軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

22 蜘蛛糸実験

迷宮探索は順調。

あまりにも上手くいきすぎて高笑いが飛び出そうなくらいだ。

ここらへんはゲジの縄張りなのか、ゲジがいっぱいいる。

そのゲジがとてもいい経験値の足しになるのだ。

あいつら感覚が鈍いのか、私の奇襲に為すすべもなくやられてくれる。

背後か頭上を取れば、ほぼ勝ちが決まるくらいだ。

おかげで楽に倒せる。

ゲジを何匹も倒してるうちに、レベルが7に上がった。

残念ながらボーナスでのスキルのレベルアップはなかったけど、ゲジを食べ続けたおかげで麻痺耐性はスキルレベル2に上がった。

楽に経験値も貯まるし、麻痺耐性っていう使えそうなスキルのレベルも上がる。

狩場としてはウマウマだった。

もちろんただ楽をしてたわけじゃない。

ちゃんと実戦の経験を積むって目的に合わせて、奇襲のバリエーションを増やしてみた。

私の糸の弱点の一つに、お尻からしか出せないというものがある。

なので、相手に糸を吹き付けるとき、必ずお尻を向けなければならない。

ポーズとしては、後ろ足二本で立ってお尻を前に突き出すか、もしくは完全に後ろを向くかしなきゃならなかった。

さすがにそれだと隙が大きすぎるので、私が採用してたのは、相手に密着した状態で吹き付けるか、ジャンプして上空から糸の空爆をするかだった。

ただ、その方法もかなり危険だ。

糸の性質上、成功すれば私の勝ちはほぼ決まる。

けど、失敗した時の反動がでかい。

密着してるってことは、相手が反撃に出たら避けるのも難しい。

空中にジャンプしてるってことは、かつて私が兄弟にしたみたいに、撃墜されるってリスクがある。

ハイリスクハイリターン、とはまたちょっと違うか。

まあ、そういうわけで、もっと安全に糸を相手に付けられないかと思って、開発しました。

それが新兵器、携帯網!

要はちっちゃい網作ってそれを前足で持つだけなんだけどね。

これの利点は、限りなく隙をなくすことができるってことだ。

だって手に持ったまま突撃すればいいだけなんだもん。

そりゃ、今までの無理な体勢で糸吐いてた頃に比べれば、だいぶ楽よ。

逆に欠点は、こいつをスタンバイしてる時は前足2本が使えなくなることだ。

それも、私の足はあと6本もあるんだから、ちょっと不便くらいの気持ちですむ。

あとは、網をあらかじめ作っておかなきゃならないことくらいか。

まあ、作ろうと思えば既に網職人としてプロを自称する私にかかれば一瞬だけどね。

ローリスクでハイリターンな素敵兵器がここに完成した。

他にも色々と試してはみたんだけど、全部失敗に終わった。

奇襲を仕掛ける側として、逆に奇襲されないための安全策が欲しかった。

だから、前々から考えてた、索敵糸を開発しようとしてみた。

これは、目に見えないくらいの細い糸を、お尻から直接空気中に拡散させて、その糸がキャッチした情報で敵の接近を察知するというものだ。

マイホームにいた頃はこれをホーム中に張り巡らせていたんだけど、張るのと、漂わせる、という違いが思いのほか難題だった。

放っておくと糸同士が絡まったり、壁に引っかかったりと散々だった。

しかも、いちいちそんな情報がわかっちゃうから気が散って仕方なかった。

だからといってそうならないように集中しちゃうと、そっちにばっかり意識が行っちゃって周りが疎かになるっていう、本末転倒な結果になっちゃった。

この時点で私は索敵糸の実用化を諦めた。

次に、貧弱な防御力を少しでも底上げできないかと思って、糸による防御服を作れないかと試してみた。

まあ、これも結果から言っちゃうと、ダメだった。

服を作るまではまあできなくはなかったんだけど、それを着るのがものすごく大変だった。

そもそも私蜘蛛よ?

人間みたいな器用な手はないし、体の構造も複雑だから、どう頑張っても服を着ることはできなかった。

じゃあ、単純に糸を体に巻きつけるのは?

これも却下。

糸を体に巻きつけるの自体は出来るけど、中途半端に巻き付けると私の動きを阻害する可能性があった。

そんな理由で私の持ち味の一つであるスピードを落とすわけにはいかない。

だから、きっちりと巻きつける必要があったんだけど、これまたさっきと同じ理由で、納得ができるように上手く巻きつけることはできなかった。

それに、仮に着れたとしても、脱げなければ意味がない。

なんせ私は食事をするたびに体型がコロコロ変わる。

服を着た状態でボールみたいに真ん丸に膨れたら、苦しいで済めばいい方なんじゃない?

他人の手が借りられるならもっと別の方法もあったかもだけど、私の足じゃ、構造上背中すら触れないからなー。

これも断念した。

うーむ。

こう考えると蜘蛛の体も一長一短だなー。

飛んだり跳ねたり引っ付いたりは得意なんだけど、やっぱ手がないっていうのがネックだよねー。

人間の手ってやっぱ便利だったんだなーと、しみじみ思ったわ。

ちなみに、これだけ実験しても蜘蛛糸のスキルレベルは上がらなかった。

やっぱりスキルレベルも、レベルが高くなるごとに必要な熟練度が高くなるんだろうねー。

まあ、マイホームにこもってた時と違って、なるべく無駄に糸を吐き出さないようにしてるっていうのも原因の一つなんだけどね。

安全なマイホームと違って、外はいつ何が起きるかわかんないし、なるべくなら万全の状態を保っておきたいと思ったからだ。

今回久々に糸を大量に使って実験できたのは、ゲジというエサがあったからだ。

今回の実験、無駄も多かったけど、得るものはあった。

これからも機会があったら色々と試行錯誤していこう。