軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

番外編:8 『光魔法』の剣

エリオット様が、タロウと私を見て「まだ秘密だよ」って優しく言う。

「「はい……」」

私達が誰かに話す事はないけど、まだって事は……その剣が納品されたら公表されるのかな?

スタンピードの後、エリオット様はデーモン対策として、『聖魔法』か『光魔法』の属性を付けた剣を付加魔術師――騎士団の鎧や宮廷魔術団のローブに魔法陣や付加魔法を付けている人――に依頼したそうです。

「付加魔法師は、『聖魔法』は出来ないが『光魔法』ならと引き受けてくれた。初めての試みなので時間が掛かると言われたが……」

あぁ、私みたいに隠してなければ、『聖魔法』が使えるのは聖女だけだしね。

「やっと『光魔法』の付加が付いた剣が出来たそうだ。剣が納品されたら、第一騎士団の一部の者達が試作品として使用する事になる。テオ殿、その剣とこのネックレスがあれば、他の騎士達も60階のワープを開通させる事が容易になるだろう」

その『光魔法』の剣がデーモンにダメージが通るなら、問題はデーモンの『呪い』ですね……。

「深階層の魔物を間引けるって事か……。エリオット様、そうなると<リッヒダンジョン>のスタンピードを抑える事が出来るんですか?」

エリオット様が、完全に抑える事が出来なくても、遅らせる事が出来るだろうって言う。それは嬉しい……スタンピードなんて起きない方がいいもん。

「テオ殿、ネックレスが無理なら、第一騎士団全員が60階のワープを開通させるまで『ポーション屋』に指名依頼を出しても良いだろうか?」

「なっ! エリオット様、第一騎士団全員ですか!?」

「ええっ!」

驚いて私まで声をあげた。エリオット様……第一騎士団って1,000名以上いるんですよね?

「ずっとアイテムを回収される……」

タロウ……そこ? まぁ、気持ちは分かるけど。

私が気になったのは店の事……週末の2日で60階まで行けるかなって思っていたけど、そんなに甘くはなかった。

ダンジョンに入って、1日目に56階のセーフティエリアまで行けたのは地図があったから。

2日目の今日は、56・57階の2フロアを1日掛けて進んで、やっと58階への階段まで来た。地図がないからどうしても時間が掛かってしまう。

この調子だと、明日の火の曜日は58階と59階のフロアを進んで、60階のワープ・クリスタルに到着するのは夜になるかな。

念のために店の扉に『臨時休業』の紙を貼って来たけど、店を3日間休む事になってしまった。これが毎週続くの?

それなら、ダンジョンに入るのは週4日目の水の曜日からがいいな。そしたら、週末の光の曜日に帰って来られるしね。週明けの火の曜日はレオおじいちゃんが来るから休みたくない。

あっ……レオおじいちゃんに店を休むかもって連絡しなかったけど、宮廷魔術団の方が参加しているから、私達が第一騎士団の60階攻略に参加しているって知っているよね?

「テオ殿、2パーティー分のネックレスがあれば、他の騎士達も順に攻略出来るだろう。『光魔法』の剣が、防御力の高いデーモンにダメージが通るならだが……」

エリオット様、ネックレスを使い回すって事ですね。

「エリオット様、少し考えさせてください」

「分かった。テオ殿」

ずっとお手伝いするよりは、ネックレスを作って渡した方が楽なんだけど、レオおじいちゃんやリアム様から、『付加魔法』を使う時は気を付けるように言われたからね。

……誰が作ったか知られないようにすれば良いのかな?

高ランクの『鑑定』を持っている人じゃないと、ネックレスに『聖魔法』が付加されている事は分からないと思う。『回復魔法』が付いた魔道具だと思われるだろうけど……どうするかは、店に帰ってからテオと相談かな。

◇◇

翌朝、手早く食事を済ませて出発した。

58階のフロアを右壁に沿って進むけど、ヴァイパとサキュバスがほとんど出て来なくて、オークキングとジェネラルオークの3体組とマンティコアばっかりだ。

オークキングは、レアアイテムの『身体強化・カウンター』のスキル書と『攻撃力アップの指輪』を落とすそうだけど、魔石かゴミ武器しか落とさない。タロウが攻撃に参加したら落とすんだろうな……。

あっ! デーモンだと思った瞬間、タロウが1番に走って行く。タロウもずっと暇で、やっと出番が来たね。

「「タロウ!」」

タロウがデーモンのタゲを取る勢いで突っ込むから、ロペス様とテオが慌てて追いかけ『挑発』を入れて攻撃をし、エリオット様とアルバート様も追いついた。

デーモンが口を動かそうとしたらタロウが即座に『雷魔法』を撃って、盾役とか関係なく5人で攻撃するから、あっという間にデーモンが倒される。

タゲを回して戦う精鋭部隊Bの戦い方に似ているかな……タゲを回していないけどね。

「……余裕だな」「……ああ」「……タロウは上手いですね」「……『雷魔法』が欲しい」「……」

後ろから聞こえる声を何となく聞きながら『ヒール』を飛ばしていく。私、朝夕の食事の時が1番忙しいな……。

精鋭部隊の皆さんが、ポーションやマジックポーションを飲みながら、私の横を通りすぎる。

「デーモンが又ドロップしたな」

「ああ、魔石と『帰還石』か。デーモンは高確率でアイテムを出すな」

それはタロウが攻撃しているからです……言えないけど。

かなりの時間が掛かって、やっと59階への階段を見つけた。

「階段で休憩にする」

「「「ハッ!」」」

エリオット様の号令の後、皆さんは階段に座り込んでパンや干し肉を出している。

テオとタロウに上質肉の干し肉と丸パンを渡していると、精鋭部隊の皆さんの視線が痛い……先にエリオット様ですよ。

「エリオット様、上質肉の干し肉です。良かったらどうぞ。アルバート様とロペス様も」

「ああ、いただくよ」「「アリス、ありがとう」」

上質肉の干し肉を皆さんにも配ると、「おお! 有難い!」「アリス、ありがとう」と嬉しそうに声を掛けてくれる。

「この干し肉は、マジックポーションを飲んだ後に食べようかな?」

「シリル、良い考えだな」

宮廷魔術団の方の声が聞こえた。

「シリル……オースティンも、バカな事を言ってないで有難くいただきますよ。しかし、この干し肉もですが、アリスの作る料理は本当に美味しいですね。報告書に書く時、この美味しさをどうやって表現すれば良いのでしょう……」

「「モリス……」報告書に書くのか?」

えっ、攻略中に食べたものまで報告しないといけないんですか?

「先輩方、アリスの事を書くとマルティネス様が喜ばれると思いますよ。フフ」

ルーカス様……。

「ルーカス、そうなんだ。じゃあ、書かないとね!」

「ああ、モリスだけの報告だと、後で呼び出されそうだな」

……。