軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

225 オザワとヒカル、そして三人で

なぜ、こいつがこの世界にいるんだ?

――意味がわからない。

なにより、ナナミを殺したこいつが何故、ナナミの恋人だったなんて嘘を吐く?

「ナナミを殺したのはお前だろうが! ナナミだけじゃない……。おじさんとおばさんだって……」

「はぁ? 俺がそんなことするわけねぇだろ。自分のやったことを他人になすり付けるなよ、本当に 非道(ひど) いなお前は。あれだけ惨たらしく幼馴染みを殺しておいて」

開き直ったような顔でそう答える真犯人。

この期におよんで、なぜこいつがこんなことを言い出すのか理解ができない。

人を小馬鹿にしたような嘲りが犯人の口元に浮かぶ。

なぜ、笑ってこんなことを言える? ナナミの恋人だと自称しておいての矛盾。

それとも、演技にすらなっていないことに本人は気づいていないのだろうか。

「転移時のどさくさで記憶がおかしくなっているんじゃないのか、黒瀬ヒカル? お前が俺の恋人である相馬ナナミを殺したんだぞ?」

「なんで俺がナナミを殺すんだよ。殺したのはお前だろうが」

「いいや、殺したのはお前だ。お前がナイフで相馬ナナミを滅多刺しにして殺したんだよ。そんなのは全世界の人間が知ってることだ。……俺がここにいるのはな、復讐のため。恋人の仇を討つためにここにいる」

真犯人の男の目が、狂気で彩られる。あるいは、本気でそうだと信じているのだろうか。

とにかくこいつは話にならない。

ナナミに恋人はいなかった。

俺は幼馴染で、転移間際まであれこれ一緒に考えていたわけで、それで実は恋人がいましたなんて可能性はゼロに等しい。なにより、ナナミがこんな奴と付き合うわけがない。

それに、こいつはあの日、確かに「お前の彼女殺しちゃってゴメンねぇ」と 嗤(わら) っていた。なおさら、ナナミがこいつの恋人だった可能性はない。

「……ナナミは生き返ったんだろ。真犯人が誰かなんて、もうとっくに知れ渡っているんじゃないのか? 今さら、そんな嘘をついたって――」

俺がそう言うと、真犯人の男は顔をゆがめて笑い出した。

心底面白いとでもいうかのように、両腕をダークナイトに掴まれているにもかかわらず、身体を捩らせて笑う。

「証言なんてねぇんだよ」

「な……に……?」

「相馬ナナミはなにもしゃべっていない。いや……しゃべることができない」

しゃべることができない……?

やはり後ろから刺されたとかで、犯人の顔を見ていなかったのだろうか?

だが、やっとわかった。

ナナミが証言できなかったのなら、こいつが嘘をつくことに理由が生まれる。

こいつはこいつで、あの日、あの時間にナナミの家にいたことが警察にバレていたのだとしたら。

――自分は恋人だから最後の別れのために彼女の家に行っていた。

――最後は家族と過ごしたいというので、転移の前に自分は家に帰った。

――それがこんなことになるなんて!

そういう証言をすれば、実際に転移していなくなった俺が犯人とされるのではないか?

実際、転移後10日も経ってからのメッセージでも、完全に俺が犯人扱いだった。

それは、こいつの言い訳が通用してしまったことの証左なのではないのか。

本当は、フェルディナントとこいつとで、俺を殺そうとしたのだろう。

こいつが俺を殺したかった理由は、単純に口封じのためだったに違いない。いくら、異世界に来たといっても家族も親戚もいる人間なら、殺人犯の汚名を被りたくはない。俺だって誰だって。

俺さえ「恋人の敵」として殺してしまえば、盤石なのである。

だとしても、嘘は嘘だ。

今さら、俺が犯人だと思われているからなんだというのか。

ナナミは生き返ったのだから、それだけで俺は十分だ。

「なんだ? 落ち着きやがって、気に入らねぇな。お前、相馬ナナミがどういう風に生き返ったのか、知っているのか?」

「どういう風に……?」

生き返り方までは、考えていなかった。

確か、死んだ場所で生き返るとあったはずだから、彼女のあの部屋で生き返ったはず。

「…………生き返ったはずだ。蘇りの宝珠で、確かに生き返ったと出たし」

「お前、あの神が、そんな真似をバカ正直にやると思うか? ……おめでたい奴だよ、お前は本当に。……確かにな。生き返ったよ。身体はな」

身体は。

その言葉は不気味な呪詛のごとく、俺の身体を重くさせた。

こいつが言う通り、あの神が――神などという人知の及ばない存在が、俺達が望んだ形に「人間を生き返らせる」のだろうか。

「……じゃあ……ナナミはどうなったんだ」

こいつが強気で嘘を吐き続けるのはなぜか?

