軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第73話 開封できない封筒再び!

サイドさんは手に丸めた布を持ってきた。

「こちらが最新式の結界を消滅させる魔法陣です。どんな結界も立ちどころに消滅させることができる素晴らしいものです。ヴィア主任が作成した研究所の自慢の品です」

そう言ってサイドさんはテーブルの上に魔法陣が書かれている布を広げる。一辺が1メトルほどの正方形だった。幾何学的な模様と複雑な魔術文字が書かれている。

魔法陣の中央に封筒を置く。

その瞬間、「ガガガガガガ」と言う連続した音がする。

「何!?」

ヴィア主任が声を上げる。連続した音は継続してなり魔法陣が光りだした。

ヴィア主任が声を上げる。

「そんな馬鹿な! この魔法陣に抗える結界などあり得ない!」

魔法陣から連続していた音は甲高くなり、光を放っていた魔法陣が激しく燃え出した。

ヴィア主任が慌てた声でサイドさんに言う。

「消火だ! 急げ!」

呆気に取られていたサイドさんがウォーターボールをぶつける。

ウォーターボールは魔法陣を乗せていたテーブルごと破壊した。

あとには燃え尽きた魔法陣と変わらないままの封筒が残されていた。

ヴィア主任は燃え尽きた魔法陣の上に残された封筒を拾い上げた。

「信じられん。まったく変わってないじゃないか。どれだけ強い封印の魔法なんだ。こんなに強い結界は見たことがないよ」

僕はそのヴィア主任の言葉を聞いて肩を落とした。金属性について王国一詳しい人にもこの封筒を開封できなかった。

封筒をもったままヴィア主任が僕の目を見てきた。その目はとても力強かった。

「アキくん、この封筒を貸してもらえないか! この結界の封印魔法は凄まじい! 是非この封筒を調べて開封したい!」

僕はヴィア主任の勢いに押されて思考が停止したまま頷いていた。

「よし! それならこの封筒の詳細を教えてくれ! そこに封印を解く鍵があるかもしれない!」

壊れたテーブルを片付けているサイドさん。僕とヴィア主任はもう一つある応接セットに移動して僕は封筒の詳細を伝えた。

僕の話を聞いた後に確認するようにヴィア主任が話しだした。

「なるほど。ここまでの話をまとめてみよう。南の封印守護者のファイアール公爵家の屋敷の離れの裏に祠があり、強力な結界がされていた。その結界はいつからされているのか分からないくらい古いんだな。去年、君が15歳になった夜に祠の中が光っていた。確認に行くと強力な結界は無くなっていて、祠の中に光るカードがあった。君がその光るカードに触ると青白い光が身体に流れこみ、呪文が頭に流れてきた。その呪文が蒼炎の魔法なんだな。またカードはステータスカードだったと。ここまでは良いか?」

僕は頷いた。ヴィアさんは続ける。

「今年の1月10日の夜にもう一度祠を確認したら祠の奥にこの封筒を見つけた。それからこの封筒を開封してみようと思ったができなかった。そして今日ここに来た。こんな感じか」

ヴィアさんの話は続く。

「先程の結界を消滅させる魔法陣は現在知られている結界の魔法を登録してあるんだ。そのデータを使い結界の消滅に有効な魔法を発生させる。魔法陣が動いたと言う事は現在知られている結界の魔法と近い形だからだ。ただこの封筒の結界は魔法陣の消滅の魔法に対抗していた。封筒の結界の対抗に堪え切れなくなった魔法陣がショートして燃え尽きたって感じだな」

僕は結論を聞きたくなって言葉を挟んだ。

「結局、この封筒は開封できるのでしょうか?」

ヴィア主任は僕を見て会話を続ける。

「まずこの封筒の結界と祠にされてた結界に関係性があると思う。たぶんどちらも同じ人が施した結界だろう。この封筒の結界を考えるには、まず祠に施されていた結界について考える必要があると思う。通常、どんな結界でも時間と共に弱まる。ところが祠の結界は長い年月結界に守られてきた。これは間違いなく外部から魔力を取り込んでいるはずだ」

