軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第6話 冒険への誘い

部屋はベットと机があり、ゆったりとスペースが取られている。冒険者宿泊施設の倍のスペースはありそうだ。

剣帯を外し、部屋に備え付けられている魔道具を使いお湯を沸かす。

お湯がちょうど沸いた時にノックがした。

「どうぞ!」

ミカはやっぱり無言で入ってくる。表情も無表情のまま変わらない。

「取り敢えずお茶いれているからそっちの椅子に座っててね」

お茶を入れてミカに渡す。

「まずは自己紹介をしっかりしようか。僕の名前はアキ・ファイアール。冒険者をやってる」

ファイアールの名前に反応があった。

「ミカが思ったとおり僕の実家はリンカイ王国のファイアール公爵家だよ」

ミカの目がこちらを凝視した。そして重い口を開く。

「……。なんでファイアール公爵家の人間が冒険者なんかをしてるの?」

自問自答しているような喋り方だった。

「まぁ見てのとおり僕の髪色を見ればファイアール公爵家の僕の立ち位置はだいたい想像つくでしょ」

ミカは無言で僕の髪色を見て、悲しそうな顔をした。

「水色の髪色だからファイアール公爵家ではいないものとして扱われてきたよ。でもそれは過ぎたことだから気にしていない。今は夢である冒険者になったことだしね」

「冒険者が夢?」

「そうだよ。自由に世界を飛び回りダンジョン探索や遺跡探索なんかしたいね。綺麗な景色や美味しい料理も食べてみたい。ミカも僕と一緒に冒険者を楽しまないかい?」

ミカは俯いて数秒経ってからこちらを睨みつけて怒鳴った。

「ならなんで普通にパーティメンバーを揃えないの!奴隷を買う理由が全くわからない!奴隷なんて貴族のおもちゃか戦闘時の捨て石じゃないの!」

なるほど僕みたいな子供が戦闘奴隷を購入したことに納得していなかったのか。きちんと説明しないとな。

「実は僕には秘密が3つある。この秘密は実力的にも権力的にも力を付けるまで隠しておきたいんだ。力をつけたらミカを奴隷から解放しても良いかな」

「秘密!?」

「秘密を話す前に主人としてミカに命令する。僕の秘密を他人に知らせないように」

「分かったわ。隷属の紋章がある限りその命令は守るわ。秘密があるから奴隷を購入したってわけね」

「まず一つ目は既に知ってるね。僕がファイアール公爵家の人間ってことだ。本当は18歳の成人になってから家を出る予定だったんだけど状況が変わって家出してきた。冒険者ギルドが15歳から登録できて良かったよ」

僕はお茶で喉を潤す。そして静かにカードを取り出した。

「次がこのカードだ。見てもらえるかい」

ミカは怪訝な顔でカードを覗く。

「こ、このカード!」

「そうだ。ステータスカードだよ。これによって自分のステータスが分かる。国宝級のお宝だね。ミカも触ってみたら?」

ミカは恐る恐る手を伸ばす。ステータスカードを触ると僕のステータスは消えて、ミカのステータスが表示された。

【名前】ミカ・エンジバーグ

【年齢】19歳

【性別】女性

【状態】隷属〈アキ・ファイアール〉

【レベル】14

【HP】85/85

【MP】30/30

【力 】38

【魔力】30

【速さ】26

【体力】24

【魔法】硬化、障壁

【剣術レベル】14

「自分のステータスが分かるってのはとても大きいことだね。3つ目の秘密はもう消えているけど僕のステータスに記載されてる魔法についてだ」

そう言ってもう一度僕がステータスカードを触る。

【名前】アキ・ファイアール

【年齢】15歳

【性別】男性

【状態】主人〈ミカ・エンジバーグ〉

【レベル】21

【HP】120/120

【MP】84/84

【力 】47

【魔力】55

【速さ】30

【体力】29

【魔法】蒼炎

【称号】オークキラー

ミカは僕のステータスの魔法の欄を見て口を開いた。

「蒼炎? 聞いた事の無い魔法だわ。炎は赤じゃないの?」

「僕もそう思っていたんだけど、通常のファイアーボールと比べても蒼炎は破壊力が凄いんだ。これは実際に見てもらったほうが良いね。僕の髪色は蒼炎の色だったみたい」

「ファイアール公爵家には知らせてないの?」

「ファイアール公爵家に蒼炎の事がバレたら冒険者ができなくなる可能性があるだろ。冒険者でいろいろ楽しいことをしたいんだよ。だから家出してきたんだ」

ミカは目を大きく見開いて、その後笑い出した。

「あなたちっちゃいなりのくせに大胆な行動に出るのね。気に入ったわ。私も一緒に冒険者として楽しみたくなったわ。どうせ私は誰にも必要とされていないからね」

「僕も今まで誰にも必要とされてこなかったよ。だけど冒険者としてこれから楽しんでいきたい。それにミカは既に僕から必要とされているんだよ」

びっくりした顔を見せたミカ。その後まばゆい笑顔で手を差し出した。

「よろしくね。ご主人様」

「こちらこそよろしくミカ。でもご主人様はやめて欲しいかな?」

「じゃアキくんで!」

そしてミカの差し出された右手を固く握った。