビ。

動きは緩慢だし、生前の能力もない。

能力で見れば最低。

ただし、魂がないので体を完膚なきまでに破壊しなければ止まらない。

止めても魂がないので経験値を得られない。

本当に、嫌な能力よね。

臭いし。

気持ち悪いし。

ゾンビはエルフと人族とロボットを標的に設定。

これ以降、戦場で死んだら自動でゾンビ化を固定。

これでよし。

肉壁くらいにはなってくれるでしょう。

あら?

京也君、夏目君のこと殺しちゃった。

まあ、別にいいけれど。

今頃洗脳が解けて人族は大混乱なんじゃない?

まあ、どうせダスティンおじ様が裏で混乱がないように手回しをしているんでしょうけど。

さてと、勇者の近くまで来たことだし、このまま気配を消して成り行きを見守ろうかしら。

「京也、本当に京也なのか?」

「そうだよ。正真正銘笹島京也本人だよ。久しぶりだね、俊、叶多」

「お前、どうしてここに?」

「うん? 決まってるじゃないか。エルフを滅ぼしにだよ」

「なっ!?」

「むしろ僕としてはどうして俊たちがエルフに肩入れしてるのか理解に苦しむんだけどね。どうせエルフの口車に騙されてるんだろうけど」

「どういうことだ?」

「どういうこともなにも、エルフは世界の害悪だよ? それを守るなんて正気じゃないよ。今からでも遅くない。引いてくれないかな?」

「引けるわけ…」

「京也、詳しく聞かせろ」

「いいよ。けど、叶多随分可愛くなったね。見違えたよ」

「そりゃどうも」

「あはは。なんだか別人と話してるみたいだ」

「実際同じではいられないだろ。昔と今じゃ、住んでる世界も置かれた境遇も違う。変わらない方が異常だと思うけどな」

「確かにね。おっと、話を戻そうか」

「!! 待て! 誰だ!?」

あら?

気づかれたかしら?

さすがに腐っても勇者ってところかしら。

では、ここは華麗にビシッと登場することにしましょう。

「ごきげんよう」

「誰だ?」

「あら?人に名前を尋ねるときはまず自分が名乗るのが礼儀ではなくて?」

「シュレインだ」

「素直でよろしい。私はソフィア・ケレン。以後お見知りおきを」

「根岸彰子ね」

「ちょっ!?」

何サラッと前世の名前暴露してんのこの男!?

はっ倒すわよ!?