軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

秘密会談

帝都ウルリッヒのアップタウンには、ルベルモン通りと呼ばれる馬車道がある。

ルベルモン通りは、高級商店の立ち並ぶ瀟洒な通りだ。

ミドルタウンとの境から貴族街へ向かってルベルモン通りを進めば、やがて【超一流料理店】に到着する。

アーロンが出資する美食自慢の店だ。

かつてメルの逆鱗に触れた、料理店でもある。

いま【超一流料理店】の個室で、二人の貴族が晩餐を楽しんでいた。

二人は、それぞれ異なる国からウスベルク帝国に派遣された外交官である。

これが最後の晩餐になるかも知れない。

そのように陰鬱な雰囲気を漂わせる二人だった。

ミッティア魔法王国は超大国であり、その卓越した魔法技術により周辺諸国を黙らせてきた。

ミッティア魔法王国の北に隣接するロンバルディ神聖国や東方の小国が集まってできたワジム共和国連合などは、その最たるものである。

彼らにとって、ウスベルク帝国の窮状は他人事と思えない。

その一方で、ミッティア魔法王国の関心がウスベルク帝国に向けられているのは、好ましいことだった。

野心を持つ大国の関心が他所へ向けられている状況は、隷属させられた弱小国家にとって良いことに違いなかった。

だが、問題の国へ派遣されている外交官としては、そうも言っていられない。

望むと望まざるとにかかわらず、危険な火の粉は降りかかる。

おそらくウィルヘルム皇帝陛下は、内乱の鎮圧に助力せよと言うだろう。

内乱だから、ミッティア魔法王国は関係ないと…。

実のところ関係はアリアリだ。

内乱を装っているだけで、これは間違いなくミッティア魔法王国による侵略戦争だった。

それを指摘すれば、次はミッティア魔法王国の条約違反を口実にして、戦争への協力を要請してくるだろう。

立場上、ウスベルク帝国に援助はできない。

ウィルヘルム皇帝陛下の親書を母国へ届けるのが、精一杯だ。

どうせ断られるに決まっていても、それを届けるのが大使の重要な務めである。

ミッティア魔法王国の密偵にウィルヘルム皇帝陛下の親書が見つかれば、命を落とす危険さえあった。

いいや。

まず無事に届けられるとは思えない。

心情的にはウスベルク帝国を応援したいが、実に煩わしいことだった。

国家による援助は約束できないが、心の中でひっそりと応援しよう。

そして、もし…。

もし可能であるのなら。

ウスベルク帝国には、ミッティア魔法王国の国力を削いでもらいたい。

「叶わぬ夢であるな…」

ロンバルディ神聖国家からウスベルク帝国に派遣されたコストナー大使は、手にしたグラスをテーブルに戻し、ポツリと呟いた。

高価な紅い果実酒が、グラスの中で揺れる。

「コストナー卿。ウィルヘルム皇帝陛下は、何をお考えであろう?」

ワジム共和国連合のサンデルス大使が訊ねた。

コストナーとサンデルスの間には、国益を損ねない範囲での親交があった。

そもそもロンバルディ神聖国とワジム共和国連合には、国家間でいがみ合う理由がなかった。

ミッティア魔法王国に煮え湯を飲まされている互いの立場も、わざわざ内実を打ち明けるまでもなく知り尽くしていた。

そのうえコストナーとサンデルスは、ウスベルク帝国に派遣された外交官として助け合っていたのだから、節度を保った友好関係が築かれてもおかしくない。

「何を?と問われるが、サンデルス卿も凡その見当はついていらっしゃるだろう」

「まあね…。ウィルヘルム皇帝陛下も、よほど追いつめられたと見える」

未来なき閑職に身を置き、日に日に衰えていくウスベルク帝国を観察しながら、定期的に 報告書(レポート) を作成して母国へ送るのが二人の務めだ。

ウスベルク帝国に派遣された時点で、文官の出世コースから外されたようなものである。

「この時期、我らを会合の席に招くのだ。ミッティア魔法王国の後背を突けとか、そのような話に違いあるまい」

「断られると分かっていても、頼まずにはおれぬか…」

国家は情に流されない。

国家を動かすのは、いつだって冷徹な損得勘定だ。

「国王や皇帝ともなれば、その責務も 嘸(さぞ) かし重かろう。無駄と分かっていても、必死になって足掻くしかあるまい」

「はぁー。無意味な親書を託される、我々の気も重い」

「まったく頭が痛い。親書を届けるにしても、どうやってヴェルマン海峡を渡ったものか…」

ヴェルマン海峡はミッティア魔法王国の海軍によって、封鎖されていた。

コストナーとサンデルスの二人にしてみれば、ヴェルマン海峡を渡るだけで命懸けだ。

「やってられませんな」

「サンデルス殿に同意する」

「会合は明日の昼からだ」

「避けようのないコトに頭を悩ませるな。今を楽しみましょう」

無意味な親書を届けるために、どうして身体を張らなければならないのか…?

