作品タイトル不明
カイ・ファイアージ
ここの武器屋はアクロで利用した武器屋と同じ系列店である。店内のレイアウトがほとんど一緒だ。カウンターの奥の陳列棚にあるダンジョン製の装備は高級品だ。
何か使えるのはないかな?
なかなか【昇龍シリーズ】を超える性能の装備は少ないようだ。【昇龍シリーズ】はCランクダンジョンである沼の主人ダンジョンの装備だから当たり前かもしれない。
目ぼしい装備が見当たらないので魔術杖のコーナーに行った。そこには真紅の髪色をした13歳の少年がいた。なぜ年齢がわかるって?それは知ってる人物だから…。
少年の名前はカイ・ファイアージ。
ファイアール公爵家の分家であるファイアージ家の嫡男だ。小太りで脂っぽい顔。細い目と丸い鼻。高級そうな服を着ている。
カイは僕に気が付いてニヤリと笑ってしゃべりかけてきた。
「これは、これは、アキ様ではないですか?こちらは魔法杖の売場ですよ。魔法が使えない役立たずには必要がないもののはずですが?」
相変わらず嫌味を口にする奴だな。できれば会いたくない人物である。
取り敢えず無視かな。僕はカイを気にせず魔術杖を見始めた。
「こちらが話しかけているのに無視ですか?先程も言いましたが貴方には必要の無いものですよ。冷やかしなら帰ったらどうですか?」
面倒くさくなった。コイツは本家からの通達を知らないのか?しょうがないから口を開く。
「できれば僕の事はほっといて欲しいんだが。ファイアール公爵家からの通達を君は読んでいないのか?」
カイはイヤミっぽい顔をして返答する。
「通達?知らないな。僕は王都の魔法学校にいたからね。今日の午前中にボムズについてまだ屋敷には帰っていなくてね。魔法が使えないアキ様と違って僕の魔法は強力だからね」
どうりで僕に話しかけてくるはずだ。カイと話していると気持ちが暗くなる。
「それでは早く屋敷に帰ってファイアール公爵家からの通達を読むんだね。それが君の身の為だよ」
「さっきから意味不明な事ばかり言ってるね。魔法が使えなくて自暴自棄にでもなったのかい?」
話す度にイライラしてくる。僕はどうにかならないかと思い口を開く。
「最後通牒だ。これ以上僕に話しかけるならそれ相応の手段を取らせてもらう。僕からは以上だ」
「だから何を言ってるんだ。役立たずに話しかけたからって何がどうなるってんだ?頭がおかしくなってるのかい」
もう諦めよう。そう思い息を深くついてから話す。
「君と話していると不愉快になるんだ。もう僕のほうがいなくなるよ。君が屋敷に帰って通達を確認したら、君の父親は僕に謝罪したいと言うと思う。面倒なので謝罪はいらないと言っておいてくれ」
そう言って武器屋を後にする。
武器屋を出たところでミカが話しかけてくる。
「先程の人は知り合い?何か揉めてる感じだったけど」
僕は一度深呼吸をしてからミカの顔をみる。
「少し話が長くなるかもしれないからそこのお店でお茶でも飲みながら話すよ」
2人でオシャレなお店に入りお茶を注文する。