軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第16話 ダンジョン15階へ

「ここか……」

「広いですね……。副隊長、足場が不安定だと思われますので、迂回して下の階へ行ける道を確認します」

エリオット様とアルバート様が、ダンジョンの地図を見ながら話し合っている。ロペス様に下ろしてもらい、大きな穴を見ようとエリオット様がいる所まで近付いた。ドキドキが止まらない……。

「アリス、少し遠回りになるけど、15階に向かうよ」

「はい、エリオット様……」

「アリス、行くよ」

ロペス様の声に振り向くと、ロペス様が背中を向けてしゃがんでいる。ロペス様の肩に手を回して、自分の腕をギュッとつかんだ。

エリオット様たちは、来た道を戻って脇道に入って行き……その背中をじっと見つめる。

15階に下りて、床が抜け落ちた場所を目指して進むと、天井に穴が開いているのが見えた。その下には岩の塊が転がっていて、辺り一面ガレキだらけだ……。

ロペス様に下ろしてもらい、ゆっくり歩きながら意識を集中させる。

「テオ、どこ?」

近くにいれば気配で分かるはず……。あっ、あっちだ……あっちにテオがいる! 慌てて、気配のする方に向かった。

「アリス、足場が悪いから気を付けて」

「ロペス様! テオがいる……あっちに!」

テオの気配がする方を指差した。

「えっ、テオ殿が!? 見えない……どこだ」

ガレキの中を真っ直ぐに、テオの気配を追う……目の前にある大きな岩を回り込んで進んだら、ガレキの向こうに……横たわるテオが見えた。

「……テオ!」

慌てて駆け寄ると、テオはポーションの空瓶を握っていて……血だらけだ。足が大きなガレキに挟まれていて、テオ……動けなかったのね……。

「テオォ……すぐに手当てをするから、もう大丈夫よ……うぅ、グスッ」

苦しそうに息をして、意識がない……うぐっ、涙があふれてくる。急いでバッグから自家製ポーションを取り出して、口に含んでテオに飲ませた。直ぐにエリオット様たちも来てくれて、テオの足にある大きなガレキを3人がかりでどけてくれた。

「テオ殿! 気を確かに!」

「「テオ殿!」」

続けて何本も飲ませると身体に負担がかかるから、もう1本はガレキに挟まれていた足にかける。テオがゆっくりと目を開けた。

「あぁ……。アリス、来てくれたのか……ありがとうな」

「テオ、まだだよ! グスッ」

意識を失うほどのケガをしていたんだから、ポーションでは治しきれないはず。横たわるテオに抱きついて、『テオのケガや、状態の異常を全部治すの! 全部よ、ありったけの魔力を込めてヒール!』心の中で必死に祈りながら回復魔法を掛けた。

テオが白い光に包まれる……魔力を込めすぎたのか、テオが更に輝いた。

「その光は……アリスは回復魔法が使えるのか?」

「テオ殿が光った……どれだけの魔力を込めたんだ」

「えっ!? 無詠唱の魔法なんて、初めて見たよ……」

エリオット様たちに、私が魔法を使える事を知られてもかまわない。テオのケガを治すのが1番大事だから……聖魔法と浄化魔法も掛けておこう。血や汚れが付いているからね。

『テオがキレイになりますように……悪い物を取り除いて!』

私もテオと一緒に光に包まれた。私の頭を優しくなでる……あっ、テオの手だ……。

「テオ、もう痛い所はない?」

テオの顔を見ると、ニッコリ笑っている。

「ああ。アリスが治してくれたから、もうどこも痛くないぞ。ありがとな」

「良かった~」

「アリス、おいで」

テオは立ち上がって、私を一度高く抱き上げてから片腕に乗せた。みんなが見ている前で、赤ちゃんみたいに抱き上げないで欲しい……。

「テオ、恥ずかしい……下ろして」

「アリスは俺の大切な女神だ! 周りは 瓦礫(ガレキ) だらけで危ないからな。アリスがこけて、ケガでもしたら大変だ。だから担いで行く!」

「ええっ! こけないよ……」

「アハハ! テオ殿の言う取りだ」

「「フフ」そうですね」

さっきまでの重たい空気がウソのように消えた。みんな笑顔で……テオが見つかって、間に合って良かった。

ダンジョンから出るとすっかり日が暮れていて、エリオット様とテオがギルドの職員さんに声を掛けた後、街に戻る事になった。

店まで送ってもらい、エリオット様たちにお礼を言った。

「エリオット様、アルバート様、ロペス様、本当にありがとうございました。テオを見つけるのが遅れたら……治療が間に合わなかったかも知れません」

「ああ、アリスを連れて来てくれて助かった。エリオット様、礼を言う。アルバート殿、ロペス殿、ありがとう」

私はテオと一緒に頭を下げた。エリオット様は微笑んで右腕を伸ばし、

「テオ殿、アリス、礼には及ばないよ。私が、普通の生活が出来る様になったのは、テオ殿のポーションのお陰だ。だから、テオ殿に何かあったら私も困る。今回、アリスがテオ殿の事を知らせてくれて助かったのは私の方だよ」

「ええ、テオ殿に何かあったら、芋づる式に困る者が出て来ますね。私もその一人ですよ。フフ」

「確かに、アルバート様の言う通りですね。私も困ります。フフ」

みんなが、テオが見つかって良かったと喜んでくれた。

エリオット様を見送った後、テオと軽くご飯を食べて、自分の部屋のベッドに潜り込んだ。今日は大変だったな……。

…………。

あの……傷だらけのテオの姿が浮かんで寝られない。もう、大丈夫だって分かっているけど涙が出てくる。グスッ。

「ダメだ……眠れない」

部屋から出て、テオの部屋の前でドアを見つめる。テオはもう寝たかな?

「テオ……眠れないの……」

ボソッとつぶやいて、ノックしようか迷っていたらドアが開いた。テオが、申し訳なさそうな顔をして立っていた。

「ああ、アリス……心配させて悪かったな。おいで、今日は一緒に寝よう」

「うん……」

ベッドにもぐり込んで、テオにしがみついた。私の頭を優しくなでるテオの手が気持ちいい……。