軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

国王陛下の説明

【9月13日】

なんとか僕たちは王都に戻ってこれた。

まずは王都騎士団の詰所に事の経緯を説明しに行った。

王都騎士団達は、さすがにそんなことで騎士団を動かすわけないだろという人と、エアール公爵家ならやりかねんと2つの意見に分かれた。

僕たちはその足で冒険者ギルドにも行った。

以前、僕の家に挨拶に来てくれた30歳くらいのギルド長に説明する。

ギルド長は話の内容に驚き、すぐに冒険者ギルドカッター支部に連絡の人を送り出すそうだ。

僕たちは疲れていたため、まずは解散する事にした。

この夏の長期休みは王都からアクロ、ボムズ、カッター、王都と移動した。

なかなかキツい計画だったなぁと家でぼんやりしている。

休みはあと2週間ある。

少しゆったりしようと思う。

冬の長期休みになったらボムズに行き、封印のダンジョンについて説明を受ける予定だ。

今日はミカと一緒に街をぶらぶらする予定。

ミカがいつも後ろで纏めている髪を下ろして、薄化粧をしている。

ぐっと大人の色気が出てくる。

本当に綺麗になる。まぁ元々綺麗なんだけど。

今日はミカを着せ替え人形にしようと洋服店に行く。

セクシーな格好もギャップがあって良いけど、やっぱりミカは清楚な格好が良く似合う。

服を数点購入して家に帰った。

帰宅するとユリさんがカッターの情報を話す。

「母から聞いたのですが、カッターでエアール公爵家の屋敷が焼かれたそうです。何でもカッターの騎士団が冒険者ギルドに押し入ったそうで、騎士団と冒険者との間でいざこざに発展したみたいです。そこから街に暴動が広がって街が混乱したようです。一部の冒険者が、悪いのはエアール公爵家だって扇動したようで屋敷が燃やされたそうです」

カッターで暴動!?

エアール公爵家の屋敷が燃やされた!?

「今日、王都から治安維持のため王都騎士団がカッターに向けて出発してます」

ユリさんの声が遠く聞こえてくる。

この騒動は僕たち関係ないよね?

きっかけになってしまったのか?

膝が震えてくる。

ミカがそんな僕を見て、抱き締めてくれる。

数日すると新しい情報が入ってくる。

エアール公爵家の宗主が殺されてしまったようだ。

その家族の安否は分かっていない。

その情報を聞いてから3日後、僕ら冒険者パーティは国王陛下から呼ばれる事になる。

謁見は無く、あくまで私的の会談の形を取るそうだ

以前、国王陛下の謁見の手配をした王国外交部のピーター・ウォーターズさんが調整にきた。

会談の予定された日に王家から馬車が迎えにくる。

ヴィア主任もサイドさんも今日は正装だ。

ヴィア主任の髪はサラサラしている。

サイドさんは緊張しているみたい。

馬車は王城を抜けて王宮の裏門に止まる。

今日は王宮で会談とのこと。

男性の使用人に豪華な一室に案内される。

部屋には既に国王陛下がいた。

「アキくん、この度はAランク冒険者に昇格おめでとう!今日はそれのお祝いと頼みがあって来てもらった」

相変わらずフランクな国王陛下だ。

頼み?

なんだろう?

「まずは座ってくれ。今日は気楽に話してもらって構わない。あくまで私的な会談だからな」

陛下の勧めにより豪華なソファに座る。

「まずはアキくんのパーティがAランク冒険者になってくれて本当に嬉しい。良くやってくれた。それに伴い古の契約の制約が外された。今回はその事を説明させてもらおう」

あら、ボムズのファイアール公爵家から聞く予定だったけど良いか。

「ここ王都センタールの東西南北の四方向に封印のダンジョンが存在しておる。封印のダンジョンと呼ばれておるが、何も封印はされてはいない。封印のためのダンジョンとなっている」

