軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第14話 呪われた杖とサルファ・ウォータールとの邂逅

冒険者ギルドから帰ってきて部屋でミカと話し合った。

「現在、沼の主人ダンジョンを使っている冒険者がいないからダンジョン探索は通常の時間の昼で良くないか?昼夜逆転はやっぱり疲れるよ」

「アキくんの言う通りだね。それに沼の主人ダンジョンは見晴らしが良いし、他の冒険者がくればすぐにわかりそうだしね」

「じゃ今日はこのまま休んで、明日の朝から活動開始だ」

「時間を戻さないといけないから今日の夕方までは起きていたほうが良いわ」

「そっか。ならアクロの街でもぶらついてみようかな」

「私も一緒に行くね!」

「お金もそれなりにあるから装備や普段着なんか買いに行こうか」

「じゃちょっと待ってて!用意してくるから」

そう言うと慌てて自分の部屋に戻っていった。

やっぱり女性は洋服を買うのが好きなのかな?

それにしてもマジックバッグを冒険者ギルドから借りられて本当に良かった。そろそろ荷物持ちの奴隷を増やさないと駄目かなって薄っすら考えていたから。

買い物にもマジックバッグ持って行くか。

安らぎ館は居心地が良いけど一泊が2,500バル、2人で5,000バル。30日で150,000バルか。どっか部屋でも借りたほうが安上がりになるなぁ。ミカに相談してみるか。

そんな事をつらつら考えていたらノックの音がした。ミカの準備ができたようだ。扉を開けてビックリした。

いつも後ろでポニーテールにまとめている髪を下ろしている。また薄い化粧もしてる!?ゆったりとした白のワンピースも清楚な印象を醸し出している。

綺麗で清楚で品がある。服装や髪型でこんなに印象が違うのか。やはり帝国の公爵家の長女だけある。

呆気に取られているとミカが口を開いた。

「おかしいかな?こないだ少し早めに起きて買ってきたワンピースなんだけど…」

ミカは赤い顔をしてこちらの反応を窺う。

「いやとっても似合っていて言葉が出てこなかったよ。素敵な女性になってるよ」

そう褒め言葉を言うとミカの顔はますます赤くなった。

「じゃ行こうか」

そう言ってアクロの街に繰り出した。

アクロの街は東門から西門をつなぐ中央通り、北門から南門をつなぐ大通りが街の真ん中に通っている。

洋服屋や武器屋の商店は東南方面に集まっている。日差しが暖かい。気持ちの良い天候だ。

まず初めに洋服屋に入った。

2人とも普段着を数着と下着、あとは装備の下に着れる丈夫な服も購入した。

洋服屋では僕を着せ替え人形にしようとするミカに「どうせすぐ身長が伸びるから適当で良いよ」と言ってかわし続けた。

イマイチ納得をしてないミカの手を引いて武器屋に入店する。

武器と防具が所狭しと陳列されている。武器ってロマンがあるよねぇ。僕の攻撃は蒼炎だけだけど……。

家出した時に持ち出したショートソードはいつも装備しているけど使ったこと無いなぁ。剣とかどうしよう。一応魔術師だから魔術杖も買おうかな。でも杖持つと剣は諦めないと駄目かな。

一応魔術杖を見てみるかと思い魔術杖コーナーに移動した。奥の棚には高価な魔術杖が並んでいる。

【鳳凰の杖】火の魔法の威力を上げる

【白狼の杖】魔法の射出速度を上げる

この2つが3,000万バルする最高級品みたいだ。鳳凰の杖で蒼炎の魔法を撃ったらどうなるのか試したい気持ちがおきたが洒落になりそうにないので諦めた。

店舗の隅を見ると安物の杖の均一セールワゴンがあった。【1本どれでも1万バル!!】と記載されている。その中の一つに漆黒の高級そうな杖が1本入っている。漆黒の杖を持ってみる。手に馴染む。これが1万バル?と思っていると中年の男性店主から声がかかった。

「坊主!それはおすすめしないぞ!呪われている杖だからな」

ビクっとして店主の顔を見る。

「呪われているって言っても触っても問題はないぞ。それは杖の効果が使えないもんなんだ」

「使えない?」

「あぁ、その杖の名前は【黒龍の杖】って言ってダンジョンの宝から出たもんだ」

「ダンジョン産ならこんな価格はおかしくないですか?」

「それがな、この杖の効果に問題があって魔法の威力を抑えてしまうんだよ。魔法の威力を抑える杖なんて魔術杖として何の役にも立たない。見栄えが良いからそれでも良いって人が買わないかなって思ってるんだけどな。やっぱり売れないわ。ハハハハ!」

魔法の威力を抑える!? これで蒼炎を打ち出すとどうなるんだ。もしかしたらダンジョンの外でも蒼炎が使えるようになるかも!?

