軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第12話 沼の主人ダンジョン

今日はCランクダンジョンの沼の主人ダンジョンに行く予定だ。

このダンジョンは今までのダンジョンとは趣きがことなり沼地が広がるダンジョンとなる。このダンジョンは不思議な空間でダンジョンに入ると中は屋外のような雲天が広がる。そして朝、夜の区別が無い。ずっと曇り空が続いている。

沼地と言っても歩き易い道があり、両脇を沼地が広がっている。MAPも単純でほぼ一本道だ。

歩き易い道とは言ったが、所々に水溜りがあり普通の靴ではグチョグチョになってしまう。

昨日の内にふくらはぎまでくる編み上げブーツを2人分用意した。

ここのダンジョンでは泥のゴーレムが出現する。異名が【火の魔術師殺し】。泥でできているため身体に水分を含んでおり火の魔法が効きにくい。またコアを潰さないと再生してしまうため倒すには相当に労力を使う。はっきり言って不人気なダンジョンである。

もともと適正ランクのCランク冒険者もほとんどいないのに、泥のゴーレムの特性もあり、ここを狩場にする冒険者は皆無だ。ここならわざわざ夜に来る必要も無いような気がする。

アクロの西門を抜け2キロルくらい歩くと沼の主人ダンジョンに着いた。

「まずはアキくんの蒼炎が泥のゴーレムに効くかどうか試してみてだね」

「コアは胸の真ん中辺りなんだっけ?」

「胸の場合もあるし頭の場合もあるみたい。あまり討伐情報がギルドになかったのよね」

「まぁ試してみるよ。それから考えようか」

作戦ともいえない言葉をミカと交わしCランクダンジョンの沼の主人ダンジョンに踏み込んだ。

ダンジョンにはいると曇天が広がっている。

歩ける道は幅広く15メトルくらいあり真ん中を歩けば沼地から出てくる泥のゴーレムの奇襲にも対応可能だろう。

数十メトル歩くと右前方の沼地の泥が盛り上がってくる。体長が3メトルほど。身体全体が泥で出来ている。

急な登場に少し焦って蒼炎の魔法を唱える。焦ったせいか狙いが悪く左腕に命中した。

蒼炎の炎は泥のゴーレムに当たると左腕を起点に熱気を放った。一瞬のうちに泥に含まれている水分が蒸発し、辺り一面が水蒸気で白くなった。

5秒ほどで水蒸気が無くなり、泥のゴーレムがいた場所には泥の成分が赤白くドロドロになっていた。

「コアも壊したのかな?」

「たぶんそうね。跡形もないもの」

赤白くドロドロになった物体はダンジョンの地面に吸収され、その後に魔石が出てきた。

泥のゴーレムが沼地から出る前に倒してしまったため魔石は道から1メトルほど離れた沼地の中に埋もれている。

ミカが沼地に入らず片手剣で魔石を道に寄せてた。なんとか取れたようだ。

「アキくん、次からは泥のゴーレムが沼地を出てから魔法を撃つようにしてね。ゴーレムは動きが遅いから大丈夫でしょ」

「分かった気をつけるね」

獲得したC級魔石は大きさはD級魔石と変わらないが光が違った。内包している魔力が違うからだろう。魔石を見て美しく感じたのは初めてだった。

「よし!アキくん。【火の魔術師殺し】の泥のゴーレムも蒼炎で瞬殺できたわね。このままドンドン倒していきましょうか!」

火に強いC級モンスターの泥のゴーレムにも蒼炎が問題無く効くことが分かって安心だ。

この日はMPが持つまで泥のゴーレムを倒しまくった。

他にはたまにF級モンスターの鳥型のカーサスが襲って来たが、近寄るとミカが片手剣で切り裂いていた。面倒なので魔石は拾っていない。

沼の主人ダンジョンの帰り道、今日の収穫を計算する。

C級魔石が46個。2人共大きいリュックがパンパンだ。

魔石の価格で1,380,000バル。百万バルを余裕で超えている。

ギルドポイントが460,000ポイント。これでミカもDランク冒険者になれそうだ。

レベルは僕が3つ、ミカが4つ上がっている。

1日でここまでのお金とギルドポイント、レベルアップはとてもおいしい。不人気ダンジョンと言われているのが信じられない。ミカと話し合って当分この沼の主人ダンジョンに通うことが決定した。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

