軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第111話 アリス14歳の誕生日(10月第2光の曜日)

◇◇◇

10月の第2光の曜日は私の14歳の誕生日。今年もみんなから誕生日プレゼントをもらいました。ふふ、嬉しい。

テオには、胸元と袖に白い刺繍がついているオレンジ色の上品なワンピースを買ってもらった。

早速、ワンピースに着替えて鏡を見ると、髪がだいぶ伸びたな……髪を整えて髪飾りを付けたら、どこかのお嬢様に見えるかな? ふふ、なんて冗談は置いといて、邪魔になるからそろそろ髪を切ろう。

貴族の令嬢は髪を短くしたらダメなんだって、楽なのにね。庶民の女の子は長かったり短かったりで、肩位の長さの子が多いかな。髪の長い女の子は、だいだい裕福な商人の子供だったりする。

毎年、買ってもらった服に着替えて屋台巡りをするんだけど、今日は女性に人気のケーキ専門店に連れて行ってもらうの。前にソフィア様とミハエル様が持って来てくれた焼き菓子のお店だそうで、タロウも一緒です。

ケーキ専門店の名前は『ルポ』。白いレンガ造りの建物に入ると、中は広くて明るい内装です。豪華と言うより可愛い装飾品が飾ってあって、女性客が多いな。

個室もいくつかあるみたいで、貴族の令嬢かな? ドレスを着た女性が笑顔で奥に入って行く。

「テオ、可愛くてオシャレな店だね~」

こんなに可愛い店に連れて来てくれるとは思わなかったよ。

「俺、1人だと入れないよ……」

「ハハ! タロウ、俺も1人だと無理だぞ。今はアリスがいるから堂々と入れるがな」

ふふ、可愛い店で女性客が多いから、男性だけだと入り難いかもね。

「ここはリアム殿が出資している店で、今日はリアム殿が個室を予約してくれたんだ」

「えっ! ここ、リアム様の店なの?」

「リアム様の……」

失礼かもしれないけど、こんなに可愛い店が? と思ってしまう。高級な魔道具店とかなら分かるけど……。

黒い服を着た執事みたいな店員さんに、微笑みながら「お待ちしておりました」と言われて、一番奥の個室に案内された。

個室に入ると、壁やテーブルがクリーム色で統一されていて、淡い青紫色のいろんな生地の大きなリボンやピンクのお花で飾り付けされている。

「うわ~! 可愛い部屋だね」

窓には、流れるような淡い青紫色のカーテンが、淡いピンクと白いお花で留められていて綺麗で可愛い。絶対に女の子が喜ぶ部屋だよね!

「テオ……俺、なんかソワソワしてきた」

「俺は尻が 痒(かゆ) くなってきた……タロウ、そのうち慣れるからそれまでの辛抱だ」

「うん、分かった……」

テオ、雰囲気を台無しにするようなことを言わないでよ~。

「リアム殿が、アリスのマジックポーションをイメージして作った部屋を予約したと言っていたぞ」

「えっ、もしかして、この可愛い部屋はリアム様がデザインしたのかな? へえ~」

「アリスのマジックポーションの部屋……」

リアム様にとってマジックポーションが大事だって良く分かったけど、リアム様は魔法以外にも才能があるのね……。

「お飲み物をお伺いいたします」

店員さんに聞かれて飲み物のメニューを見ると、果実水が2種類と名前の付いたお茶が3種類あったけど、えっ? 値段が……書かれていない。怖すぎる!

テオが、1番上に書いてある果実水を注文したので同じのを頼んだ。タロウが、テオと私の顔を交互に見て同じ果実水を頼んでいる。フッ……タロウ、そうなるよね。

席に座って周りをキョロキョロ見ていたら、さっき頼んだ果実水と、まだ注文していないのに……あれはケーキ? ケーキが乗った細長いお皿が運ばれて来た。予約する時にテオが頼んでいたのかな?

「おっ、旨そうだな!」

「ケーキだ……」

「アリス、ケーキって何?」

「タロウ、ケーキはね……」

ケーキ……それは貴族が食後に食べる、手間と時間とお金を掛けたデザート。学園の食堂にもあるけど、庶民が気軽に食べられる値段じゃないの。

特に値段を強調したのは、食堂のケーキで銀貨5枚から金貨1枚もするから! 焼き菓子はもう少し安いけどね。

ダンジョンで稼ぐようになったから、食べようと思えば食べられるんだけどね。何か、それをしたらダメな気がするの……。

「「へえ……」貴族の食べ物か」

お皿を見ると5種類の一口サイズのケーキが並んでいて、店員さんから全部味が違うと説明された。定番の3種類のケーキと、月替わりのケーキが2種類だって。うわ~、色んなケーキを少しずつ食べられるのは嬉しい! 絶対に高いけどね!

お会計で、テオがいくら払ったのか知らないけど、「テオ、ありがとう」とだけ言った。だって、誕生日プレゼントだから値段を聞くのもね~。

店に戻ると、エリオット様からは、淡いパープルのドレスと白い宝石のネックレスとイヤリングが届きました。このアクセサリーも高そう……。

『大切なアリスへ、14歳のお誕生日おめでとう。エリオット・フィリップス』

お祝いのカードも添えてある。エリオット様、ありがとうございます。

その後、リアム様がレオおじいちゃんからのプレゼントを持って来てくれた。レオおじいちゃんからのプレゼントは、マンティコアの皮で作られた足首までの革のブーツ。説明書には、防御力アップと『風魔法』の耐性が付いていると書かれている。

「アリス、レオ様から良い物を貰ったな!」

「うん。テオ、こんな良い性能のブーツは売ってないよね」

「ああ、それは特注品だな」

性能が良い素材は、出回る数が少なくて高額になるから、上級者用の防具は自分で素材を持ち込んで作ってもらうんだって。なるほどね~。

レオおじいちゃんのプレゼントを受け取った後、リアム様も誕生日プレゼントをくれると言う。

「アリス、私からのプレゼントは、ケーキ専門店『ルポ』の個室『清らかな風』をプレゼントします」

ケーキ専門店『ルポ』って、昼間に行ったリアム様のお店ですよね。

「リアム様……個室ですか?」

「リアム殿、どういう意味だ?」「清らかな……?」

個室のプレゼントって……個室の使用料が無料とか? 『清らかな風』って、個室に名前が付いているのかな?

リアム様の言葉に、私だけじゃなくテオもタロウもポカンとしている。

「ええ、あの個室『清らかな風』は、アリス専用の個室として作りました。予約なしでいつでも利用できて、勿論、飲食代も無料です。テオ殿もタロウも無料ですから自由に使ってください」

「私専用の……えっ、飲食代が無料ですか!?」

さっき……テオは、店で代金を支払ってなかったの?

「リアム殿、俺達まで……お気遣いありがとうございます」

「無料って……タダ!? リアム様は金持ちなのか……」

それは……凄く嬉しいけど、無料なんて聞いたら申し訳なくて、週に1回でも遠慮してしまう。月に1回……2回までなら良いかな? 次はいつ……はっ! お礼を言わないと!

「……リアム様! ありがとうございます!」

「フフ、アリスに喜んでもらえたようで良かったです。では失礼しますね」

嬉しくて、リアム様を満面の笑顔で見送ったと思う。近いうちにお礼のクッキーとマジックポーションを作らないとね!