軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

26話:琥珀色の婚礼

「鎧の次は何にしようかな。アクセサリーも要る?あ、でも、あまり派手なのも騎士らしくないかな……」

考えているだけで楽しい。頭の中に浮かんできたデザインを画用紙の上に起こすのも楽しい。それをデザインから『絵』に落とし込んでいくのも楽しい!

「やっぱり金の装飾は欲しいと思うんだ。鉄だけじゃあ式典用にはちょっと地味だと思うし」

「おい、トウゴ」

「あ、折角だからゴルダの金、使えないかな。ちょっと向こうの精霊様に言って分けてもらおうかな……」

「トーウーゴー、それ、隣の家に塩借りるような調子で言うことじゃねえんだぞー、戻ってこーい、戻ってこーい」

「でも、森の子らの鎧だから、ちゃんと森の子だって分かるようなデザインにするか、あるいは紋章……うーん、植物って曲線のイメージなんだけれど、ラオクレスは直線のイメージだ。ええと……」

「こら!トウゴ君!あんまりはしゃいじゃ駄目!ほら!あなたの家の周り、お花畑になっちゃうでしょ!」

……あっ。

考えているだけで楽しいのだけれど、楽しくなってしまったらちょっと暴走してしまっていたらしい。ああ、窓の外が花畑だ……。

「全くもう。トウゴ君ったらふわふわ坊やなんだから……ちょっと落ち着きなさいな」

うう、とんでもない悪口を言われている気がするけれど、反論できない……。

……窓の外で急な花畑に驚く馬達を眺めつつ、ちょっと反省する。

あんまり、はしゃがないようにしよう……。

……ということで、森の町では結婚式の準備が始まった。

結婚式の予定はもう告知し終わって、町の人達もどこか浮足立ってわくわくしているし、町の人達はマーセンさんやインターリアさんが警備していると、口々にお祝いの言葉を言っていった。

この町の人達は、人の幸せを喜べる人達だから、すごくいいと思うよ。

「トウゴー、これ、どこにどうやって飾るんだよー!」

「あ、それはそっちの柱にぐるっと。たっぷり襞を取って3か所ぐらい留めながら一周してほしい。残った布は天井。さっきと同じで頼むね」

そうして僕も、いよいよ結婚式場づくりの仕上げに入っている。今は、リアンと氷の小鳥達に手伝ってもらいながら、幅3m、長さ30mぐらいある薄絹で装飾しているところだ。

……描いてしまった方が飾るのは楽なんだけれど、でも、リアンが手伝いたいって言っていたので、やってもらうことにした。それから、この薄絹はライラが染めたやつなんだ。若草色や人参色、金褐色にたんぽぽ色……そしてメインは濃淡の琥珀色だ。色とりどりの薄絹は、きっと僕が描いたらこの繊細さまでじっくり表現しきれないと思うし、丁度いい。

そうして薄絹をたっぷりと飾って、リアンは郵便配達の仕事に戻っていって、それから僕は柔らかい緑の蔓草を飾って、会場に飾ったり花嫁さんのブーケにしたりするための花をとりあえずそこらへんに咲かせてみて、これは後でライラとクロアさんに選定してもらうことにして……。

……と、ある程度作業が進んだところで、やってきたラオクレスが僕をつまみ上げて運んでしまった。分かってるよ。休憩だよね。分かってるよ。分かってるから運ばないで!

