軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第107話 久しぶりに

◇◇◇

スタンピードが制圧され、街の閉鎖も解かれたので、他の街に避難していた人達も戻って来た。段々と街が賑わいを取り戻して、商人の買い付けかな? 他の街からも多く人が来ているみたい。

スタンピードの後処理で大量に解体した肉や素材が、いつもより安い値段で出回っているから市場も人でいっぱいです。

屋台で売られているオークやコカトリスの串焼きなんて、値段はそのままだけど肉が1~2個多く串に刺してあって、得した気分になる。ふふ。

今回のスタンピードが終わって考えたの。緊急時に依頼されて慌ててポーションを作るんじゃなくて、前もって作り溜めしておいた方がいいんじゃないかと……バッグにはいくらでも入るからね。

テオとも相談して、今回みたいに門が閉鎖されて薬草を採りに行けないと困るから、毎日少しでも作ることにした。

私が学園に行っている間、タロウが店番をしてテオが薬草を採りに行ってくれるから、私は帰って来たらコツコツとポーションを作っているの。

「テオ、週末に魔力草を採りに行きたい」

そろそろ、いつもの場所の魔力草が育っていると思うから、リアム様にマジックポーションを届けようと思う。

「うん? アリス、今週末か?」

「アリス……」

タロウが、こっちを拗ねたような目で見る。

「ん……タロウ?」

「ブハッ! アリス、タロウが、週末はダンジョンに行こうって言ってたじゃないか!」

「あっ!」

そう言えば、タロウが片手剣に付けた『聖魔法』の付加がまだ残っているから、試したいって言っていたな。

「そうだった……ごめん、タロウ」

「うん……」

スタンピードの後処理が終わるまで、<リッヒダンジョン>は閉鎖されて入れなかったからね。

学園の『魔物討伐の実習』では、ダンジョンに入れないから、他のダンジョンの勉強をしたけど、やっぱり<トロムダンジョン>が1番かな~。だって、ミノタウロスの肉が魅力的だからね。

◇◇◇

店が休みの闇の曜日、久しぶりに3人でダンジョンへ行く。

「今日は30階からだが、問題なく進めると思うぞ!」

「問題なく?」

「そうなの? テオ」

スタンピード後のダンジョンは、魔物の数が少ないんだって。テオが、攻略階数を伸ばすにはもってこいだから、いつもより冒険者の数が多いだろうって言う。

30階にワープしてフロアーを進むと、テオが言っていた通り魔物の数は少ないし、他の冒険者パーティーもちらほら見かける。

30階から40階までに出てくる魔物は、ハイオーク・インプ・コカトリス・ジャイアントスネイク。35階からはランクBのジェネラルオークとインキュバスが出てくる。

この中で『聖魔法』が効きそうな闇属性の魔物は、インプとインキュバスなんだけど、インプは見つけたら速攻魔法で倒すから片手剣は使わない。

「う~ん、コカトリスとジャイアントスネイクじゃあ、『聖魔法』の効果が分からんな」

「うん……テオ、俺も分からない」

「弱点が『聖魔法』の魔物じゃないと効果がないのかもね」

インキュバスが出てくるのは35階からだけど、インプと同じで早めに魔法で倒すつもり。サキュバスを魔法で倒せたからね。となると、片手剣に付加している『聖魔法』を試せる闇属性の魔物って……ん?

えっ、黒いあいつ……デーモン!?

……3人で倒すのは無理だよね?

あっ、『聖魔法』や『雷魔法』を使えば普通にダメージを与えられる? 『聖魔法』の攻撃魔法って何だっけ……『バニッシュ』とか『ホーリーアロー』だったかな? 使ったことないけど……。

デーモンは何階から……はっ! 確かスタンピードでしか確認されていないんだよね? となると、<リッヒダンジョン>は52階までしか探索されていないから、それより深い階層……3人じゃ無理だよ。

タロウにはインキュバスで試してもらおう。うん、毒を受けたら直ぐに治すからね。

30階のワープを通した時と比べるとサクサク進めるから、36階のセーフティエリアを目指すことになった。

前回のセーフティエリアで必要だと思ったテーブルや椅子は、既に買ってバッグにいれてあるから、野営することになっても大丈夫。

35階のフロアーで、ムキムキのジェネラルオークと2体のハイオーク(3体組)が現れた。テオがジェネラルオークに『挑発』を入れて向かい合い、私がハイオークの1体に『スリープ』を入れると、タロウは眠っていないハイオークから袈裟切りにして倒していく。

うわぁ……ランクC+のハイオークを一振りで倒すなんて、どれだけ強くなったの!? タロウのステータス・攻撃力が上がったのかな?

36階にあるセーフティエリアまで余裕で来ることが出来たけど、そこには既に4組の冒険者パーティーがいたので、37階への階段まで進んで野営をして、翌日の昼過ぎ、無事に40階のワープ・クリスタルを開通させた。

30階のワープを通した時に比べると、出くわした魔物の数は半分以下だった気がするけど、タロウがいたからドロップは良かった。

「タロウ、持っていないスキルは覚えておけよ」

「そうだね。タロウ、スキル書を渡すから順番に試して」

「分かった。ありがとう!」

タロウは『闇魔法』のスキル書『スリープ』『ダークアロー』『ポイズン』を覚えて、スキル『闇魔法D』が『C』に上がったと喜んでいた。

複数の『闇魔法』のスキル書は、インプとインキュバスがドロップして、ジェネラルオークも『身体強化』のスキル書と『帰還石』もいくつか落としてくれた。

『帰還石』とハイオークが落とした上質肉、コカ肉は売らなかったけど、それ以外の換金額は前回の半分くらいだった。半分でも十分の稼ぎだよね。

そう言えば、タロウは片手剣の『聖魔法』の効果をインキュバスで試したの。『聖魔法』の付加はかなり効果があったみたいで、インキュバスは一太刀で瀕死の状態だった。

タロウの剣が届くと同時に『ポイズン』かな? 黒い霧を受けていたから、速攻で『回復魔法キュア』を飛ばしたけど、タロウは「『聖魔法』が効いている!」と言って喜んでいた。ふふ。

冒険者ギルドからの帰り、まだ早い時間だけど屋台で軽く食べることにした。多めに買って、お腹が空いたら夜食にしよう。

「アリス、明日にでも魔力草を採りに行って来る」

「うん。テオ、お願い」

「テオ、明日はレオおじいちゃんが来るかも知れないよ。この前の火の曜日は来なかったから」

「あぁ~、タロウの言う通りかもね」

この前は、きっとスタンピードの報告とかで忙しかったんだと思う。

「明日は火の曜日か……じゃあ、明後日、風の曜日に行くか」

◇◇

翌日、火の曜日の午後、レオおじいちゃんが「やっと、終わったんじゃ」と言って学園まで迎えに来てくれた。

店に帰ってお茶会が始まると、タロウがレオおじいちゃんに上位魔法の質問をしている。テオと私は話を聞きながら、レオおじいちゃんの持って来てくれた美味しいお菓子で頬が緩んでしまう……ふふ、いつもの日常が帰って来たな。

その日は、のんびりと夕方頃までお茶会が続いた。