「おじさん、これ買うよ! 1万バルだね!」

「おぉ……。買ってくれるなら嬉しいけど本当に使えない杖だぞ。本当に買うのか」

僕はギルドカードを出して支払いを済ませる。早速ダンジョンに行って試してみないとね。明日の楽しみが一つできた。

ミカはいろいろ装備を見ていたけど、もう少しお金が貯まってからにするって。確かに沼の主人ダンジョンを周回しているうちは装備は今までので問題はないね。

お昼を過ぎていたので屋台でいろいろ購入して2人で分け合って食べる。特に肉の串焼きが美味しかった。結構食べ過ぎたな。

そろそろ安らぎ館に帰ろうと大通りを歩いていると前方から濃い青色の髪色をした高そうなスーツを着た20代半ばの男性が近寄ってきた。後ろには執事風の男性1人とチョーカーをした女性を3人従えている。

「おい、こちらの奴隷はお前のか? お前のなら500万ミラで俺に売れ!」

いきなり僕に向けて言ってきた。奴隷には基本的に人権が無い。あくまで主人の物の扱いになる。奴隷が問題を起こすと主人のせいになる。そのため奴隷とすぐに分かるように首にチョーカーをする必要がある。チョーカーをしているミカを見て奴隷と推察したのだろう。

「誠に申し訳ございませんが売るつもりはありません」

「なんだ小僧のくせに値段を釣り上げたいのか!最近のガキはどうしようもないな。それなら1,000万バルなら良いだろ!」

「いくら積まれても売るつもりはありませんのでご容赦ください」

そう言って頭を下げる。この態度のデカい男性はたぶん東の守護者のウォータール公爵家の関係者だ。これだけ濃い青色の髪色は間違いない。なるべく穏便に済ませたい。

「お前は馬鹿か! 私はウォータール公爵家の次男のサルファ・ウォータールだ! お前のその髪色ならウチの傍流の貴族なんだろ! 本家であるウォータール公爵家に上納するのが当たり前だろ! それなのに金を支払ってやるって言っているんだ!」

「すいません。私は貴族ではありません」

「魔力が弱くて没落して平民になったのか。ん、変だぞ。平民は奴隷は持てないだろ。この奴隷は誰のだ?」

「わたくしの奴隷です」

「だから平民に奴隷は持てないって言ってるだろ!」

「私は冒険者ギルドランクがDランクのため奴隷が持てます」

「馬鹿なことを言うな。お前のような子供がDランク冒険者のわけがないだろ!」

サルファ・ウォータールの後ろに控えていた執事風の男性が静かに口を開いた。

「サルファ様、確か数日前に最年少のDランク冒険者が誕生したと街の噂になっておりました。水色の髪色をした少年とのことです」

サルファは執事に言われてやっと僕がDランク冒険者と理解したようだ。

「たかだかDランク冒険者だろ。平民のくせにこの街でウォータール公爵家に歯向かうと言う事か。今なら間に合うぞ。大人しくその奴隷を1,000万バルで私に売れ!」

「なんども言いますがこちらの奴隷は売るつもりはありません」

「小生意気なガキだな! お前は少々力があって勘違いしているようだな。数日後には泣いて頼んでそちらの奴隷を私に献上することになるぞ! 覚えておけよ!」

そう言ってサルファは立ち去っていった。不安そうな顔でミカが話しかけてきた。

「大丈夫? 何か私のせいでウォータール公爵家に睨まれて。いろいろ嫌がらせとかされないかしら」

「まぁなるようになるでしょ。困ったら他の街に移るよ。ウォータール公爵家はここ東一帯にしか権力が及ばないでしょ」

笑顔で返すとミカは泣き笑いの顔になった。

「俺はミカを必要としてるんだ。前にも言ったよね。簡単に僕の奴隷から解放されると思わないでね」

「ありがとう、守ってくれて…」

「そのかわりミカは魔物から僕を守ってくれるでしょ」

目を見開いたミカが笑顔になって言った。

「それは任せておいてね」