軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第133話 冒険者の醍醐味【ヴィア主任の視点】

【第126話〜第132話のヴィア主任の視点】

アキくん達の冒険者パーティに入った。まずは鈍った身体を元に戻す必要があるな。

アキくん達と話し合った結果、私のレベル上げはボムズの焦土の渦ダンジョンに決まった。それならばサイドの水魔法の有用性も調べたいな。レベルアップのデータも取りたい。

私はサイドに声をかける。

「火の属性のダンジョンなら、お前の水魔法が一番相性が良いはずだ。そのデータを取りたい。あと、レベルアップのデータも一緒に取るぞ!」

「それは私にもボムズのダンジョンに来いって事ですか?」

「当たり前だ。私は冒険者に戻ったとしても研究者でもあるんだ。助手が必要になるだろ」

「はいはい、わかりましたよ。たぶんそうなるだろうとは思ってましたから。ただモンスター討伐なんて学生の1回生以来ですからね」

「ボムズまでの道中に毎日剣術の訓練をするからそれに付き合え」

「はぁ……。ま、そうですね。私はヴィア主任の助手ですからね」

「頼りにしているぞ」

その私の言葉に軽い微笑みを浮かべるサイドだった。

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エルフの里から王都に向かう道中に毎日剣術練習をおこなった。

少しずつ感覚を取り戻していく。

カッターに近づくと私は髪と耳を隠すため頭にスカーフをする。その度に古傷が騒ぐ。これは時が解決してくれるのだろうか?

王都に着いた翌日にボムズに向けて出発だ。アキくんが最高級の馬車を手配してくれた。これは移動が快適になりそうだ。

ボムズまでの道中、サイドが場の雰囲気を良くしてくれる。アキくんやミカくんの話を良く聞いて、その話を膨らませていく。素晴らしい会話の技術だ。私もその中で心から楽しめた。

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ボムズに着くと冒険者ギルドに挨拶に行く。

ギルド長のインデルが【血風の乙女】なんて古い私の呼び名を口にする。少しだけ顔が引き攣ってしまった。

冒険者ギルドの用意してくれた家と職員は最高と感じる。

リーザは有能な人物だ。ワインを買ってきてくれたので酒盛りが始まる。

酔いが回るとサイドが愚痴り出した。エルフの里でサイドは冷たくされたようだ。

アキくんがソフィア・ウォレールの遺言をサイドに説明している。

それを聞いたサイドが嘆く。

「そんな昔の話なんて知りませんよ。僕には関係無いじゃないですか!」

こればかりはしょうがないなぁ。

「エルフは長生きだからなぁ。どうしても恨みが深くなる時があるんだよ。諦めな。私は気にしてないから良いじゃないか」

私の言葉に何となく喜んでいたサイドだった。

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朝の鍛錬を続けたおかげで、だいぶ身体のキレが戻ってきた。これなら何とかなるか。

サイドも朝の鍛錬をしているが、まだまだだな。

鍛錬の後は、私はサイドのジャンプ力と力を測定する。

今日はCランクダンジョンである焦土の渦ダンジョンに挑戦だ。

少しだけ緊張している自分を感じる。

馬車でダンジョン入り口まで移動した。気持ちを引き締めて洞窟型のダンジョンに入る。

ダンジョンに入るとF級モンスターのカーサスが襲ってきたが、ミカくんが一刀で切り捨てる。あっという間の出来事だった。

そして右側前方の溶岩の中から4匹ほどのサラマンダーが出てきた。赤黒い肌をして赤い炎を纏っている。

次はアキくんの番だ。サラマンダーが螺旋状に飛ばしてくる火の玉を昇龍の盾で丁寧に対処する。アキくんはサラマンダーに近づいて昇龍の剣を振り下ろす。

次は私の番。ここまで丁寧に見本を見せてもらえば簡単だ。

私は昇龍の盾でサラマンダーの火の玉を丁寧に防ぐ。そして近づいて3匹のサラマンダーを斬り裂いた。

私はその切れ味に舌を巻く。

「驚いたな。Cランクモンスターのサラマンダーが一撃で倒せるなんて。昇龍の剣と昇龍の盾があればここでは無敵じゃないのか?」

私の言葉にアキくんが返してくれる。

「属性の相性なんでしょうね。簡単に倒せますもんね」

この日、サイドのウォーターボールの実験も実施した。ダメージを与えてトドメは刺さない。

そしてMP切れになったサイドは先にダンジョンを出て馬車に戻って行く。

その後、私はサラマンダーを倒しまくった。200匹以上サラマンダーを倒した私の身体能力は確実に変わっている。朝に測定したジャンプ力と力は1.1倍になっていた

サイドは少しだけ変化が見られる。

ダメージを与えただけでもそれなりには効果がある事が判明した。

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次の日の朝も鍛錬後にジャンプ力と力を測定する。実験にはしっかりとしたデータが必要になる。

今日も焦土の渦ダンジョンでサラマンダー討伐だ。

サイドはMP切れで休憩になる。ただし昨日より2発多く撃てた。

間違いなくサイドのレベルが上がっている事がわかる。

今日も私はサラマンダーを200匹以上討伐した。最後の方の自分の動きが速くなっているのを感じる。

討伐の後の測定で、私のジャンプ力と力が格段に上がっている事が実証できた。

今日もまたサイドは少しだけ上がっている。

よし! 明日はサイドが近接戦闘だな。それを指示したらサイドの顔が少し強張っていた。

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夕食後に少しワインを飲んだら、いつもより口が滑らかになってしまう。

