軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ファイアール公爵家からの使者

ここ2〜3日はゆっくりしている。朝に剣術の訓練と軽いジョギングくらいだ。

ウォータール公爵家からファイアール公爵家に連絡したと聞いたので、ほっとけばファイアール公爵家の家の者が来るだろうと思っている。

日向ぼっこをしていると来客があった。ついに来たかなと思いリビングに行く。

訪問者は良く知ってる人物だった。

細身の男性。確か40歳になったあたりかな。

真紅の髪を清潔に整えて厳しい目付きでこちらを睨んでいる。いつも眉間の皺が跡になるほどしかめ面だ。今まで笑った顔を見た事がない。

リンカイ王国のファイアール公爵家筆頭執事のベルク・ファイアードである。

ファイアード家はファイアール家の分家ではあるがベルクは火の適性が高く髪色は真紅である。

その高い能力を買われてファイアール公爵家筆頭執事を10年ほど続けている。

僕が物心ついた時には既に今の筆頭執事をしていた。

ベルクと云えば筆頭執事。筆頭執事と云えばベルク。それが僕の認識だ。

ベルクは侮蔑の視線をこちらに向けて口を開く。

「アキ様帰りますよ。役立たずがどれだけ面倒をかけるんです。あなたは本当にファイアール公爵家の恥さらしですね」

それを聞いていたミカとナギさんは呆然とベルクを見ていた。あまりの言い草に頭がついてきていないようだった。

僕はニヤリと口元を上げ、勝ち誇った声で返事をする。

「久しぶりですね。ベルクさん。しばらく会わない内に遂に頭の中にウジが湧いたようですね。そんな事だから見当外れの言葉を吐いてしまうんですよ」

ベルクの眉がピクリと動いた。

「アキ様はたかだか2ヶ月くらいの家出で大人になったと勘違いしてしまわれたようですね。クズでも思春期はあるんですね。子供の間違いを正すのが大人の役割です。言う事を聞いてください」

「やっぱりベルクさんは頭がイカれたようだ。あ、初めからイカれていたのかな。まずは目上の人に対する言葉を覚えたほうが良いですよ」

「あなたを目上だと思ったことは一度もありませんよ。あなたが私より上なのは本家の生まれという事だけです。そんなどうしようもない水色の髪で、良く私のような高貴な真紅の髪の人間を悪く言えるもんです。身の程を理解しなさい」

「ベルクさんがどう思おうと関係ありません。僕はあくまでも客観的な話をしているんですよ」

そう言うと僕は黄金製のギルドカードを取り出した。

「なっ!」

驚愕の顔したベルクの顔を見て僕はニヤリと笑みを浮かべた。

「頭にウジが湧いてるあなたでもこれが何かわかるでしょ。あなたはファイアール公爵家の代理としてここに来ている。その人が冒険者ギルドのBランク冒険者に暴言を吐いているんですよ。ファイアール公爵家は冒険者ギルドにケンカを売ってるんですか?僕にファイアール公爵家まで来て欲しいなら、まずは今までの暴言を謝罪して、こちらの都合を斟酌して丁寧にお願いしないとね」

ベルクは驚愕の顔から怒りの表情に変わり、怒りのせいか握った拳が震えている。

「まぁあなた程度の力量じゃ土台無理な話なのは分かっています。僕は時間の無駄が嫌いでね。大人しく帰ってこう伝えなさい」

僕は高らかと勝利宣言を告げる。

「Bランク冒険者のアキ・ファイアールに対して失礼な発言をして怒りを買ってしまった。ファイアール家まで来ていただく事ができませんでした。すいませんでした。以上です。それをファイアール公爵家宗主に伝えなさい。わかりましたか?」

ベルクは俯いていた。まだ拳が震えている。

「それでは早くお帰りになってください。ウチはこれから昼食なんですよ。頭が悪い人の相手はもうたくさんです」

ベルクはこちらに目を合わせることもなく、荒々しく玄関の扉を開けて出ていった。

僕とベルクの会話を聞いていたミカとナギさんは固まっていた。驚いたのかな?

弾けるようにミカが喋りだした。

「あんなアキくん初めてみたわ」

「びっくりした?少し感情的だったかもね」

「いやブラックなアキくんも素敵だったわ」

「Bランク冒険者になっていて本当に良かったよ。これもミカとナギさんのおかげだね。ありがとう」

「アキくんの力でしょ。私とナギはそれのお手伝いをさせてもらったくらいだよ」

ミカとナギさんが僕に笑顔を向けてくれる。本当に家族みたいだ。

嬉しくてちょっと涙ぐんだら2人が慰めてくれた。