自分の命が、安すぎるように思えた。

翌日になって、コストナーとサンデルスは礼服に身を固め、エーベルヴァイン城を訪れた。

そしてルーキエ祭祀長の案内で、これまで足を踏み入れたことがない区画へと向かった。

数年前には、封印の塔があった区画だ。

「こちらは、確か立ち入り禁止だった筈では…」

「今でも、立ち入り禁止区域に指定されておりますぞ。強力な結界があり、外からは内側の様子も分かりませぬ」

「そのような場所で会合を…」

「ふむっ。精霊の子に招かれざる者は、何人たりとて立ち入ることが叶いませぬから…。このような会談には、最適だと申せましょう」

結界を越えたのか、遠くから子供たちの声が聞こえてきた。

「ルーキエ祭祀長殿、あれは…」

天に聳え立つ巨木が、いきなりコストナーの視界に飛び込んできた。

見惚れるほど素晴らしい大樹だった。

「えっ!?」

サンデルスが自分の目を擦った。

隠蔽術式の効果が切れると、知覚は速やかに回復する。

ただし、慣れていないと違和感が半端ない。

「結界も、あの樹も、すごい。ウスベルク帝国に、このような隠された技術があったとは…」

「あちらに生えている樹は、精霊樹ですな」

「ミッティア魔法王国の密偵どもが、血眼で探している精霊樹…。そのような大事を我々に見せて、よろしいのですか!?」

「それをお決めになるのは、精霊の子です」

「精霊の子…?」

「ユグドラシル王国の妖精女王陛下ですな」

ルーキエ祭祀長が、したり顔で頷いた。

草むらに大きな長机が置いてあり、既に会談の参加者たちは揃っているようだった。

驚いたことに、白銀の髪を持つ少女が上座の席を占拠していた。

少女の後ろには古めかしい巫女装束姿の女性が三人、精霊樹を背にして佇む。

「あの美しい女性たちは、肌を緑色に塗っているのでしょうか?」

そのような風習を聞いた覚えがないサンデルスは、小声でルーキエ祭祀長に訊ねた。

「いいえ。彼女たちはドリアードです。肌を塗っている訳では、ございません。東邦では、ニュムペーと呼ばれる存在ですな」

「ニュムペー?いや、そんな…」

「ルーキエ祭祀長殿…。草木の精霊なんて、空想物語の話ではありませんか!?」

「フフフッ…。精霊樹もドリアードも、実在しておりますぞ!」

ルーキエ祭祀長は胸を張り、得意げに言い放った。

「あの方は…。何やら、恐ろしく雰囲気のある女性がいらっしゃるのですが…」

黒髪に漆黒のドレス。

一見して若く美しいエルフ女性のようだが、騙されてはいけない。

コストナーとサンデルスの危険感知センサーが、頭の中で激しく警告音を発していた。

「あの黒髪をした女性は、もしや調停者さまでは…?」

「ふむっ。お二人は、すぐれた勘をお持ちのようですな。その通りです。あのエルフ女性が、調停者クリスタさまです」

精霊樹にドリアード、そして伝説の魔女。

【調停者クリスタ】と言えば、即ち滅国のクリスタ。

暗黒時代に殺戮と破壊の限りを尽くした、災厄の魔女である。

ビビるなと言う方に、無理があった。

「くっ。これは何の会談でしょうか?」

「駄目だ。わたしは緊張で吐きそうです」

コストナーとサンデルスは、想像と異なる事態に直面させられて顔面蒼白になった。

「ははは…。気を楽にしてください。妖精女王陛下が、お二人に頼みごとをしたいと仰せです。なぁーに、難しいことではないでしょう」