そういうわけで、運ばれてしまった僕は、昼ごはんを食べる。

昼ごはんは町のお供え物だ。塩味のパンに枝豆ペーストとふわふわとろとろのオムレツとハムが挟まったやつ。とても美味しい。まだほかほかしていて、出来立てで……ん?これ、もしかして町の人、僕がお供えを持っていく時刻を予想してお供えしてくれた?いや、まさかね……。

他にも果物やお菓子が備えてあったのを、やってきた鳥と分けながら食べて……そして、僕と鳥の隣で、ラオクレスはまた別のものを食べつつ一緒に休憩。

「作業は順調そうだな」

「うん」

運ばれなければもっと順調なんだけど、とは言わない。分かってる。休憩を挟みつつやるのが、一番『順調』だ。

「……嬉しそうだな」

「そりゃあ、当然」

鳥の羽毛の中からすぽん、と出てきた魔王に驚きつつ、お供えのジュースを分けてみる。……あ、駄目らしい。魔王が酔っぱらって、てろん、と不定形になってしまった。そっか。魔王もお供え物は酔っぱらっちゃうのか。じゃあこれからもお供えは僕と鳥で頂くことにしよう。

「……お世話になってる人達が幸せそうなら、嬉しいよ。ラオクレスは、そうじゃない?」

「まあ、俺も似たようなものだが」

うん。知ってる。ラオクレス、あんまり顔には出さないけれど、どことなくそわそわしてるんだよ。なんというか、動きがそわそわしている。

……こういうそわそわ具合って、絵に表現するのが難しいよね。それこそ、彫刻とか、あるいはいっそアニメーションとか。そういう表現方法ならそわそわラオクレスを表せるのかもしれない……。

「嬉しいなあ」

「あまり喜ぶな。花が咲く」

あ、うん。いけないいけない。足元で花の蕾がほころんでしまっている。……なんでかなあ。今までこんなことなかったと思うのだけれど、最近、とみに森と僕が連動してしまっている……。いや、僕は森なんだから、まあ、自分の一部が自分の気持ちに合わせて動くのって、別に不自然なことじゃない気もするけれどさ。

「……お前のそれは美徳だな」

「え?」

唐突にラオクレスはそう言って、僕の頭を撫でにかかった。なんだなんだ。

「午後は非番だ」

「え、あ、うん。知ってる」

こっちも唐突になんだなんだ。ラオクレスの勤務時間は知ってるよ。一応、僕、雇い主なんだからな。

「何か俺にも手伝えることがあれば言え。どちらかと言えば不器用な方だから繊細な仕事には向かんが、力仕事ならいくらでもやる」

「力仕事はあんまり無いけれど……あ、じゃあ、高いところの飾りつけ、お願いしようかな。鳳凰なら届くんだけれど、あんまり効率が良くないんだ。ラオクレスの身長なら届くと思う」

天井までじゃないけれど、ちょっと高い壁面とか、そういうところの装飾って、あんまり捗らないんだよ。……生憎、僕はチビな方なので。背の順で並んだらほぼ確実に一番前……。うう。

そうしてお昼休憩後、僕はラオクレスと一緒に会場の飾りつけを進めた。今は、夜の国の花を使ったランプを壁の高い位置に取り付けてもらっているところだ。

……案の定、ラオクレスの身長だと、僕が飾りたかった高さに手が届いていた。ちょっと複雑な気持ちになりつつ、でも助かることは間違いないし、順調に、飾りつけを進めていたのだけれど……。

「……こういうの、準備してるの、楽しいよね」

ラオクレスの顔を見ていたら、その、穏やかで、晴れ晴れとしていて、少し楽しそうだったものだから、そう言ってみた。

「まあ……そうかもしれん」

するとラオクレスは、『唐突だな』っていうような顔をして……それから、はっと気づいたように、言った。

「……俺はそういう顔をしていたか?」

「うん」

してたよ。そういう顔、してた。

そっか。ラオクレスも楽しいか。じゃあしょうがないよね。

「あんまりはしゃいだら新郎新婦に悪いかもしれないけどさ。でも、幸せのお裾分けしてもらってるって思って、はしゃいで準備しても、いいよね。ちょっとくらいなら」

僕は楽しい。ラオクレスも楽しい。あんまりはしゃぐと花が咲いてクロアさんに怒られてしまうけれど、まあ、ちょっとくらいなら、いいよね?

