軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

南の封印のダンジョン

南の封印のダンジョンはファイアール公爵家の屋敷の側に存在する。

シンギとの会談の後、すぐに南の封印のダンジョンに向かった。

10メトルを超える大きな両開きの扉。

扉にAランク冒険者のギルドカードを翳すと、ゆっくりと扉は開いていく。

煉瓦造りの部屋、大きさは100メトル四方はある。

篝火がたかれていて、部屋の中は明るい。

正面の奥に大きな物体がいる。

身体を丸めて寝ている。

身体の色は真紅。遠目から見ると犬が身体を丸めているようだ。

こちらから歩いていくと30メトルのところでその巨体を起こした。

真っ赤な巨大な犬?

いや頭から鼻にかけてのラインはイヌより滑らかだ。目付きも鋭い。

四つ脚で立ち上がると体高は3メトルはある。馬より大きい。

これが神獣なのか?シンギ・ファイアールからは神獣の特徴を教わっていた。

間違っても攻撃をしないためである。

「この部屋にギルドカードで入ってきたな。お前達がBランクダンジョンを全て制覇したのか?」

太く、力強い声だった。

「アキ・ファイアールと申します。神獣様で間違いないでしょうか?」

「神獣とは呼ばれているな。ワシの名前は炎狼だ。そう呼んでくれて構わない」

「それでは炎狼様、炎狼様に捧げる供物を中止する事はできないのでしょうか?」

「お前は何を言っておるんだ。そんな事したらあの黄龍が暴れ出すぞ。この世界をまた絶望に落としたいのか?今の捧げられてる血の質なら25年に1回程度の供物で済むのだぞ」

それでも僕は諦められない。

「何か他に方法は無いのですか?」

「悪いが黄龍を封印するためには、継続的に魔力の補給が必要になる。その為の供物だ。これはウルフ・リンカイとその仲間に頼まれてワシらもやっている事だ」

やっぱり供物を捧げるしかないのか。

「しかしお前達はワシらが設定したBランクダンジョンを全制覇したのだろう?それならワシらの試練を抜け、黄龍を討伐してみせてくれ。ワシらも2,000年もこんなところで黄龍の封印をするのも飽き飽きなんだよ」

結局、そうなるんだよね。

心に決めろ!

こんな伝説的な冒険が他にあるか!

僕は炎狼に向かって言葉を発する。

「分かりました。それでは炎狼様の試練はなんでしょうか?」

「黄龍を倒すためには火、水、金、風の属性の優秀な人物が必要だ。ここでは火属性の強さを測る。お主らのパーティでは火の属性はアキ・ファイアールだな。白炎を操ったウルフ・リンカイを超える力を見せてくれよ」

そう言って炎狼は遠吠えを上げる。

僕の後ろ20メトルの床から5メトルほどのゴーレムが出てくる。

表面が水で覆われている。

そして身体から黒い霧が湧き出ている。

「このゴーレムは攻撃はしてこないから安心しろ。これは火の属性に強い水属性のゴーレムだ。また 醜(しゅう) 気を身体に纏っている。これを魔法で倒してみてくれ」

僕はゆっくりと蒼炎の魔法を詠唱する。

【焔の真理、】

蒼い炎が右手に集まる。

【全てを燃やし尽くす業火、】

蒼い炎が回転をしながら大きくなってくる。

【蒼炎!】

ゴーレムに向かって一直線に向かう!

蒼炎はゴーレムをちょうど覆う大きさに広がり、数秒で消えた。

蒼炎が消えた跡には何も残されていなかった。

「おぉ!素晴らしい!これがウルフが言っていた蒼炎の魔法か! 醜気(しゅうき) 諸共(もろとも) 無にしおった!これなら黄龍にも効くはずだ!」

これで試練は終了!?

簡単だったけど…。

「火の属性の特徴は破壊だ。黄龍に相対するなら圧倒的な破壊力が必要だ。蒼炎の魔法はそれを持っている。ワシの試練は合格だ。Bランクダンジョンの宝箱から出た玉があったろ。ワシは紅い玉だ。それを早く出せ」

僕は火宮のダンジョンの宝箱から出た深い赤色の直径20セチルほどの玉をマジックバックから出した。

炎狼はそれを飲み込む。

ビックリしていたが少し経って吐き出した。

涎(よだれ) でベチョベチョだ。

玉には火の文字が光っている。

「これから他の神獣の試練を抜けてこの玉を全て揃えろ。それを黄龍の封印がされているダンジョンで使うのだ。そうすれば簡易結界が出来上がる。結界ができると封印も一緒に解けるからな。結界の中なら外に被害が出ないように黄龍と戦えるからな」

サイドさんがベチョベチョの玉を拾ってくれた。

そして炎狼に質問をする。

「黄龍を倒すのに4属性の人間が必要なんですか?蒼炎の魔法だけではダメですか?」

「黄龍を甘くみてはいかん。優れた4属性の人間が集まっても討伐できるかはわからないのだから。分かっているのは蒼炎の魔法は白炎の魔法より破壊力がある事だ。討伐できるとしたらそこの小僧がいる時だな」

取り敢えず急いで他のところの封印のダンジョンも回らないと。

次はアクロかな。

そう思っていると炎狼から声がかかる。

「そこの小僧待て!小僧の蒼炎の魔法が強いのはわかった。しかし接近戦がまだ分からん。黄龍と戦う前にワシのところに修行に来い。剣術を教えてやるわ」

4本脚が剣術?

できるわけないじゃん。

そう思っていると炎狼は遠吠えを上げる。

床から火宮のダンジョンのボスイフリートが3体出てきた。

「コイツらに相手させるから安心しろ。黄龍と戦うなら最低限の体捌きが必要だからな。ちゃんと来るんだぞ」