それにしてもである。

ウィルヘルム皇帝陛下やフーベルト宰相の席は、少女より格下の位置にあった。

ということは、おそらく精霊の子と思しき白銀の少女が、この場で最も位の高い存在なのだ。

「メルさま…。ロンバルディ神聖国のコストナー大使と、ワジム共和国連合のサンデルス大使をお連れしました」

ルーキエ祭祀長が跪いた。

「うむっ。オマーら、よぉー来たのぉー」

実に偉そうだ。

「わらしが、妖精女王のメルである!」

白銀の髪を持つ少女メルが、席に座ったまま名乗りを上げた。

「オマエたち、ちと頭が高いぞ」

呆気に取られている二人を見て、ウィルヘルム皇帝陛下が苦笑した。

「はっ!?」

「これは、申し訳ございません!!」

我に返ったコストナーとサンデルスは、慌ててルーキエ祭祀長に 倣(なら) う。

「ははぁーっ」

「妖精女王陛下に御拝謁を賜り、恐悦至極に存じます」

どのように振舞えば良いのか分からない。

直答が許されるのかも、教えられていなかった。

狭量な王に不敬と断じられたなら、斬首される可能性もあり得る。

それは幼い女王が相手でも、変わりあるまい。

コストナーとサンデルスの額に、脂汗が滲んだ。

「よいよい。気にするでない。わらしのことは、そうさのぉー。ウィルヘルムと間違わんよう、特別に【陛下ちゃん♪】と呼ぶことを許しましょう」

「メルさま…。ふざけるのは大概になさいませ!」

調停者クリスタが、メルを一喝した。

「クリスタはぁー。そんな叱らんでも…。わらし、あの人らの緊張をほぐそうとしたのです。真面目ですやん。子どもらしい、お茶目じゃありませんか」

「ちゃんとして下されば、叱られることもございませんでしょう」

「ああーっ。もうイヤ。わらし妖精女王陛下なのに、恰好がつきません。もう帰っていいですか?」

「駄目です」

どうやら、妖精女王陛下に任せておいては話が進まないと判断されたようである。

その後を皇帝陛下の相談役であるアーロンが引き継ぐことになった。

コストナーとサンデルスは、ウィルヘルム皇帝陛下の勧めに従って着席した。

妖精女王陛下は、調停者クリスタの膝に抱っこされていた。

要するに逃亡防止だ。

「なぁなぁ、クリスタ。わらし、帰りたいデス」

「動かずに我慢しましょう。じっとしている訓練が足りませんね」

「ウーッ」

「口を尖らせてはなりません」

もう十歳なのに、膝の上は恥ずかしい。

「アーロン、早うせぇ!」

「はぁー。決定事項を伝えるだけです。手短に済ませましょう…。地図を」

アーロンの指示で、長机に巨大な地図が広げられた。

「これは…」

「なんと精密な…」

「この地図は精霊が作り上げたものです。第一の戦場は、ヴラシア平原となります。我が騎士団は、このような陣形で待ち受けます。反乱軍は、こちらから進行して来ます」

アーロンが、地図の上にコマを並べていく。

「ミッティア魔法王国の軍勢と、本格的に事を構えるのですか!?」

「サンデルス卿、反乱軍だろ」

「失敬。間違えました」

「構いませんよ。反乱軍とミッティア魔法王国の侵略軍は、互いに協力していますから。どう呼ぼうと、お好きなように」

「面倒くさい。そんなもの 一括(ひとくく) りにして、敵でよかろう?」

「憎むべき敵ですね」

ウィルヘルム皇帝陛下の発言に、アーロンが頷いた。