「花が咲かない程度にな」

……あ、ラオクレスにも釘を刺されてしまった。まあ、その、善処します……。

そうして。

「本日はご結婚おめでとうございます」

「ああ、ありがとう、トウゴ君」

結婚式当日。僕は、新郎であるマーセンさんに挨拶していた。隣人として。あと、この町の町長として。それから、雇い主として。そして一応、この森の精霊として……。

「……なんだか、夢のようだよ。おかしいな。ついこの間まで私は奴隷として市場に並んでいたはずなんだが」

マーセンさんは婚礼の衣装を着て、いつもより更にぴしりとした印象だ。金と琥珀色で刺繍の入ったアイボリーの礼服は、インターリアさんと色味を揃えてある。花嫁さんも早く見たい。

……それにしても。

マーセンさんは穏やかながらしっかりして頼りがいのある人だけれど、今はちょっとだけ、遠いところに居るような、そんな気がする。まあ、そういうものなのかもしれない。卒業とか結婚とか、そういうのって、『はじまり』でもあって、『おわり』でもあるんだと思う。何かが変わる時はいつだって、嬉しくて、少し不安で、ちょっとだけ寂しい。

それから少しだけ、マーセンさんと話させてもらうことにした。他の人達だってマーセンさんと話したいだろうから、あんまりマーセンさんを独占していたら申し訳ないのだけれど……でも、少しだけ。

「トウゴ君のところに来てから、何もかもが上手くいく。本当に、夢でも見ているようだ」

「夢じゃないですよ」

折角なのでマーセンさんの頬を、むに、とつまませてもらった。マーセンさんは『いはいいはい』と半笑いで抵抗してきたので離す。ほら、夢じゃないですよ。

「……何より、ゴルダとの決着が着いたのが、嬉しい。私も嬉しいが、インターリアも、他の騎士達も……何より、エドが、救われただろう」

エド……ラオクレスのこと。うん。そうか。ラオクレスも、救われた……ええと、僕が『救った』なんて思うのは流石に思い上がりだと思うのだけれど、でも、少しだけ、その手伝いができた、とは、思ってもいいだろうか。

「本当にありがとう、トウゴ君。我々を救ってくれて。幸せにしてくれて」

「僕の力じゃないですよ。むしろ、僕が幸せにしてもらってるんです。皆に……この世界に」

けれどやっぱり、幸せになったのも救われているのも、僕の方だと思う。

……本当に、夢みたいだ。この世界に来てから、すごく、幸せなんだ。

「君が幸せならそれは何よりだがね。まあ、これからも、ラオクレスをよろしく」

「……よろしくされるのは僕の方な気がする」

「ははは!それならそれでいいのさ。奴はそうするのが幸せなように見える」

そういうものだろうか?う、うーん、それはあまりにも、僕に都合が良すぎるのではないだろうか……。

「……そして何より、我々を、よろしく。私もインターリアも、今後ともあなたにお仕えしたい」

「うん。こちらこそ、よろしくお願いします」

まあ、いいか。考えすぎるのは無しだ。僕らはお互いにぺこんぺこんとお辞儀し合って、再確認。

難しく色々考える必要は無いね。要は、これからもよろしく、っていうことなんだから。

……そうして、僕らは会場に入る。

会場は、アイボリーの大理石でできた天井の高い建物だ。教会をイメージしたのだけれど、この世界の宗教のことはよく分からないので、フェイに聞いて色々問題が無いようにだけ気を付けた。

……まあ、この世界、精霊信仰というか多神教に寄っているところがあるみたいだから、結構宗教については大らかで、結果として、僕が気にしなきゃいけないことはほとんど無かったんだけれども。

大理石の柱が立ち並ぶ中、天井に近い位置にはステンドグラスがある。薔薇窓、っていうんだっけ。そういう装飾のステンドグラスだ。

そして、天井には絵を描いてある。……ちょっと不思議なかんじなのだけれど、青空の絵と、そこにそよぐ木々の葉を描いた。あと、空を飛ぶ鳥とか。

これ、僕は気に入っている。絵を実体化させずにちゃんと絵として仕上げたところも気に入っているし、何より、絵のタッチを結構気にして描いたんだ。滑らかで艶のある表面になるように。少し深みのある色を選んで……アイボリーの大理石に合うような、そういう絵の描き方をしてみた。その結果、いい色合いの空の絵ができたから、大満足。

