作品タイトル不明
出頭要請の背景
「さて、その側近から話を聞くと、先程の出頭要請で何をしようとしているか分かった。その他にビングス・エアードがギルドの金を私物化し散財しまくっていると話が出てきた。自分が使うためだけの高級馬車や自分の実家の屋敷を通常の価格よりわざと高く買っていたりな。後はミカくんが昨日拾った噂話は本当みたいだね。王国財務部の周辺に多額の金をばら撒いている。その金の出どころもどうやら冒険者ギルドからの横領みたいでね」
僕はスラスラ話すヴィア主任に見惚れていた。
その美しい唇から言葉が続く。
「いくら元王国財務部の官僚であろうと、これだけ金を横領すれば、誤魔化しきれない感じになっている。それでも王国財務部に返り咲きたいから金がもっと欲しい。何とか帳尻を合わすことに躍起になっている。ビングス・エアードは焦っているんだ。追い詰められているのがありありと分かるだろ」
ヴィア主任は時折こちらの理解が追い付くように間を取る。そして話は続く。
「どうにも金が欲しいビングス・エアード。そこに現れたのが君達Bランク冒険者の2人だ。君達を手駒にして魔石を大量にギルドに納品して欲しい。あわよくば君達が持っている高価な大量のダンジョン製の装備を狙っているのかもしれない。ところが君達を取り込むために考えていた事が上手くいかない。君達は豪華な馬車や屋敷には目もくれず引っ越しする。潜り込ませるはずのパメラは君達に拒否される。君達は全く魔石を納品しない。遂には冒険者ギルドにも近寄らない」
サイドさんがお茶を入れ直してくれた。
そのお茶を飲んでヴィア主任の話を聞く。
「思い通りにいかない君達、しかし破綻が迫っている。そこで今回の出頭要請だ。冒険者規則を根拠に君達2人に圧力をかけようと思ったんだ。この出頭要請についてはギルド本部でも相当怒っていたよ。有能なBランク冒険者2人を冒険者ギルドの敵にするかも知れない行為だからね。それに出頭要請の根拠は薄弱だ。いや難癖でしかあり得ない。ただビングス・エアードは君達2人くらいなら、容易く言いくるめることが出来ると思ったんだろう」
なるほど出頭要請をした理由が良く分かった。納得した僕の顔を見てヴィア主任は微笑んでくれた。
僕に安心しろって顔で言ってる。ヴィア主任の話は続く。