つい、アキくんにエルフ排斥運動について話してしまった。まぁパーティメンバーだから知っておいてもらったほうが良いか。

話をしているとわかる。私の心の傷は浅くなっている。しかしどんなに時間が経っても完治はしないのだろうな。

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今日はサイドが近接戦闘で主役の予定だ。サイドの顔を見ると少し青褪めていた。

焦土の渦ダンジョンに入る。

左側からサラマンダーが出てきた。3匹いる。サイドは昇龍の盾を構えてゆっくりとサラマンダーに近づく。

サラマンダーの火の玉をしっかりと昇龍の盾で防いでいる。

剣の間合いに入り、昇龍の剣で確実にサラマンダーを倒していく。

サラマンダーが3個の魔石に変わった時、サイドはその場にへたり込んでしまった。どうやら腰が抜けてしまったようだ。

私はサイドさんに檄を飛ばす。

「だから問題無いと言ったろ! 早く次行くぞ! 次!」

慌てて立ち上がるサイド。それでこそ研究者だ。私はサイドを誇らしく見守った。

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この日、サイドはサラマンダーを150匹倒す。

ギルドポイントはサイドに全て付ける事にした。その結果、Gランク冒険者のサイドがDランク冒険者になってしまう。

サイドは無邪気に白銀製のギルドカードを受け取って喜んでいた。

次の日の朝の測定でサイドの結果は、前日より1.2倍のジャンプ力と力が示される。

これにより新たなる仮定が想定された。ほぼ確定だろう。

これはいきなりCランクダンジョンで200匹もサラマンダーを倒せるから判明した事だ。通常では無理な実験だな。

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毎日ダンジョン活動をおこなうのは疲れてくるため【9月5日】を休みにする。

サイドは前日、外の飲み屋に行って帰ってきた。今日は二日酔いで寝て過ごすようだ。

私はアキくんとミカくんにボムズの街を案内してもらう事にする。

しかし、私の髪色が目立つためか人が集まってくる。慌ててスカーフで髪と耳を隠すが既に遅い対応だ。

逃げるようにお茶が飲めるお店に入る。

どうやらお店にはアキくんの知り合いがいたようだ。真紅の髪色の少女が私達のテーブルの席に座ってきた。

これだけの真紅の髪色なら間違いなく貴族だろう。アキくんとの話を聞いているとアキくんとダンジョンに行きたいようだ。

貴族がダンジョン!? 私はつい口を挟む。

「なんだ、君は貴族なのにダンジョン活動に興味があるのか?」

真紅の髪色の少女が口を開く。

「とても興味があります。だけどアキさんが連れて行ってくれなくて。学校の魔法実技のダンジョン試験は好成績でしたけど、もう少しランクの高いダンジョンも見てみたいと思っています」

王都魔法学校の生徒か。それなら身内みたいなもんだ。それに貴族なのにダンジョン活動をしたいなんて素晴らしいではないか! カッターの貴族に爪の垢でも煎じて飲ませてやりたい。

「アキくん、若い前途洋々な女性になんて事をしているんだ。早速明日のダンジョンに連れて行こうじゃないか!」

真紅の髪色の少女がにこやかな笑顔になっている。

「ありがとうございます。とても綺麗な女性は心も優しいのですね」

「私は王都魔法研究所のヴィアだ。王都魔法学校の生徒は身内みたいなもんだ。気にするな」

「あのヴィア博士ですか! お目にかかれて光栄です!」

私は貴族にもまだ素晴らしい考えを持つ者がいるもんだと嬉しくなっていた。

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次の日のダンジョン活動の後に事件が起こる。

アキくんの弟のガンギくんがファイアーボールをアキくんに向けて放ったのだ。ミカくんがアキくんを庇ったため、ファイアーボールはシズカくんの顔面に直撃する。

なかなか面倒な関係のようだ。

アキくんは弟のガンギくんを騎士団の詰所に身柄を預けた。

帰宅後、アキくんにシズカくんをダンジョンに誘って申し訳ないと謝罪をしたが、気にしないように言われた。

ミカくん曰く、ガンギくんは既に爆発寸前だったとのこと。

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【9月12日】に焦土の渦ダンジョンの制覇を目指す事になった。

ボスサラマンダーは蒼炎を使わずに討伐する予定だ。

自信はある。いやありすぎて困るくらいだ。油断だけはしないようにしないとな。

焦土の渦ダンジョン攻略は堅実に進む。全く危なげない。簡単にボス部屋に到達する。

皇帝サラマンダーも丁寧に倒す。まさに満点のダンジョン攻略だった。

皇帝サラマンダーはBランク魔石に変わり、宝箱が出てきた。

4人で宝箱の前に整列する。

「「「「パンパカパーン!!それではメインイベントです!!拍手!!」」」」

そして皆んなで拍手する。

見事に揃った声、アキくんに何度も練習させられた行為だ。

私は面倒だから断ったが、アキくんにこれは冒険者の様式美と鬼気迫る顔で説得された。

アキくんから宝箱の開封の喜びを知って欲しいと言われ、開封は私がおこなった。

私はCランクダンジョンの宝箱は初めて開ける。少しのドキドキを感じていた。

そして宝箱には真紅の細剣とダンジョン制覇メダルが入っていた。

細身で先端の鋭く尖った刺突用の剣。

レイピアである。

私が望んでいた物がそこにあった。

私の背中に電流が走る!

こ、これが冒険者の醍醐味か……。病みつきになりそうだ。