軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

双剣 3

「「大好きだよ、魔剣さん」」

二人は双剣になった魔剣を一振りずつ手にしている。

奇しくも、短くなった双剣は子どもにぴったりの大きさだ。

魔石がついている側はルティア、もう一方はハルトが手にしている。

不思議なことに双剣になってから、魔剣は再び旦那様や子どもたちも触ることができるようになった。

双剣に作り直すときには、私以外に触らせなかったのに……不思議だ。

「レイブランド」

声を掛けると、ルティアが持った剣についている宝石が赤く光った。

「不思議ね……私は魔力を持っていないけれど、あなたの光が見えるのは、もしかして生命を流し込んだという魔力回路が関係しているの?」

魔剣は光ることなく黙りこむ。

でも、ハルトが持っている側は魔力が流れる魔力回路、ルティアが持っている側は生命が流れる回路が組み込まれているし、魔剣と聖剣はレイブランドとフィアレイアの命が込められている。

私の考えは、間違ってはいないだろう……。

二つの大きなあくびが聞こえてきた。

「さあ、二人ともそろそろ寝なさいね」

「「はーい……」」

昨日一晩うたた寝だけで起きていて、朝が来てからも魔剣と一緒にいたいのだと眠らずにいたルティアとハルト。

そろそろ眠気も限界のようだ。

「「お父さま、魔剣さんを預かっていてね」」

「ああ、わかった」

「「お父さま、おやすみなさい」」

「ああ、おやすみ。ルティア、ハルト……」

「「おやすみなさい、お母さま」」

「ええ、ルティア、ハルト、おやすみなさい」

二人は手を繋ぎ子ども部屋へ行った。

* * *

私たちも夫婦の部屋に向かう。

旦那様は聖剣をソファーの上に置いた。

そして、魔剣を手にしたときに、それは起こった。

室内が赤い光に包まれる。

目の前にいるのは、旦那様なのだろうか……。いや、よく似ているけれど髪の毛も長いし、旦那様よりも少しだけ目つきが鋭い。

「エミラ」

「……レイブランド?」

「少しだけ……リアムの体を借りたから。感謝の言葉を伝えたくて」

「助けてもらうばかりで、何もできていません」

「――はは、エミラには感謝している。エミラのおかげでリアムは救われたし、サミュエルも幸せそうだ」

「――そうであれば、とても嬉しいです」

レイブランドは穏やかに微笑んだ。

まるで、私たちのことを見守る親のような笑みだ。

「さて、エミラは魔力を持たないが、俺たちの姿を見ることができる」

「……ええ、私は魔力を持ちません」

だからこそ、戦うことができず、自分にできることを探し続けてきた。

ルティアとハルトが生まれたおかげで、一つ目標ができた。

「フィアレイアと同じだ。魔力を持たず、それ故に魔獣を惹きつけ、神代の魔導具の力を引き出すことができた」

「……レイブランド?」

「苦難はきっとこれからもあるのだろう。だが、大丈夫だ。これからも俺たちが守るから」

私はレイブランドを見つめた。

彼はフィアーゼ家の始祖として魔獣と戦い、そのあとは魔剣としてフィアーゼ家の当主たちと共に戦い続けてきた。

「……千年の月日は、長かったでしょう?」

想像もできない長い期間、彼は生きてきた。

「そうだな……ルティアとハルトが生まれる日をずっと待っていた」

「……ルティアとハルトですか?」

「ああ、二人のおかげでフィアレイアともう一度会えたから」

壁に立てかけられていた聖剣に視線を向ける。

ほのかに光るのは、私とベルティナの瞳と同じ色のアイスブルーの宝石。

ロレンシア辺境伯家の色だ。

視線を戻すと、すでにレイブランドの姿は消えていた。

旦那様は双剣を手にし、立ち上がった。

聖剣と魔剣がソファーの上に置かれた。

姿がどれだけ変わろうと、二人は愛し合っているのだろう。

寄り添い、赤い光と淡い水色の光が混ざり合う。

「旦那様……」

「エミラ、君に会えてうれしい」

「私もです……」

ロレンシア辺境伯領のお祭りの日、薔薇の花を渡した記憶が鮮やかによみがえる。

あの瞬間から、旦那様は私にとって特別な存在だ。

五年前、結婚式とたった一晩そばにいただけで、忘れることができない愛しい人になった。

もちろん、それはルティアとハルトの姿が、旦那様にとてもよく似ていたこともある。

「大好きです……旦那様」

「ああ、俺も、一目見た瞬間から、君のことをずっと……」

もしかすると、私たちの出会いは、千年前にレイブランドとフィアレイアが願った未来の結末なのかもしれない。

部屋の明かりが消されて暗くなった。

ほのかに光る赤と淡い水色の光が混ざり合い、部屋を紫色に照らしている。

私たちは、甘やかな口づけを交わした。

千年前の約束を、願いを、叶えるような幸せな夜は、今夜訪れる。