……いや、魔王のお腹に色を塗って青空にするっていう案を実行できなかったからこういう絵にしたわけじゃないんだけれどさ。でも、何故か魔王がこの天井画を妙に気に入っていて、今もライラの膝の上に抱きかかえられながら、『まおーん!』と元気に鳴いては尻尾を天井に向けて振っている。なんだろうなあ……。

「トウゴー、お前、早速描いてるのか?」

「うん」

そんな中、僕は絵を描いている。

会場で花嫁を待っているマーセンさんの様子や、会場でわくわくしながら待っている参列客の皆さん。描きたいものはたくさんある。

「結構描いてるなあ……」

「うん」

フェイは僕が描いている横からスケッチブックの端をちょっと捲って、感心したような呆れたような声を出した。だって描きたいものがたくさんあったんだからしょうがないだろ。

「……あ。おい、トウゴ。そろそろ始まるみたいだぜ」

でも、フェイに小声でささやかれて、ちょっとつつかれて、慌てて会場の扉の方を見る。

今日はいい天気だから、会場の扉の上のステンドグラスが太陽の光に透けて中々いい具合だ。

そして、人がちょっと出入りして何か確認した後……ゆったりと、会場の扉が、開く。

……そこに立っていたのは、今この瞬間は間違いなく世界一綺麗な本日の主役……インターリアさんだ!

……それから、結婚式が始まった。

インターリアさんが入場してきて、マーセンさんと合流して、ちょっと挨拶があって、そして僕らの前で……永遠の愛を誓った。

……ええと。ただ、その、誓う相手が……。

「私は我が妻、インターリアへの永遠の愛を、精霊様に誓おう」

「私は我が夫、マーセンへの永遠の愛を、この森に誓おう」

……僕に誓ってどうするんだ!

2人とも台詞は違っても、どっちも僕だ!強いて言うなら精霊は各地に沢山居るのだろうけれど、森は間違いなく僕だ!そして僕は精霊なのでやっぱりどっちも僕だよ!

僕としてはものすごく複雑な、なんか、その、照れる?恥ずかしい?ええと、そういう気持ちなのだけれど……周囲はすぐに拍手と歓声でいっぱいになってしまって、その……その……。

……ああもういいや!とりあえずおめでとう!幸せになってほしい!おめでとう!おめでとう!描かせてもらおう!

結婚式は、すぐに建物を出て、半屋外のパーティー会場でのお祝いに変わった。この世界の結婚式って、結構気取らないかんじなんだな。これはこれでいいと思うよ。おかげで僕は描き放題。

……たくさんの人にお祝いの言葉を掛けられて、マーセンさんとインターリアさんはそれぞれ、すごく幸せそうに笑っている。そして僕ら参列客は、その幸せのお裾分けでやっぱり幸せなかんじなんだ。

おかげで、描くのが楽しい。一場面一場面を切り取って絵にしたくなる。綺麗なものってとっておきたくなるし、僕の目で見た結婚式の様子を伝えたくもあるし……あと、単純に、描いていて楽しい。綺麗なものや幸せなものって、描いていて楽しいんだよ。

僕がひたすら絵を描いていたら、段々パーティは終わりに近づいてきて、徐々にお開きになってきて、新郎新婦に縁の深い人達だけが残るようになった。ええと、二次会、というやつかもしれない。

