作品タイトル不明
155 山に登る理由、そこに食材があるからさ
やべえわ。
山スゲー。
豚の後にも魔物を何匹か狩ったんだけど、どれも美味しかった。
ビックリだわ。
迷宮の中で一番美味かったのは鰻だったけど、それと同じくらい美味しいものが山の中じゃ、ゴロゴロしてる。
夢中になって山を駆け回ったわ。
うーさーぎーおーいーしーかーのーやーまー。
あの歌初めて聞いたとき、兎って美味しいのかってアホな勘違いをしたけど、あながち間違ってなかったな!
とはいえ、あんまり狩りすぎると山の生態系が崩れる。
ゲームとは違って、魔物が無限湧きすることはないし、ある程度自重しないと今の私の強さだとマジで山の生物を狩り尽くしちゃいそうだ。
迷宮のあの広大な下層ですら乱獲のしすぎで魔物の数が減ってきてたからなー。
下層の魔物は1日3桁くらいは狩ってたからなー。
そんなハイペースで狩ってればいくら下層が広くて魔物の数が多くても、少なくなっていくのは当たり前だよなー。
魔物狩る、食べる、SP回復する、回復したSPで魔物狩る。
以下エンドレス。
好循環なんだか悪循環なんだか。
とりあえず山狩りはこれくらいで自重しておこう。
果物とか他にも食べられそうな植物とか採取できたし、魔物ばっかじゃ、栄養バランスが悪いしね。
まあ、迷宮の中じゃ、植物なんか食ったことなかったけどね。
迷宮の中じゃ、魔物しか食ったことなかったからなー。
水すら飲んだことないってすごいよね。
普通の世界の生物だったらありえへんわ。
魔物さまさま。
そこらへんは、魔物に生まれてよかったかもね。
さてと、食材集めてたらまた日が暮れた。
んー。
このまま野宿するのもいいけど、せっかくだからご来光でも眺めるために、山の頂上にでも行こうかなー。
お、それいいかも。
ご来光とかテレビでしか見たことないし。
まあ、山の規模が小さいからそんな感動するようなもんじゃないだろうけど。
というわけで、山の頂上目指して出発。
日が暮れた山の中でも暗視のおかげでスイスイ進める。
時折尖った枝とかに体を引っ掛けることがあるけど、防御力の高さもあって、体が傷つくってことはない。
なんだかんだ私の防御力って4桁の大台だからね。
そうそう傷もつかない。
けど、過信はできないんだよなー。
この世界のステータスって、重要ではあるけど絶対ではないからなー。
たとえ相手の攻撃力が私の防御力の10分の1以下でも、傷つくときは傷つく。
この前の砦でも槍にぶっ刺されたし。
まあ、その仕様のおかげで私は昔蛇に勝つことができたんだけどね。
今思うとあの時のステータスでよく蛇に勝てたって思うわ。
当時の私のステータスは2桁前半。
対する蛇は平均300くらいのステータス。
毒牙が刺さらなかったら詰んでたね。
同じ理屈で、私もいくら相手が遥か格下でも、時には傷を負わされることがある。
蛇と違って私には状態異常無効があるから毒殺されるってことはないし、HP自動回復があるからやばい事態にはなりようがないけど。
そもそも私不死だし。
けど、自称回避特化としてはやっぱダメージを食らうっていうのは屈辱だよねー。
とかなんとか考えていたら、HPが減った。
飽食のストック分が1減っただけだし、自動回復ですぐに補給されたけど。
問題は、どうして私のHPが減ったのかってことだ。
HPが減る。
つまり、何かが私を傷つけた。
何か。
自然物で今の私を傷つけることはほぼ不可能。
なら、何者かの意図した攻撃。
それしかない。
山の頂上。
そこに、1匹の魔物がいた。
『ペイレンス LV7
ステータス
HP:972/972(緑)
MP:810/877(青)
SP:899/899(黄)
:720/871(赤)
平均攻撃能力:918
平均防御能力:888
平均魔法能力:867
平均抵抗能力:856
平均速度能力:901
スキル
「風竜LV5」「龍鱗LV6」「魔力感知LV3」「魔力操作LV3」「風魔法LV2」「影魔法LV1」「風強化LV2」「風攻撃LV6」「命中LV5」「回避LV6」「隠密LV7」「高速飛翔LV5」「立体機動LV5」「気配感知LV6」「暴風無効」「暗視LV4」「視覚強化LV3」「生命LV2」「魔量LV1」「瞬発LV1」「持久LV1」「強力LV1」「堅固LV1」「術師LV1」「護法LV1」「疾走LV1」
スキルポイント:7750
称号
「暗殺者」「魔物殺し」』
あいつか。
風の竜。
この前の水竜もどきのフグと違って、ちゃんと竜らしいフォルムをした魔物だ。
ただ、翼がそのまま腕になっているので、竜というよりかはワイバーンと言ったほうがいいかもしれない。
強さ的にこの山の主かな。
はっきり言って、今の私の敵じゃない。
けど、私は気を引き締める。
HPが減ったのは、暗殺者の称号の不意打ちにダメージ補正が加わる効果のせいだと思う。
けど、それ以前の問題。
私は本来なら不意打ちだろうがなんだろうが、この程度の相手の攻撃なんか食らうはずがない。
なぜ、そんなやつの攻撃なんか食らったのか?
決まってる。
私が油断しきっていたからだ。
この頃ちょっと強くなって慢心していた。
一撃でも喰らえば即死亡っていう脆弱だった頃に比べて、明らかに注意力が散漫になっている。
これじゃ、いけない。
気を引き締め直し、向かってくる風竜を迎え撃つ。
結果、オーバーキルになった。
ごめん。
ちょっと本気出しすぎた。
もはやモザイクも意味を成さないような惨状になった元風竜の破片に謝る。
食べられるだけの量がもう残っていない。
うん。
油断はダメだけど、ちょっと本気出しすぎるのもダメだね。