軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

184 さあ、神に祈りなさい

両軍が激突する混乱に乗じて、私も行動を開始する。

目指すは白い集団。

衣装からして聖職者を気取ってるし、あれが神言教の本隊なんだと思う。

こんな戦場に送られてくる連中なんか、上層部の意向なんか知らない本気で神言教を信仰してるバカなんだろうけど、知ったこっちゃない。

知ってようが知るまいが、私の八つ当たりの対象にこれ以上ない条件を満たしているし、運がなかったと思って諦めてもらいたい。

移動しながら魔法の発動準備。

空間機動で戦場を下に眺めながら空中を移動する。

ちょっと大技かましちゃおう。

白い集団の上空に到着。

同時に準備していた魔法が完成する。

迷わず発動。

暗黒魔法、暗黒界。

深淵魔法を除けば私が発動できる魔法の中で最高の攻撃力と範囲の広さを持つ、広域殲滅魔法。

攻撃力は深淵魔法の地獄門にやや劣るものの、範囲はほぼ同等の直径約200メートルの円形。

その範囲が暗黒に包まれる。

それは一瞬。

けど、暗黒が過ぎ去ったあとには何も残らない。

そこにいた人も物も。

これだけの魔法を行使するのも、今の私なら比較的楽に行える。

並列意思、それを自我のない演算装置として使役しているからだ。

今の私なら、深淵魔法すら余裕で発動することができる。

白い集団がその一撃でほぼ壊滅する。

戦場にポッカリと空いた穴が出来上がる。

遠くでは雄叫びや武器のぶつかり合う音が響き渡っているけど、この辺一帯は異様なほど静まり返る。

ものすごい量のレベルアップ通知が来た。

天の声(仮)がさっきからずっと聞こえている。

こんなに簡単にレベルが上がるなら、もう何も気にしないで街の1つや2つ滅ぼせばよかったかな?

まあ、いいや。

この場でも挽回は十分できるしね。

静まり返っているオウツ国連合軍に再度の暗黒界が炸裂する。

すべてをなかったことにするかのような、そんな理不尽な光景が広がっていく。

再び静まり返る戦場の中、私は地面に降り立つ。

前を見れば絶望したかのような顔の群れ。

後ろを見れば引きつったかのような顔の群れ。

どっちも酷い顔だ。

勇気がある兵士が私に斬りかかってきた。

勇気がある、というか、もはや錯乱してんだろうけど。

適当な魔法で迎撃する。

兵士の頭が弾け飛ぶ。

サリエーラ国の兵士が。

あーあ。

やっちゃった。

歪んでいるとはいえ、一応女神教は筋が通ってたから見逃してやろうと思ってたのにな。

サリエーラ国の軍勢を見る。

兵士が狂乱して斬りかかったことも、私がその兵士を殺したことも、まだ理解が追いついていない様子。

けど、理解が追いつけば私のことは敵と認識されるだろう。

神獣だなんだと持ち上げてはいても、いざ自分に害があるとわかれば手の平を返す。

人間なんてそんなもんだ。

いつだって人間は裏切る。

それがたとえ恩人であろうとも。

案の定、サリエーラ国の兵士たちは私に向けて魔法を放ってきた。

まるで示し合わせるかのようにオウツ国も私に攻撃を仕掛けてくる。

仲いいじゃん。

あれか?

共通の強大な敵が現れると嫌々ながらも共闘せざるを得ない的な。

残念ながら、私はそんなエセ友情ごっこ何かに興味はない。

一時休戦して共闘しても、私には勝てない。

勝てる道理がない。

神龍力と龍結界で魔法をかき消す。

龍とか上位の竜クラスならまだしも、人間の操る魔法程度なら何もしなくても私にはダメージなんて通らない。

同時に反撃の魔法を両軍に放つ。

大迷宮でおっさんが使っているのを見て覚えた新しい魔法だ。

私から左右に雷の閃光が瞬く。

私は火と氷が苦手だ。

次に水が苦手で、光もそれと同じくらい苦手だった。

けど、偽善活動で得た称号の「救う者」「聖者」「救世主」の効果のおかげで、光の属性は逆に得意になった。

雷もどうやら光と親和性が良かったらしく、称号を得たあとに確認したところ、相性が上がっていた。

もともと雷はそこまで苦手というわけでもなかったので、今では闇に続いて得意な属性となっている。

なので、光と合わせて雷の魔法スキルは伸ばしていこうと思っている。

神を信仰している連中に光と闇で止めを刺すとか、なかなかにセンスがいいんじゃない?

果たしてこれは神罰なのか、それとも悪魔の呪いなのか。

彼らにはどっちに見えてるんだろうね?

光が瞬き、雷が紫電を散らす。

その度に敵味方関係なしに命が散っていく。

そうだよね。

魔王にはボコボコにされたけど、今の私のステータスから考えると、この状況が正しいんだよね。

私ってばめっちゃ強いよね。

魔王が規格外過ぎるだけで。

あんなもんチートもチート。

勝つことなんかできるわきゃないでしょ。

けど、それは私にも言えること。

この場にいる人たちはきっと魔王と対峙した時の私と同じか、それ以上の絶望を味わっているに違いない。

不死身で攻撃が一切効かず、高度な魔法をバンバン使う化物。

あれ?

私ってば最強じゃね?

なんで魔王には勝てないんだろう?

不思議だ。

益体もないことを考えながら虐殺を続ける。

最早サリエーラ国もオウツ国も協力して私に攻撃を加えてきているけど、傷1つ付けられていない。

大きな攻撃は早めに潰してるしね。

別に食らったからってどうってことはないけど、巻き添えでせっかくの経験値が減るのは頂けない。

そういうわけで、広範囲に影響しそうな大きな魔法の準備をしている集団がいたら、真っ先に潰すようにしてる。

また1人、無謀にも私に斬りかかってこようとする奴がいる。

うん?

今までで一番速いな。

て、子供?

「化物、僕が相手だ!」

え、なんで子供がこんなところにいるの?

その疑問は、その子供のステータスを鑑定してみたらわかった。

子供の名前はユリウス・ザガン・アナレイト。

称号、勇者。

えー、魔王の次は勇者かよ。