ナナミの証言が何もなかったからとすれば――理屈は通る。

ちゃんと生き返っているのならば、犯人の顔を見ていないのだとしても、ナナミは犯人は俺ではないと証言はしてくれるはずなのだ。それを世間が信じるかどうかはわからないし、警察がどう判断するのかもわからないが、証言がないということはないはず。

つまり、ナナミは証言できないような状態で蘇ったということに――

「相馬ナナミはな……生き返ったは生き返ったが、頭ン中全部すっ飛んでたんだよ。つまり、赤ん坊からやり直しだ。身体だけは健康な高校生のままでな。今は、お前の妹たちが世話してるらしいぜ。16歳の幼馴染の赤ちゃんをな。……なあ、そんなのって生き返ったって言えるのか? お前が2度殺したようなもんなんじゃねぇのか?」

「う……嘘だ…………そんなこと……」

「こんな嘘をわざわざつくわけねえだろ。まあ、メッセージでは、妹たちもお前には真実を送らなかっただろうけどな……お前は、真実を知らなきゃダメだろ」

ナナミが……赤ん坊と同じような状態なんて……そんなことあるだろうか…………。

ない……とは言い切れないのか……?

神は超常の存在で、だからこそ、どんなことだってありえるだろう。

俺だって、その目で確認したわけではない。

フェルディナントも、初めて会った時、違和感のある言葉を口にしていたのを覚えている。

――せっかく頑張ったのに あ(・) ん(・) な(・) こ(・) と(・) になってしまったんですから、当然ですよね。

たしかにそう言っていた。

あんなこと――とは、転移者に選ばれたことを指しているのではないということ?

「……ならフェルディナントはどうしてナナミが転移者に選ばれたなんて嘘をついたんだ」

「オメェをこの街に縛り付けるためだよ。ああ言えば、とりあえず街からは出ないだろ。実際、もうちょいでお前を大精霊にブッ殺させられたんだがな。まあ、フェルの野郎はバカだから失敗したが」

「バカ? 仲間じゃないのか?」

「……あんな奴が仲間なもんかよ。ちっと都合が良かったから利用させてもらっただけだ」

なにが真実で、なにが嘘なのか。

俺はもうなにがなんだかわからなくなっていた。

だが、ナナミの話が本当ならば――

フェルディナントがセリカから俺を殺すように頼まれたというのも、わかるような気がする。

ナナミ殺しの汚名を負った兄。家を焼かれ、国外に出たという。いくらあの二人でも苦労の連続だっただろう。あの両親は役に立たない。

最後の頼みの綱だったナナミも証言能力もなく、二人がずっと世話をしていくことに――

「嘘だ……。お前は嘘ばかりだ……」

自分でも驚くほど、その言葉は弱弱しく口から発せられた。

結局、俺はナナミ殺しの容疑者……いや、犯人のまま。

ナナミを生き返らせるどころか、ただ妹たちに新しい苦労を背負い込ませただけになってしまったのか……?

……もちろん、嘘の可能性はある。

ナナミは生きて地球にいて、こいつは犯人として服役していたのを異世界に転移された殺人犯で、いつも俺を見ている何億もの視聴者は純粋に俺の異世界生活を見て楽しんでいるだけで、俺の家族も引っ越すことになったが幸せに暮らしてる――

(ふふ……そっちのほうが、ずっと嘘くさい)

