軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

177 魔王の裏で

吾輩は魔王担当である。

名前はまだない。

どうもー。

私魔王に取り憑いている分体でございます。

現在?

めっちゃやばいです。

始まりは当時の情報担当、現本体が私たちの魂に干渉してきている存在を探り当てたことだ。

どうやらその相手とは魂で繋がっているらしく、ならばその繋がりを利用して、こっちから逆に支配してやろうと計画した。

その方法が、私たち並列意思を派遣し、相手の魂を侵食するという方法だった。

当時体担当だった私は、喜々としてこの作戦に乗り込んだ。

なんせ体担当といえば不憫枠。

私の存在価値は鱗剥ぎの時に最大となる。

哀れな私。

そんな不憫ポジから脱出できる千載一遇のチャンス。

逃す手はなかった。

ところがどっこい。

じゃあ、一番やばそうな魔王の担当は誰がやるという段になって、嫌な予感がした。

うん。

全会一致で私に決まった。

畜生。

そして私は私たちに干渉してきているマザーと、そのさらに上位に位置しているタラテクト種の原点たる魔王に密かに喧嘩を売り出した。

最初は私はほぼ動かず様子見。

まずは周りのクイーンの攻略から開始。

魔王はクイーンを支配下においているけど、私たちみたいに確固たる自我をクイーンに与えていなかった。

そのおかげで、クイーンが少しずつ侵食されていても、気付かなかった。

ひっそりと、でも着実にクイーンへの侵食は続いていた。

状況が変わったのは禁忌カンストしてから。

本体がブチギレた。

いや、もうね?

気持ちはわからなくもないけど、そこまでキレることか?

そう思ったのはどうやら私だけだったっぽい。

今だからわかるけど、その時には私以外の本体含む全員が別人の魂食った影響を受けてたんだと思う。

私だけはまだ魔王に攻撃してなかった。

本体の方は分体のフィードバックで影響が出たんだと思う。

この頃から私たちと本体が明確に分かれ始めたんだと思う。

んで、ついに私も魔王に突貫する時が来た。

いや、めっちゃ怖かったわ。

だって魔王だし。

魔王の魂にハッキングを開始。

すぐバレた。

さすが魔王。

部下のクイーンがやられてるのに気づかないのは減点だけど、自分自身が攻撃を受けた瞬間、こっちの存在に気づいた。

その上、クイーンの現状にも気づいたっぽい。

魂経由した外部攻撃なんか生まれて初めて受けただろうに、その行動は迅速だった。

魔王はまず私の排除を試みた。

結果は失敗。

私は魂の精神体。

私を排除するには物理攻撃は意味を成さず、外道攻撃のような魂に直接干渉する能力じゃないといけない。

けど、私たちは外道無効持ち。

システム内の攻撃手段では、私たちの排除は出来っこなかった。

魔王の焦りが手に取るように分かった。

けど、こっちもそこまで余裕があるわけじゃない。

無効とはいえ、攻撃手段がないわけじゃない。

ダメージがないだけで、外道攻撃は私の行動を遅らせる効果はあった。

そのせいで遅々として進まない侵食。

魔王はすぐさま次の行動に出た。

私たち精神体を倒すことはできない。

ならば、方法は1つ。

私たちの本体を倒すしかない。

魔王は私たちが逆利用した魂の繋がりで、本体の居場所を突き止めた。

幸いにして魔王は本体のいるエルロー大迷宮からだいぶ離れたところにいた。

おまけに転移魔法も使えない。

魔王はそれでも移動を開始。

めっちゃ速かった。

本体も速さには自信があったつもりだったけど、魔王のそのスピードは尋常じゃなかった。

これは、正面から戦ったら確実に負けると理解した。

魔王が移動している最中も侵食する。

おかげで一部情報をリンクさせることに成功した。

魔王の記憶の一部や、五感などが共有されるようになる。

その中には魔王のステータスもあって、あ、これダメだと改めて認識したりもした。

魔王がついにエルロー大迷宮のすぐ近くまで来てしまった。

けど、どうやら本体はもうエルロー大迷宮にはいないっぽい。

魔王の接近を感知して上手く逃げ出したのかな?

そう思っていた時期が私にもありました。

逃げたと思っていた本体はどっかの街の近くに拠点を作って堂々と居座っているらしい。

あかん。

これ魔王襲来イベントだ。

すぐ本体に知らせなきゃ。

けど、ここで問題が発生した。

私と魔王の魂はこの時点で結構深くまで融合していた。

ぶっちゃけもう分離不可能なレベル。

無理に分離しようとすると、どっちかの魂、最悪両方の魂が崩壊する。

しかも、常に魔王に牽制されていて自由に動けない。

オワタ。

案の定、本体は魔王の接近に気づかない間抜けぶりを発揮し、魔王にコテンパンにのされた。

ギリギリ生き残ることはできたっぽいけど、状況はよろしくない。

魔王と私はかなり深く融合している。

つまり、私が消えれば魔王もそれが分かる。

本体を倒したはずなのに、私は消えてない。

それは、魔王もわかっている。

本体が死んでいないことを、魔王は理解していた。

けど、どういうトリックを使ったのかまでは理解していない。

とりあえず、侵食されてしまったクイーンを始末に行く。

エルロー大迷宮に入る。

あっという間に最下層までたどり着き、そこにいたクイーンをいとも簡単に葬る。

マジ化物だわー。

そこまでは魔王の想定内。

次は、どうやらこの迷宮内にいるらしい新たな本体を潰しに行く様子。

マズイっす。

超ヤバイっす。

本体が死ぬと私らも多分連鎖的に死ぬ。

あかん。

けど、一歩踏み出した魔王の足は、奴らに止められた。

最下層に居座る、地龍たちに。