軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

50 【閑話】風

サロンで本を読んでいたソフィは、外から小さな音がしたような気がして顔を上げた。

「……マーサ? クレア?」

そっと扉を開ける。

真っ暗な廊下には、誰もいない。

ぱたんと閉じ、本に戻った。

突然内容が頭に入らなくなり、ため息とともにそれを閉じた。

小さな布の袋から、蝋紙に包んだ金属のプレートを取り出す。

ランプの光を反射させるその飾り気のない金属に刻まれた

『3級癒師 クルト=オズホーン』の文字を指でなぞる。

表面が少し、汚れた。

きれいな布で、丁寧に拭う。

『ソフィ嬢、失礼する』

そんな声は

静かなサロンのどこからも、聞こえてはこなかった。

しんしんと夜は深まり

しんしんと冬が深まっていた。