軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第33話 狙われる

ある日、食堂でお昼を食べていたら、ミアの視線が……私の食べている目玉焼きとチーズのサンドパンをジッと見ている。

「……ミア、どうしたの?」

「うん、アリスが作ってくるパンが美味しそうで……食べたい! ねえ、アリス。休みの日にアリスの家に遊びに行くからご馳走してよ」

「えっ、ミア、このサンドパンが食べたいの?」

「そう言えば、お兄様が、アリスが作ってくれたコカトリス肉のパンが美味しかったと言っていたわ。私はコカトリス肉のパンが食べたいわ」

ソフィア様まで……お店は光の曜日が休みだから、闇の曜日なら良いですよと答えた。

「アリス、闇の曜日は、ロレンツ様と俺は朝から騎士科講習があるんだ……コカ肉のパンを食べに行けないじゃないか!」

えっ、ユーゴまで来る気だったの?

「ユーゴ、光の曜日は店が休みだから仕方が無いよ。僕もアリスのパンが食べてみたいんだけどね……」

ロレンツ様まで……そんな特別なパンじゃないのに。

「じゃあ、来週の火の曜日に、ロレンツ様とユーゴの分のサンドパンを持ってきますね。それで良いですか?」

「やった! アリス、ありがとな!」

「アリス、良いのかい? フフ、楽しみにしているよ」

市場のパン屋で売っているパンに、具材を挟んだだけなのにね。ということで、次の闇の曜日は女の子3人でお昼を食べることになった。

◇◇◇

週末の闇の曜日、お昼前にソフィア様とミアを学園の門まで迎えに来た。『テオの薬屋』は、住民エリアの奥・裏通りにあるから分かりにくいのよね。

「アリス、おはよう。迎えに来てくれてありがとう。ふふふ」

「おはよう~。アリス、今日はよろしくね!」

約束の時間より早く来たのに、もうソフィア様とミアが待っていた。

「ソフィア様、ミア、おはようございます」

2人とも制服じゃないからいつもと感じが違う。ミアは薄いオレンジ色のワンピースで、ソフィア様は淡いピンク色のワンピースで2人ともかわいい~。特にソフィア様は、教室にいる時とは違ってずっと笑顔だよ。ふふ。

ミアは月に一度は家に帰っているらしく、ソフィア様は寮に入ってから初めての外出だそうです。学園に入る前は、ラミレス家の領地に住んでいたから、<王都リッヒ>の街はほとんど知らなくて、今日を楽しみにしていたんだって。

途中、ソフィア様が店の前で立ち止まって「このお店を見てもいいかしら?」と、楽しそう。ミアと私は、ソフィア様に庶民に人気のお店を案内しながら住民エリアの奥へ向かった。

「テオ~、ただいま。えっと、グループメンバーの……ソフィア様とミアよ」

紹介の仕方が悩むな。ミアは友達って紹介しても良いだろうけど、貴族のソフィア様を友達とは言えない。テオには、ロペス様の妹だと伝えているけどね。

「おう! いらっしゃい。俺はテオ。アリスと仲良くしてくれてありがとな。小さい店だがゆっくりして行ってくれ」

「ソフィア・ラミレスです。今日はお邪魔いたします」

「私はミアです。テオさん、今日はご馳走になりに来ました!」

ミア……その通りだけど。ふふ。

「ワハハハ! アリスの料理は旨いからな」

「テオ~! 親バカな発言はやめてよね~。恥ずかしいじゃない」

「あはは! アリス、愛されているね~」

「ふふふ、本当ですわね」

もう! テオ、お願いだから人前で褒めるのは止めて……。

2人を奥の台所にあるテーブルに案内し、先に果実水を出した。そして、台所でバッグから目玉焼きとチーズ・特製の甘いソースを掛けたコカ肉・ピリ辛ソースのオークハムの3種類のサンドパンを出し、それぞれ半分に切って大皿に並べた。

「3種類用意したけど、半分に切っているから好きなのを食べてね」

「アリス、嬉しい~。全種類食べたい!」

「ミア、半分ずつでも3種類は食べきれないんじゃないかしら?」

うん。半分でも結構大きいよ~。

「ソフィア様の言う通りだよ。ミア、無理して食べると後で苦しくなるよ」

「大丈夫。全種類食べられる気がする!」

結局、ソフィア様はコカ肉と目玉焼きのサンドパンを半分ずつ食べて、ミアは美味しいと連呼しながら3種類とも半分ずつペロリと食べた。

「アリス~、ごちそうさまでした! どれも美味しかった~」

「ありがとう……ミア」

「ミア、本当に3種類とも食べたのね……凄いわ。ねえ、アリス……私もこのピリ辛ソースのオークハムのサンドパンを食べてみたいから、ロレンツ様とユーゴに持って来る時、私の分も持って来てくれないかしら?」

ソフィア様がミアを見た後、ピリ辛ソースのオークハムパンを見つめながら、ちょっと悔しそうに言うのが可愛い。ふふ。

「良いですよ。ソフィア様、ピリ辛ソースのオークハムのサンドパンですね」

「ええっ! アリス、私も食べる! 3種類を半分にして持って来て~」

「えっ、ミアは3種類とも食べたのにまだ食べるの? 分かった。じゃあ、みんなが食べられるように多めに持って行くね」

「やった~! アリス、ありがとう」

ということで、休み明けの火の曜日に5人分のサンドパンを持って行くことになった。いつもお世話になっているから、そのお礼になれば良いかな。

食事が終わって、おしゃべりに夢中になっていたらお店を閉める時間になった。そろそろ学園に帰らないとね。

「もう帰るのか、俺が学園まで送って行こう」

「テオさん、帰り道は分かりますので、送って頂かなくても大丈夫です。今日はお邪魔しました」

「うんうん。テオさん、私も道を覚えたから大丈夫です。また、遊びに来ますね~」

テオに、私が2人を学園まで送って行くと言った。

「そうか? じゃあ、みんな気を付けてな」

店を出て学園までの道のりを、3人でペチャクチャ話しながら歩くのも楽しい。ふふ。

大通りに出る手前の四つ角に、馬車が停まっている。知らない大人が3人……ガラの悪そうな冒険者風の男達がこっちを見て指差した。

「いたぞ、あの金髪の子供がそうだ!」

そう言って、こっちに走って来た。えっ、金髪……ミアが狙われている? ソフィア様とミアは気付いていない。

「ミア! 逃げて!」

「「アリス?」どうしたの?」

「ミア、早く!」

ソフィア様の向こうにいるミアを、押すように逃げてと言ったけど、

「アリス? えっ!?」

2人の男があっと言う間に近付いてミアを捕まえた。

「いやっ、放して――! うぐっ……」