作品タイトル不明
第80話 揺れる心【ミカの視点】
【第74話〜第79話のミカの視点】
帰宅したアキくんがとても興奮している。「エルフだ! エルフに会ったよ!」と何度も叫んでいた。
エルフは美女が多い。それで興奮しているアキくんを見ると胸がチクリと痛む。私はわざと興味の無い返事する。
アキくんはいつかのようにまたブツブツと白狼伝説と呟いていた。
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今日は朝から王国魔法研究所の研究者がアキくんの蒼炎の魔法を研究したいらしい。王都周辺のダンジョンに蒼炎の魔法を撃ちにいく予定だ。
先日アキくんが言っていたエルフが責任者と聞いている。
少しの緊張と少しの対抗心。そんな気持ちが私に芽生えていた。
待ち合わせの王都魔法研究所の前には馬車が止まっている。緑色の髪色をした綺麗な女性が馬車の窓から顔を出し、手を振っていた。
「遅いぞー!早くダンジョンに行くぞー!」
エルフを見るのは初めてだ。それにしてもエルフとはここまで綺麗なのか……。
驚愕の心を押し隠し、助手の男性のサイドさんと、エルフの女性のヴィア主任と挨拶する。
私の心の平穏が壊れたような気がした。
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屠殺場ダンジョンでの蒼炎の魔法の実験ではヴィア主任の有能さを、これでもかと理解させられた。
今後、蒼炎の魔法を理解する事はアキくんの安全に繋がっていくだろう。
何も手助けできない自分が不甲斐なく惨めだった。
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王都魔法学校の合格発表にアキくんと見に行くために家を出た。
私は学校とは反対側の方向にウチの屋敷を覗き込もうとしている女性がいることに気づく。私と目が合うと慌てて路地に走って行った。たぶん冒険者ギルドのパメラだったと思う。
アキくんに報告したが、ほっとく以外やりようがない。アキくんを守れるのは私だけだと改めて感じた。
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アキくんは見事、火属性の1位で合格していた。さすが私のご主人様だ。
ガイダンス前にシズカ・ファイアードがアキくんに絡んでくる。本当に諦めが悪い女性だわ。
その後、従者用のスーツの採寸をした。アキくんの従者として恥ずかしくないようにならないといけない。身が引き締まる思いだ。
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帰宅後、ユリさんがアキくんの合格祝いに王都で有数のお店であるお菓子屋さんでケーキというお菓子を買ってきてくれていた。
お代は私も出している。
アキくんは涙ぐんでお礼を言ってくれた。
奮発して良かったな。
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夜にアキくんがシズカさんのことを話してくれる。
私はアキくんに注意喚起をする事にした。
「アキくんの言う事は理解したわ。だけどあのシズカさんの好奇心をアキくんが甘くみている感じが私はするわ」
「ミカのご忠告は理解したよ。まぁ上手くやるよ」
たぶんシズカさんはアキくんに対して好奇心以上の感情があるような気がする。
でもそれを指摘するのは嫌な予感がした。
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アキくんがリビングで私に【白狼伝説】について熱く話してくる。この情熱は凄いな。一度【白狼伝説】を読んでみようかしら。
そんな時、王国魔法管理部の職員が訪ねてきた。
用件は蒼炎の魔法のダンジョン外使用の制限の話と、リンカイ王国国王陛下であるソーシ・リンカイ陛下がアキ様との謁見と会食を望んでいる話だった。
国王陛下が謁見と会食を望んでいるなんて……。
アキくんがドンドン手の届かない人になっていく。
そしてアキくんはケーキの誘惑に負けて承諾していた。
そんなアキくんが本当に愛おしい。
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今日は王都魔法学校の入学式。
従者の制服を着ると身体が軽く震えた。アキくんの従者になれる事に喜んでいるみたい。
これからしっかりとアキくんを助けていきたい。
どんな事があろうとアキくんを守っていく。それが私の生きる意味だ。
私は奴隷の証であるチョーカーを触りながら決意した。