「そんな事は可能なんですか?」

「今の魔法の技術では不可能だ。私にもどのような結界にしていたか想像がつかない。ところが去年の君の誕生日にその祠の結界が無くなっている。これは間違いなく君がトリガーになっていると思う」

身に覚えが無いため僕は首を捻る。

ヴィア主任に質問してみた。

「祠の結界が無くなったのは僕が何かしらの原因なんですか?」

「私はその可能性が高いと思う。まずは祠の結界が消滅したのが君が15歳になった時だ。何かしらの条件を満たした者が15歳になった時を結界消滅の鍵にしたのかもしれない。推測だけどな」

「あまり信憑性のない話に感じるのですが?」

「君は祠の中にあったものを忘れているよ。それはステータスカードと封筒だよ。ステータスカードは今は失われた技術で作られているんだ。そのステータスカードに触ると蒼炎の呪文が君の頭に流れ込んで来たんだろ。これは個人の思念を物体に残す魔法だ。こちらも今は失われた魔法だけどね」

「それでもまだ私が祠の結界を開けるきっかけだとは思えないんですけど」

ヴィア主任は僕を見てニヤリと笑う。僕は綺麗な人はどんな笑顔でも絵になるんだなと感じた。

「君はイマイチ頭の回転が弱いね。ステータスカードに残されていた思念はなんだ。そう蒼炎の魔法の呪文だよ。こないだの蒼炎の魔法は私も見たが君の魔力、つまり髪色と同じじゃないか。つまりは蒼炎の魔法が使える魔力を持っているものが、ある程度の年齢になった時に祠の結界が開くようになっていたと思う」

頭の回転が弱いなどとはなかなか手厳しい。

へこまずに僕は言葉を発した。

「つまりは蒼炎の魔法が使える才能がある者と年齢がきっかけで祠の結界が解けたってことですか」

「考えてもみたまえ、蒼炎の魔法が使えないのに蒼炎の魔法の呪文を教わっても意味がないだろ」

確かに推論として筋が通っている。あの祠は僕を長い年月待っていたのか?

封筒を持ち上げヴィア主任が話す。

「この封筒の中身が気になるようになってきたね。宛名は【祠を開けた方へ】。つまり【蒼炎の魔法を使える者へ】ってことだ。この封筒の差出人は【ウルフ・リンカイ】だ。初めにこの差出人を見た時に眉唾ものだと思ったが案外ひょっとするかも知れないな。ファイアール公爵家の歴史書にも記録がないほどの古い結界、失われた技術のステータスカード、また失われた魔法の個人の思念を物体に残す魔法。この封筒の中身は伝説の【ウルフ・リンカイ】から蒼炎が使える君に対してのメッセージが書いてあるかも知れない」

ヴィア主任の話を聞いて、僕の憧れの主人公が実在していたかも知れないって思ってきた。

うん? ちょっと待てよ。

「ヴィア主任、それで始めに戻るのですがこの封筒は開封できるのでしょうか?」

ヴィア主任はこちらを見て言った。

「この封筒の結界の封印魔法も何かしらのトリガーがあると思うんだ。それは間違いなく宛名が君だから君がトリガーになっているはず」

「でも結界の魔法は時間と共に弱まるんですよね。こんな小さな封筒に外部から魔力を吸い込む機能なんて無いと思いますが。待っていればその内結界が弱まりませんか?」

「外部から魔力を吸い込む機能を今の技術で組み込むのは不可能だ。だが魔力を吸い込む物体は存在しているだろ?」

そこまで言われて僕は気がついた。

「ダンジョン……。」

「そうだ。ダンジョンだ。この封筒の結界と祠の結界にはダンジョンの機能が施されていると推測する。未知の技術だな」

「それでは時間をかけてもトリガーが何かわからないと開封できないですね」

「しかしトリガーの推測はできる。可能性が高いのは君の成長と蒼炎の魔法とステータスカードかな。そのどれかか、又は全部かも知れない。まずはできることから始めよう。それは蒼炎の魔法の研究だな」

そう言ってヴィア主任は蒼炎の研究スケジュール案を僕に示した。