軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第3話 錬金術師の先生は

息を切らせて……走って来たのかな?

「大丈夫ですか? お昼に来られたお客様ですよね? そこのイスに座ってください。お水を持ってきますね」

「はぁ、はぁ、ああ……」

お店の奥にある台所までお水を取りに行って、イケメンの騎士様に差し出した。

「どうぞ、お水です」

「ああ、すまない……」

イケメンの騎士様は一気に水を飲んだ。

「フゥ~、お水をありがとう」

「お客様、買ってもらったポーションに何かありましたか?」

「ああ、そのポーションなんだが、効果が凄くてね! 痛みが、消えたんだよ! 痺(しび) れもないんだ!」

「そうですか……お体に合ったみたいで良かったです。ふふ」

にっこりと答える。あれ? 古傷の痛みを消すためにポーションを買ったんですよね? 痛みが消えるのは当たり前なんだけど……。

「それで、今日中にもう1本買おうと思って、慌てて来たんだよ」

「えっ? 連続して飲まない方が良いですよ。痛みが出てから飲んで下さい」

ポーションは、続けて飲んだら身体に良くないって知らないのかな?

「いつもはダンジョン産のポーションを飲んでいるんだが、痛みが半減するだけで3日も持たない。それが、ここのポーションを飲んだら痛みが全く無くなったんだ! 信じられない!」

騎士様は目をキラキラさせて言うけど、

「えっ? ダンジョン産のポーションを飲んでも痛みが消えないんですか?」

どれだけひどいケガをしたんだろう……。

「ああ、そうなんだ。ポーションを飲んで痛みが消えるなんて初めてだから嬉しくてね。フフ、このポーションを作った錬金術師にお礼を言いたいんだが、ご在宅かな?」

騎士様がニコニコして言うけど、なんだか面倒そうだ……テオ、ごめん。

「えっと……今、先生はダンジョンに行ってます。帰ってきたら伝えておきますね」

「ダンジョンに……では後日、お礼に伺おうか。お嬢さん、ポーションをあるだけ売って欲しいんだが、良いかな?」

ええ~! さっき1本って言ったのに、たくさんは作っていないですよ。

「自家製ポーションは……3本あります」

お店に並べているのは3本だけ。バッグにも少しあるけど、これは急に必要になった時の為に持っておきたい。それに全部売ってしまったら、常連さんのポーションが無くなってしまうからね。

「3本とも買う!」

「ありがとうございます。ポーションは、必ず痛みが出て来てから飲んでくださいね」

「ああ、分かった」

騎士様は、空ビンを持ってきてくれなかったので定価で売ったけど、釣りはいらないと嬉しそうに金貨1枚おいて行った。騎士様はお金持ちみたい。

今日の売り上げは過去最高だった。さあ、店を閉めたら、ポーションを作ろうかな~。ふふ。

◇◇

それから3日後の夕方、ダンジョンからテオが帰って来た。

「アリス帰ったぞ!」

「テオ! お帰り~。何か、ボロボロだね……」

ケガをしている様には見えないけど、髪がボサボサで装備服も汚れている。テオに近付き、回復魔法『ヒール』と浄化魔法『クリーン』をかけた。

「おっ、ありがとな! アリス、今日もお土産あるからな」

「おみやげ!? テオ、ありがとう~」

おみやげを見ると、薬草に青紫の……魔力草だ! すごい! マジックポーションの材料だよ。マジックポーションは、その名前の通り体内の魔力――MP――を回復するポーションの事。

「テオ、魔力草がある! これ売らなくてもいいの? 金貨1枚で売れるのに」

「ああ、マジックポーションを作る練習に使うといい」

「金貨1枚する魔力草を、練習になんて使えないよ~。でも、嬉しいな。もう少し錬金術の腕が上がったら作るね」

魔力草は劣化しやすいので、時間停止が付いている私のバッグに入れておく。

「今からご飯作るけど、テオも食べる?」

「おお! 食べるぞ。アリス、酒の肴も頼むよ」

「は~い」

魔法を使って手早く料理をつくる。テオは、自分のアイテムバッグからお酒を出してもう飲んでいる。それを横目に出来上がった料理をテーブルに並べた。

「アリスの作った料理は、外の店で食べるのより旨いな!」

「ふふふ。テオありがと~。9才にしたら上出来だよね!」

お世辞だと分かっているけど、テオが美味しいって言ってくれるのが嬉しいんだよね~。

「そうだ、テオ! この前、初めてのお客さんが自家製ポーションを買ってくれたの。それでね、ポーションを飲んだら効果が良かったみたいで『錬金術師にお礼が言いたい』って言われたの。でね~~『今、ダンジョン行っています』って、答えたから! テオ、よろしくね~」

「ブブッ――!」

テオは、飲んでいたお酒をふき出した。

「何だって! 今のポーションはアリスが作っているじゃないか! 甘えた声を出していると思えば……俺に振ったのか!」

ええ~! テオは甘えた声を出すといつも喜ぶくせに~。

「もう、汚いな~。テオ、ごめんね。何か、めんどうだったから……」

「ん? どんな奴だったんだ?」

私はテオがこぼしたお酒を拭きながら答えた。

「う~ん、白い騎士団の服を着た20才位の男の人で、顔色が凄く悪いけど金髪でキレイな青い目の……すっごいイケメンの騎士様!」

「あー、それは面倒くさそうだ……貴族だな」