「かなり帝都に近い位置ですが、それでよろしいのでしょうか?」

「どこで戦おうと同じだと思いますけど、移動距離が長いほど兵は疲れますよね」

「それだけでなく、モルゲンシュテルン侯爵領で魔導甲冑や多脚ゴーレムを破壊した場合、修理される可能性がある」

「この解釈でよろしいかと…」

「ちゃうねん。おまぁーら、ちっとも分かっとらんわ。ぜんぜん、違うどぉー!」

メルが長机をバンバンと叩いた。

「わらしはなぁー。慈悲ぶかき妖精女王陛下デス。戦闘を二回に分けたのは、考える時間を与えるためじゃ!」

「敵に時間を与えるのですか…」

「そうじゃアーロン。まずはヴラシア平原で、コテンパンに叩く。わらしに恐れをなした雑兵は、コソコソと逃げればよろしい。それでも逆らう奴らは、あぼーんします」

「あぼーん?」

「この世から削除です。でりーと!」

「なるほど…。メルさまは、実にお優しい」

ウィルヘルム皇帝陛下が、ここぞとばかりにメルを誉めそやした。

沈んでいたメルのテンションが上がる。

「でな…。ヴラシア平原には、わらしのデビュタントに相応しく、みっちりと用意がされておるのじゃ」

「デビュタントって…。社交界デビューでもあるまいし」

アーロンが怪訝そうな表情を浮かべた。

「わらしの初陣よ。格好よく決めたいじゃん」

「メルさん。ヴラシア平原に、何をしたんですか…?」

「ラビーさんに頼んで、しこたま精霊樹の苗を植えておきました。それはもぉー、数年越しの仕込みでございますよ。あっこは、わらしの陣地と化したのです」

「あたしに隠れて、そんな準備をしていたのかい?」

メルの話を聞いたクリスタは、呆れ顔になった。

「戦場の支配度を上げておくのは、とっても大切なことデス」

そこでメルが、コストナーとサンデルスに視線を向けた。

「あーたらは、わらしのデビュタントに観戦武官としてご招待します」

これも、予期していなかった事態だ。

ウィルヘルム皇帝陛下の親書を託されると思い込んでいたのに、どうやら最前線へ行くことになりそうだ。

「はぁ。しかし、私どもは文官でして…。身体を鍛えておりません」

「軍事に関しては、さっぱり」

「関係あらへん。兵隊さんの知識や訓練なんぞ、必要なかぁー。黙ってついて来ればいいんじゃ。迷わず行けよ、行けば分かるさ!」

妖精女王陛下に命じられたら、頷くしかない。

「はい。承知いたしました」

「よろこんで…」

取り敢えず頭を下げたけれど、心の中は不安で一杯だ。

妖精女王陛下だと紹介されても、その外見は愛らしい少女である。

どうやってミッティア魔法王国の軍勢を退けるつもりなのか、見当もつかない。

社交界なら可愛らしさで勝てるかもしれないけれど、戦争では強さのみが問われるのだ。

ウィルヘルム皇帝陛下の様子をコッソリと盗み見る。

コストナーが知るウィルヘルム皇帝陛下と違って、その表情は自信に満ちていた。

どうも勝つ気でいるらしい。

「ゴイスーなもん、見せたるでぇー。じゃけん。あーたらは、わらしの素晴らしさを母国へ伝えなアカンぞ」

「実は、そのことなのですが…。ミッティア魔法王国の軍艦に、ヴェルマン海峡が封鎖されておりまして」

「コストナーさま。ヴェルマン海峡の件でしたら、折を見て私が解決いたしましょう」

巫女装束を纏ったエルフの娘が、おっとりとした口調で応じた。