冒険者ギルドの買い取りカウンターは色めきだった。僕達がC級魔石をこれだけの量を納品したからだ。

C級モンスターとなると耐久力も高くなりC級冒険者のパーティ4人で1日4〜5体倒すのが限度のようだ。

このペースで毎日頑張ってもB級冒険者になるためには3,000日かかる計算になる。

C級冒険者のほとんどがBランク冒険者になる事を諦め、一つ下のランクのDランクダンジョンを狩場にしている人が多い。

通常ではCランク冒険者が最終目的のランクになっている。Cランク冒険者になる人も全体の1%弱だ。

そのためC級魔石の納品は限りなく少なくなっている。C級魔石を46個も納品した僕たちに色めき立つのは当たり前だった。

まだ朝早い時間ではあるが、このまま買い取りカウンターにいると目立つためギルドに頼んで個室で納品することをお願いしてみた。

すぐに了解してくれて個室に案内される。これで少しは悪目立ちしないだろう。

ノックと共にお茶を入れた受付の女性の方が入室してきた。僕の冒険者ギルド登録をしてくれたお姉さんだ。

「ギルド長に言われて今後アキさんの買い取りはこちらの部屋で行うことにしました。またアキさんの担当はこれから 私(わたくし) ナギが専任でさせていただきます」

お茶を出した後、丁寧に挨拶された。ナギさんっていうんだ。初めて知ったよ。

「ありがとうございます。いつも言っておりますが目立ちたくないためお言葉に甘えさせていただきます」

「当ギルドとしましてはこれだけのC級魔石を納品してくれる冒険者様に便宜を図るのは当たり前です。どうぞよろしくお願いします」

「ナギさんが担当になってくれて、とても嬉しく思います。こちらこそよろしくお願いします」

「それでは早速今日の買い取りとギルドポイントの加算をさせていただきますね」

僕とミカはC級魔石46個と2人のギルドカードを渡した。

「それでは1,380,000バルはアキさんのギルドカードに入れますね。ギルドポイントはC級魔石22個分の220,000ポイントをミカさんに入れてD級冒険者に昇格。残りのC級魔石24個分の240,000ポイントはアキさんのギルドカードに加算します」

そう言ってナギさんは魔石とギルドカードを持って退出した。

「ギルドの担当だって」

「まぁあれだけC級魔石を持ち込んだからね。アキくんの蒼炎が規格外ってことだね」

お茶を飲んで待っているとナギさんが戻ってきた。

「それではこちらが新しくなったミカさんのギルドカードです。Dランクからギルドカードは白銀製になります」

ミカは青銅製から白銀製になったギルドカードを嬉しそうな顔をして受け取る。

「見てみて!アキくんと同じ白銀製のカードだよ!」

「これでミカも 一端(いっぱし) の冒険者だね。おめでとう」

ニコニコ顔でギルドカードを眺めている。

こんなに喜ぶとは思わなかったな。ミカのギルドランクを上げて良かった。

ミカが落ち着くのを待ってナギさんが口を開く。

「それでですね。冒険者ギルドとしましてはこちらのカバンをお貸ししたいと思いまして」

そう言って出して来たのが革製のリュック型のカバンだった。

「カバンならもっと大きいの持ってますよ」

僕がそう言うと、したり顔でナギさんが喋り出す。

「こちらはマジックバッグです。容量は100立方メトル入ります。現在、魔石の運搬が大変じゃないですか?」

「これがマジックバッグですか!初めて見ます。使わせてもらって良いのですか?」

「どうぞ無料でお貸しします。これはアキさんに対してのギルドの先行投資ですから。お金が貯まったら買い取っていただいても良いですよ」

「どのくらいするんですか?」

「このくらいの容量なら2,000万バルですね」

「やっぱりそんなにするんですね。考えておきます」

「マジックバッグの使い方は入れたものを思い浮かべながら手を入れると取り出せます。何を入れたか忘れた場合は、カバンの中に手を入れると中に入っているものが頭に浮かんできますので安心してください」

僕たちはナギさんからマジックバッグを受け取り冒険者ギルドを後にした。