軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

北の封印のダンジョン

【1月9日】

コンゴに向けてアクロを出発する。

北のコンゴはこの時期とても寒い。

南のボムズ出身の僕にはとてもきつい。

ミカはここより北のカンダス帝国出身のため大して寒くないようだ。

馬車の中でずっとミカとくっついていた。

ヴィア主任はあれからずっと複雑そうな顔をしている。

サイドさんは晴れやかだ。

ここはそっとしておくのが良いと判断して何も聞かなかった。

【1月18日】

北の中央都市のコンゴに着いた。

学校はもう始まっているなぁ。

少しだけ寂しい。

この季節は雪があるためカンダス帝国は攻めて来ない。

今回は真っ直ぐ北の封印のダンジョンに向かった。

Aランク冒険者のギルドカードを扉に翳した。ここもゆっくりと扉が開く。

中の作りも他の封印のダンジョンと変わらない。

ただ中にいた神獣が一回り大きく感じる。

黒色の狼だからだろうか?

体長3メトルを優に超える巨体。睥睨して声を出す。

「汝らがBランクダンジョンを全制覇したものか?我は金狼だ。そこの女性が金属性の魔力を持っているな。ここは金属性の強さを測る試練だ。金属性の本質は何事にも負けない硬さだ。試練は簡単だ。ガラムが使っていた【金剛防壁】を使えれば終わりだ」

ウルフ・リンカイの手紙にあった【金剛防壁】も誰一人として発動していない。

ミカに発動させる事はできるのか?

ミカが【金剛防壁】の呪文を詠唱する。

【金剛の底力、強固な絆は永遠なり、金剛防壁!】

全く発動しない。

「ハハハハハ、そんな事では何回やっても同じ事だな。呪文の文言をしっかりと理解して出直してこい」

そう言って金狼は丸まって寝てしまった。

ミカは数回【金剛防壁】の呪文の詠唱を試したが、やはり発動しなかった。

コンゴの街に戻り、宿を取った。

ミカは【金剛防壁】の呪文の文言をじっと見ている。

僕も【金剛防壁】の呪文の文言を確かめてみる。

【金剛の底力、強固な絆は永遠なり、金剛防壁!】

僕は呪文の文言を何度も繰り返す。

じっと目を閉じる。

次に目を開いた時に心は決まった。

これしか無い。

呪文の文言をじっと見ているミカに話しかける。

「ミカ、ちょっと良いか?明日、一緒に行きたいところがある」

「どこに行くの?」

「奴隷商のところに行って、ミカを奴隷から解放するんだ」

一瞬で顔が青褪めるミカ。

「何言ってるのよ!その話はもう済んだ話でしょ!私はアキくんの奴隷はやめないわよ!」

「違うんだミカ、本当は今年の5月19日の誕生日に奴隷を解放したかったんだ」

「そんなのいつだって一緒よ!私はアキくんの奴隷はやめないから!」

「僕は今年の5月19日で15歳だ。成人になるんだ。そうすると結婚する事ができる年齢だ。しかし奴隷は奴隷としか結婚ができないからね」

ミカは僕の言葉を頭で理解していないようだ。

「こんな形で悪いんだけど、僕の奴隷をやめて、僕と夫婦になってくれないかな?」

「私がアキくんと結婚?」

「正式に結婚できるのは今年の5月19日になるけどね。それまでは婚約期間だよ。僕のプロポーズにぜひ応えて欲しい」

そう言って僕は右手をミカに差し出した。

僕の言葉を理解したようでミカの目からは涙が溢れた。

ゆっくりと僕の右手をミカは両手で包んでくれた。

「私で良いの?7歳も歳上になっちゃうよ」

「ぼくはミカが良いんだ。歳なんて些細なことは気にしないさ」

ミカの唇は涙でしょっぱかった。

次の日、コンゴの奴隷商会に行った。僕はミカの奴隷解放について、前から準備をしており国王陛下から戦争奴隷解放許可証をもらっていた。

隷属の魔法の効力を消してもらい、晴れてミカは奴隷から解放された。

奴隷の結婚は奴隷同士で無いとできないことになっている。法的に奴隷はあくまでも物扱いだからだ。

ミカが隷属紋が無くなった左腕を摩る。

「これでアキくんの感情が私に入って来なくなっちゃった。何か寂しいなぁ」

「主人と奴隷という関係はやっぱり歪なんだよ。それで【金剛防壁】が発動しないんだと思う。奴隷を解放した事によって、本当に強固な絆になったはずだよ」

「そうだったら嬉しいなぁ。今試すより金狼様の前で試してみましょう」

僕とミカだけで北の封印のダンジョンに向かう。

扉を開けて入ると金狼は昨日別れた時と同じ格好で丸まって寝ていた。

僕とミカに気がついた金狼は横になったまま、言葉を発する。

「なんだ。今日も来たのか?そんな簡単に【金剛防壁】が使えるようになるわけがないだろ」

「それはどうかな?」

僕の言葉に頷き、呪文の詠唱を始めるミカ。

【金剛の底力、】

空気が張り詰める!

【強固な絆は永遠なり、】

ミカの手の中に球状の黒っぽい壁が現れる

【金剛防壁!】

手の中の壁はミカを中心に広がり、半径20メトルに広がった。

この防壁は対象を選べるようで、僕は壁をすり抜けたが金狼は防壁に押されて転がっていく。

【金剛防壁】の発動成功である。

転がった金狼はこちらを見て笑いを上げる。

「これは見事也!素晴らしき【金剛防壁】だったぞ!これなら黄龍の雷の攻撃も防げるな!それより早く玉を出せ!」

あ、やっぱり。

僕は諦めてマジックバックから黒色の玉を金狼に渡す。

金狼は玉を飲み込む、少ししたら吐き出した。

玉には金の文字が光輝いていた。

「お主たちなら黄龍が倒せるかもしれんな。期待しとるぞ」

その後、ベトベトの玉を拾って北の封印のダンジョンを出た。