印象は華やかだが、調停者クリスタと目鼻立ちの似通った娘である。

それは、エルフ族の王家に特徴的な容貌だった。

艶のある黒髪を 艶(あで) やかな色遣いの飾りひもで束ね、さり気なく背中に垂らしていた。

澄みきった湖のように青い瞳が、コストナーをじっと見つめる。

それだけでコストナーは、エルフの娘から視線を逸らせなくなった。

魅惑…。

愛らしいのに、どこかしら妖艶である。

クリスタと違う意味で、只者ではなかった。

「貴女さまは…?」

「これは名乗りもせずに、失礼を致しました。私は斎王です」

「斎王さま…?」

「エルフ族の長…!」

コストナーとサンデルスは、言葉を交わした相手が斎王と知って凍りついた。

次から次へと、雲上人の投げ売りかと思う。

二の句が継げない。

「あっ…。いま、びびっと来た。わらし、閃きました」

「メルさま。また何を閃かれたのですか?」

「よくぞ聞いてくれました、ウィルヘルム。わらしって、偉いじゃん。何なら、もう一番に偉いデショ!」

「そんな話は、聞きたくありません」

クリスタはメルの台詞に眉を顰めた。

「もぉー、婆さまってば…。いけずやなぁー。チョットだけ、わらしの話を聞こぉー」

メルが甘えるような口調で訴えた。

「チョットだけですよ」

「ありがとなぁー。えっと、どこまで話したっけ…。そうそう…。一番に偉いまでや。でな。こんな偉いんやから、テートのオモチャ屋をぜぇーんぶ私物化したってもエエんちゃうか?そんくらい、当然の権利デショ。そしたら欲しいもんを探し歩かんでも、簡単に手に入るけぇー。ウケケケケッ!」

「いいですかメルさま。偉い人は、そのような真似を致しません」

クリスタが左右の手で、メルの頬っぺたをミューンと引っ張った。

「へへやろ。れんぶ、わらひのもんれ…。へへやろ!」

「黙れ。このバカちんがぁー」

「ほっへが、いたぁーわ。くいひゅた、ふこひ手加減ひてんかぁー」

「妖精女王陛下として、相応しい行動を学びましょう。そうすれば、二度と抓られずに済みますよ」

「ぴぎゃぁー!」

妖精女王陛下の頬っぺたは、特別製である。

柔らかくて、お餅みたいに良く伸びる。

正直なところ、笑いを禁じ得ない。

「……ッ!」

「プッ…。可愛らしい少女に、なんと惨い」

コストナーとサンデルスが、長机の端っこで顔を引きつらせた。

しかし、これもまた陰険な策略かも知れない。

あの軟弱で、とぼけた顔をしたウィルヘルム皇帝陛下の 演技(グチ) に騙されて、これまでウスベルク帝国の背景を探ろうともしなかった。

ウスベルク帝国がミッティア魔法王国を本気で打ち負かそうと企んでいたとは、まさに驚天動地の展開である。

「コストナー卿よ。私たちは、試されているのだろうか?笑ったら、無礼討ちとか…?」

「そんなこと知らん!」

自分たちの失態を潔く認めたら、今度は調停者クリスタと妖精女王陛下メルのグダグダな言い争いまでが小芝居に思えて悩ましい。

自信を喪失すると何もかもが疑わしくなり、些細なことでさえ判断を下せなくなるのだ。

「笑っていいか?」

「やめておけ」

「しかし、面白すぎるのだが…」

「サンデルス卿が笑えば、私も耐えられなくなるだろ。歯を食いしばって、我慢しろ!」

ウスベルク帝国の深部には、とんでもない怪物たちが潜んでいた。

ここは、心して掛からねばならぬ。

そういう場面だった。