「お前は死んだほうがいい人間なんだよ! 俺は地球の人間の代表としてお前に引導を渡しに来ただけだ!」

名前も知らない同級生が吼える。

ナナミの恋人なんて嘘のくせに。

こいつにとっては、俺が死ねば盤石だ。

もう誰もこいつが犯人だと知る術はなくなるし、彼女の仇となれば視聴者も納得するだろう。

真実が洩れれば、俺がフェルディナントに狙われたように、他の転移者に狙われる可能性が出てくる。それを恐れたのかもしれない。

とすると、仮面を被っていたのは、俺を殺すために正体を知られたくなかったからか。

「…………どのみち、もうお前には俺は殺せないよ」

第2陣転移者のこいつに、ここからの起死回生の一手はないだろう。

「そうかな? 別に俺が殺さなくても……お前は死んだ方がいい人間だろう? 視聴者に憎まれ、地球上の人間すべてに恨まれてんのに、どうして生きていける? いっしょにいる仲間にも迷惑が掛かるんじゃないのか? ジャンヌ・コレットを犯罪者のクロセ・ヒカルから引き離せって、向こうじゃ大騒ぎなんだぜ」

「…………そうか」

「ジャンヌ・コレットは人気者だからな。それが、お前みたいな犯罪者とそれなりに仲良くやってるってんで、他にもお前を殺すように頼まれた転移者もたくさんいる。俺が持ってたようなオモチャじゃない。ライフルを持ったやつだっている。リフレイア・アッシュバードも巻き込まれる危険もあるんじゃないのか?」

「…………そうかもな」

これは俺が地球へと目を向けることを恐れたことのツケだ。

実際に狙われた。

それが、こいつらだけが異常者であり、この一件だけで終わると、そんな保障などあるわけがない。むしろ、一度あったことなら、二度でも三度でもありえる。さらに巧妙に、さらに確度が高い方法で。

俺が、ジャンヌやリフレイアを危険にさらしているというのも、あるいは昨日今日の出来事だけを切り抜いたとて、真実と言えるのかもしれなかった。

フェルディナントが大精霊さえ動かしたことは、紛れもない真実なのだから。

「それで、どうするんだ? 俺を殺すのか? 恋人の仇を討ちに来た俺を! なぁ!」

俺には殺せないと思っているのだろう。

こいつは忘れているのか、それとも気づいていないふりをしているのか。

こいつは俺にとっては正真正銘、幼馴染の……そして、幼馴染の家族の仇なのだ。

ナナミがちゃんと生き返ることができなかったのなら、なおさら。

こいつを生かしておく理由はない。

――その時、唐突に場違いな明るい声が頭の中に響き渡った。

『おまたせいたしました! 現時点をもって、メッセージ機能の凍結を解除いたします! 仕様も少々変更していますので、ご注意を。詳しくは、メッセージ画面をご確認ください』

ピコン、ピコンと、連続してメッセージが届く音が聞こえる。

それは、聞こえないように心から遮断していた音だった。

999個の未読メッセージを超えてからは聞こえなくなっていたそれが、また聞こえてくる。仕様変更とは、そのことなのだろう。

「そう……か。もう10日経ったんだな」

ジャンヌはメッセージが復活する前に旅立ちたいと言っていた。メッセージが復活すれば、俺たちの居場所は第2陣に筒抜けになる。

だから、その前にとスケジュールを組んでいたのだが。

「開けよ! 俺が嘘を言っているのかどうか、確認してみたらどうだ!」

挑発的な言葉。

俺がメッセージをずっと開けずにいることを知っているからなのだろう。

「相馬ナナミが自分の無実を弁明してくれる? 赤ん坊みたいになって生き返って、言葉もなんにもしゃべれねえのに、弁明なんてできるわけねぇだろうが」

「お前が……お前が殺したんだろうが……!」

「ふ、はははは! 俺は殺してない。頭がおかしくなったのか? 俺に罪を擦り付けて殺して、口封じか? やれよ! それをやったら、お前は永遠にナナミ殺しの犯人のままだがなぁ!」

ダークナイトに羽交い絞めにされたまま、目だけを爛々と輝かせて 嗤(わら) う真犯人。

俺がメッセージにどれだけ苦しめられたのかを知っているのだろう。

こいつは、俺には開けないと侮っている。

逆に言えば、そこには俺の求める真実があるということなのだ。

俺はステータス画面を開いた。

メッセージボックスを開けば、一番古いものから順にメッセージが開かれていくはずだ。

今、開かなければいつ開くというのか。

俺はこれを開いて、真実と向き合わなければならない。

妹たちの為でも、ナナミの為でも、ジャンヌやリフレイアの為でもない。

俺自身のために、そうしなきゃならないんだ。

そう、わかっているのに、指は魔法で固められてしまったかのように前に進まなかった。

――恋人を殺して異世界満喫しているようで最悪ですね。さっさと死ねよ。なに生き延びてんだよ

――ナナミちゃんの未来を奪って得た力で生きる異世界の空気は美味いか?

