軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

197 地底にはお宝が眠る?

蟻の巣を乗っ取ってからというもの、私は移動する際に地下の探知を強化することにしていた。

味をしめたわけである。

二重の意味で。

蟻はなかなか美味だった。

酸攻撃持ちのせいか、酸っぱい。

その酸っぱいのがまた絶妙だった。

もっとも、それは私が酸耐性のスキルを持っているからそう言えるのであって、耐性がなければ食べるだけでダメージがいきそうだけど。

あと、幼虫がほんのり甘くて美味しかった。

魔物だからか、蛹はなかった。

多分幼虫が進化するといきなり蟻の姿になるんじゃなかろうか。

卵もあったけど、それらは孵化すればまた餌になりそうだし、糸で包んだうえで放置した。

私の卵が孵った時の食料として今は生かしておくのだ。

糸で包んでおけば孵化しても自由に動けないし、私の卵より早く孵ったとしてもこれで安心。

拠点としても優秀だし、食料としても美味しい。

いたれりつくせり。

そういうわけで、私は蟻の巣を探しつつ、ついでに温泉でも見つからないかなーと思い、地下の探知を強化していた。

移動は順調だった。

なるべく人族の街や街道を避けて、道なき道を進んだおかげで、特に大きなトラブルもなく行動範囲を広げることができた。

途中で魔物を仕留めたり、盗賊みたいなのを壊滅させたりはしたけど。

おかげで叡智のマップもだいぶ広くなった。

ここまで広い範囲なら、転移で逃げ放題。

油断さえしなければ魔王に捕まる心配はほぼないといっていい。

仮に捕まっても、卵保険があるから最悪の事態にはならない。

ただ、いつまでも逃げてはいられなくなった。

魔王担当との繋がりが、切れた。

その意味するところは、魔王担当が魔王に競り負け、逆に取り込まれたということだろう。

魔王担当、お前の鱗剥ぎは忘れない。

そうなると、私の逃げながら魂乗っ取り計画が全てパアになったということだ。

現状で魔王に勝てる唯一の勝機がなくなった。

となると、私が取れる今後の行動は、2つ。

1つはこのまま逃亡し続けること。

魔王には返り討ちにあったけど、クイーンの侵食は今尚継続中。

ついこの前新たに1体のクイーンの侵食が終わったので、残りのクイーンは3体。

その3体もじき完了する。

なんか私が進化したおかげか、侵食速度が上がったらしい。

今はまだ魔王には勝てないけど、残りのクイーンを統合すれば互角以上に持ち込める。

その時まで逃げに徹するというのが案1。

2つ目は、魔王と停戦交渉すること。

現状でも私の不死身っぷりはずば抜けている。

魔王には勝てないけど、それは勝てないってだけで向こうも私を殺しきるのは不可能だ。

私は魔王に勝てず、魔王も私を殺せない。

どっちも手詰まり。

加えて、魔王は私の魂攻撃を退けた。

喫緊の脅威は取り除けている。

その状況で私が素直にごめんなさいしてクイーンからも手を引けば、許してくれる可能性も無きにしもあらず。

魔王も私に攻撃されたから受けてたったわけで、その私から攻撃しませんごめんなさい許してくださいって誠意を込めて謝れば、なんとかならないかなーという希望的観測。

実際これ以上私も魔王もどうしようもないわけで。

クイーンを統合し終わってもあの魔王に勝てるかと言われると、正直微妙なラインだし。

そもそもあの魔王、管理者でもなければいいとこドローに持っていくのが関の山なんじゃない?

ぶっちゃけ私の中ではもう魔王とは戦いたくないっていうのが正直な気持ちなんだよねー。

リスクがでかすぎる。

世界はなるべく早めにどうにかしなきゃならないけど、それが済めば私はのんびり余生を平和に過ごしたいわけですよ。

美味しいもの食べて食っちゃ寝していたいのよ。

誰が好き好んであんな大怪獣も真っ青な化物と戦うかっていうの。

とはいえ、魔王がもし執念深い性格だった場合、私はこの先も狙われる可能性がある。

それを考えると、残りのクイーンを統合しちゃって戦力的にも拮抗するくらい強くなっておきたい。

ごめんなさいするのはそのあとでも遅くはない、と思いたい。

まあ、そこらへんは魔王しだいだけどねー。

最悪決着はつけなきゃならなくなるかもしれないけど、できればお断りしたい。

そういうわけで、当分案1の逃亡を選択しつつ、時期が来たら案2を発動ということで。

と、今後の方針を決めたところで、地下に空洞発見。

かなり深い位置に穴があいている。

私の探知の有効範囲では天井スレスレのところを探るのが精一杯なほどの深さだ。

蟻の巣、て感じじゃないかな?

それにしては深すぎる。

それに、天井がやたら頑丈にできているようで、人工物のようだ。

嫌な予感がする。

こんな地下深くに人工物。

今まで見てきた人族の文化水準を見ると、ここまで地下深くまで掘る技術も、ましてやそこに人工の地下室を作る技術もあるか、という疑問が浮かぶ。

それに、今私がいる場所は人のいない森の中だ。

冒険者も寄り付かないような深い森の奥。

そんなところの地下に、人が何かを作るだろうか?

作れるだろうか?

これは、確かめなきゃならない。

もし私の考えが正しいのならば、この謎の地下施設は何としてでも確かめる必要がある。

おそらく私の予想はあたっている。

問題は、そこが生きているかどうか。

まさかとは思うけど、万が一生きていた場合、何が何でも止める必要がある。

たとえどんな危険があったとしても。

私は意を決して土を掘り始めた。