そして、二次会の様子を描く僕の横に、いつの間にか横にラオクレスが来ていた。

「……描いているな」

「うん」

フェイと同じような反応だなあ、と思いつつ、ちょっとラオクレスを見上げる。

ラオクレスは僕をちら、と見てから、会場の中心……マーセンさんとインターリアさんを見る。

新郎新婦に向けられる目は、穏やかで、じんわりと幸福そうで、それでいて、ちょっとだけ、寂しげにも見える。

「……あのさ」

寂しい?と、聞こうと思って、僕は口を開く。失礼かな、とも思ったけれど、でも、僕もほんの少しだけ、寂しいような、そういう気持ちがあるから。でも、ちょっとだけ、口に出すことを躊躇って……。

「2人とも、こんな隅の方に居ていいの?」

けれど、僕が続きを言うより先に、クロアさんがやってきてにっこり笑う。クロアさんの手にはお酒のグラスと思しきものがある。……飲んでいるらしい。

「あら。ラオクレス、あなた、ちょっと寂しそうな顔ね」

そしてクロアさんは、僕が言おうかどうか躊躇っていたことをあっさりと口にすると……小首を傾げて、ちょっと悪戯っぽい笑みを浮かべて、続けた。

「インターリアさんがマーセンさんと結婚してしまって、寂しい?」

途端、ラオクレスは目を見開いて、口を開いて、閉じて……目を閉じて、ため息を吐いた。

「馬鹿言え」

「そう?そういう顔に見えたけれど」

クロアさんが尚もにこにことラオクレスの顔を覗き込むと、ラオクレスはちょっと戸惑うような、自分自身に説明するかのような、そんな調子で話す。

「インターリアに対して恋愛感情は無い。ただ、共に在った仲間として、大切に思ってはいるが、それなら先輩も同じだ」

「あら。私、別に『恋していた相手が結婚してしまって寂しい?』なんて聞かなかったけれど。友人だって仲間だって、結婚してしまったらちょっと遠くへ行ってしまったようで、なんとなく寂しいでしょう?」

「……お前の聞き方が悪い」

「そうかしら」

2人の会話を聞いていると、なんとなくラオクレスの方が分が悪そうだ。がんばれラオクレス。

「未来永劫、自分が相手にとっての一番大事な人になれなくなってしまった、っていうのは、寂しいと思うけれど」

クロアさんがちょっと寂し気にそう言ってグラスを傾けると、ラオクレスは不思議そうな顔をした。

「……特に、その、一番大事な人、とやらになりたいと思ったことはないが。お前は……」

……そこでラオクレスは、はっとしたような顔をした。

「クロア、お前、隊長のことを」

「違うわよ」

そして何かに気づいたラオクレスはクロアさんに即断即決で不正解を出される。び、びっくりした。僕も、まさかクロアさんはマーセンさんのことが好きだったのだろうか、とびっくりしていたところだった……。

「……同列一位だって、一番でしょう。仲間と笑いあったり、馬鹿みたいにはしゃいだり。そういう時、この仲間が一番、なんて思わないものじゃないかしら」

そしてクロアさんから正解の解説が出ると、ラオクレスはちょっと思うところがあったらしくて、ふらふら、と視線を彷徨わせる。

視線が彷徨う先に居るのは、新郎新婦だ。

「ね。そういうものじゃないかしら」

「……そうかもしれん」

そして、クロアさんの確認にそんな返事をして、ラオクレスは小さくため息を吐く。クロアさんはそれにちょっと微笑んでいるのだけれど……。

……嘘から出た実、っていう言葉がある。

でも、絵から出た実、っていうのも、あるんだな。

今のクロアさんの顔、僕がこの間、ゴルダの鉱山で描いた絵みたいな顔だ。ええと、『傷ついた戦士を癒す慈愛の女神』……。

それからもう少し、クロアさんとラオクレスが話して、そこに僕もちょっと混ぜてもらって、楽しくやっていた。

……の、だけれど。

まおんまおん、と、魔王の鳴き声が聞こえてくる。ちょっと慌てたような鳴き声に、何かあったのかな、と思って、そちらを見ると……。

「あっ!大変だ!」

魔王の尻尾を、地面から出た手が、掴んでいる!

……ゾンビだ!