そこでヴィア主任が言葉を挟む。

「やっぱりそうか、それなら封印されている場所は自ずと分かる。各封印の中心のここセンタールだな。封印されているのが黄龍か?」

「さすが頭脳明晰で名高いヴィア・ウォレット女史だな。その通りだ。ここセンタールに黄龍が封印されておる」

事もなげに陛下はそう言って話を続ける。

「黄龍を封印しているのは四属性の神獣だ。Bランクダンジョンは封印されている黄龍を倒せる可能性があるパーティを見つけるためにある。それをクリアしたパーティには神獣の試練に挑戦する権利が与えられる。簡単に言えば神獣から黄龍を倒せるだけの力量があると認められる事だ。今後、4つの封印のダンジョンを巡り、神獣の試練を全て達成して欲しい。それが成功した暁には神獣が黄龍の封印を解き、黄龍を討伐する事になる」

ここまでの話を聞いて僕は疑問に思っている事を話す。

「黄龍が封印されているのならば、このままでは駄目なんですか?わざわざ封印を解く意味がわからないです」

陛下の顔が暗い顔になる。

「封印の継続には犠牲が必要なのだ。神獣の力を保つため、定期的に良質な属性の魔力を神獣に捧げなければならない。その任を務めているのが各公爵家なのだ。神獣に捧げるために良質な魔力を持つ人間を作る。それが公爵家の使命なんだ」

一度話を切り、陛下はこちらの顔を見据えて話を続ける。

「神獣に魔力を捧げるのは公爵家の人だけだ。これは公爵家の始祖であるウルフ・リンカイの仲間が黄龍を倒せなかった事に対する罪と言っておる。ウォータール公爵家はカフェ、アイアール公爵家がガラム、ファイアール公爵家がウルフの子供が始祖だ」

罪にしては重い罰だ。

「しかしここに問題が生じた。エアール公爵家だ。現在、エアール公爵家の血族の消息がわからない。このまま放置しておくと西から封印が解ける可能性があるんだ。まぁ今日、明日と言うわけでは無いけどな。元々エアール公爵家はソフィア・ウォレールが目をかけた少年が始祖となっている。エルフが封印の守護者の任を担うにはいろいろ問題があってな。その為エアール公爵家がその任を担っておった」

一度お茶を飲む陛下。静かに言葉を続ける。

「各公爵家は、長い間、血の質を上げるために宗主は兄弟で1番優れている者が選ばれる。兄弟の中で自分が最も優れ、選ばれたという特別感。エアール公爵家の場合には、エルフが特別に封印の守護者の任から外れている。長い年月で精神が狂って来てもしょうがない。エルフ排斥運動はそれが起因していると思っている。神獣に魔力を捧げないエルフ。長い年月、血を濃くする事に邁進してきた強い自負心。それがエルフに向かって爆発したのだろう」

陛下はヴィア主任を見て話す。

「ヴィア殿はエルフ排斥運動で大変な思いをしたと聞いておる。それを許せとか忘れろとは言わない。しかし長い年月、神獣に魔力を捧げるために血を濃くする事に邁進してきた公爵家について少しだけ理解はして欲しい」

黄龍の封印のためにはこれからも各公爵家から魔力を捧げる事が必要になる。

また、現在エアール公爵家の消息が不明のため、このままほっておくと封印が解ける可能性がある。

そのため各封印のダンジョンで神獣の試練を受けて、黄龍を倒す必要があるという事か。

神獣の試練。

ウルフ・リンカイのパーティでも封印しか出来なかった黄龍。

まるで物語の主人公だ。

不謹慎だがワクワクしている自分がいる。

死ぬ可能性もあるのになんでだろう?

きっと未知の何かがあるからだろう。

そこを目指してみよう。

国王陛下との会談が終わり、ヴィア主任と話した。

「神獣ってどんな感じなんですかね。会えるのでしょうか?試練ってなんでしょうね」

「【白狼伝説】の神獣ではモンスターの首を引きちぎっていたな。相当大きい身体だとは思うのだが。試練は全く分からん。今度の長期休みは冬だから南のボムズから行ってみるのが良いかな」

冬の予定がこれで決まった。