――人類史上、最も死を願われた人間になった気分はどうだ? お前はそれだけのことをしたんだよ。理解しろ。理解した上で自決しろ

――お前の両親も双子の妹も、日本にいられなくなって海外に引っ越したぞ。まあ海外でもすぐバレるんだろうけどな。死んで詫びたほうがいいんじゃねーの?

――お前の家、物理的に燃えたぞ

あの草原で起きたことがフラッシュバックする。

俺が転移後10日で、あのメッセージを受け取ったのは本当のこと。

メッセージを開いて、どれも全部、そんなメッセージで埋め尽くされていたら――俺はどうしたらいい。

「――ずいぶん煮詰まった状況のようだな」

その時、場違いなほど落ち着いた声が廃屋の中に響いた。

入口へ目を向けると、ジャンヌとリフレイアの姿。

どうやら、大精霊は無事に退けられたらしい。

「ふぅむ。なるほどな。最後の刺客というわけか。そいつが仮面の男?」

「……そうだよ。こいつはナナミ殺しの真犯人だった。それで……銃で襲われたけど、なんとかなった」

「よく無事だったな」

「いや、身代わりの指輪のおかげ」

俺がそう答えると、ジャンヌは意外そうな顔をした。

「クロ。お前、それでどうしてそいつを生かしている? 殺されかけた……いや、実質一度殺されたんだ。殺したって誰も何も言わない。しかも、ナナミ殺しの犯人だと? 少なくとも……私なら、即殺しているぞ」

「…………メッセージを開こうとしていたんだ。向こうでは、まだ俺が犯人扱いになっているみたいだし、こいつの言うことが嘘なのか本当なのか確かめたくて」

「メッセージを……? それは別に殺してからでもいいだろう? レーヤ。お前ならどうだ?」

「え? そんなの殺すに決まってるじゃないですか。なんでヒカルは殺さないんです?」

「わかっただろう? お前がやっていることはおかしいんだよ。そんなやつは殺して当然だ。わざわざ、そうやって生かしている時点で変なんだよ」

確かにそうかもしれない。

殺してしまうべきなのだ。嘘か本当かわからない言葉に惑わされるくらいなら。

殺してしまえば済む。

人間を殺したことがないからとか、同じ地球人だからとか。

そんなことは関係がない。

こいつはナナミの仇だし、なによりも、おじさんとおばさんを……ナナミの両親を殺したのだ。

俺が、その仇を討たなければ、誰がその役目をやるというのだ。

一言。ダークナイトに「殺れ」と命じるだけで済む。

それなのに、なぜそれができない――?

「クロ。自分でもどうしてかわからないか? じゃあ私が教えてやる。お前は……結局、本当のことが知りたいんだよ。メッセージを見ないなんて言っているけど、その実……本当はお前だって、その奥にある本当のことが知りたいんじゃないのか? 自分が殺されそうになったことよりも、お前にとっては真実のほうが大事ということなんじゃないのか?」

ジャンヌの言葉には、真摯な響きがあった。

優しい瞳がまっすぐに俺を見ていた。

リフレイアも、少し心配そうに俺を見ていた。

真犯人だけが、悔しそうに唇を咬んでうつむいている。

「クロ。私は忘れろと言った。まったく別の世界に来てしまった以上、地球の真実なんてこちらから知ることなんてできないんだから。少なくとも私はそういうつもりで生きてきた。お前にもそうあってほしかった。でも……私が思っていたより、お前の傷は深かったんだな」

「そうですよ、ジャンヌさん。ヒカルは私の誘惑も通じないくらいなんですから」

「そうだな。私の誘惑も通じないくらいだし。重症だ。……でも、いい機会かもしれない。過去を清算してからのほうが、旅の足取りも軽くなるだろうし」

ジャンヌが「向き合うには…… 応(・) 援(・) が必要だな」と小さく呟き、おもむろに鎧を外しだす。

「レーヤもちょっと来い。鎧を脱いで」

「えっ、鎧を脱ぐんですか? まあいいですけど」

言いながら二人で鎧を外し始める。

鎧の下は鎧下という厚めのチュニックを着ているが、迷宮の中で武装を解くなんてどういうつもりなのだろう。

真犯人もあっけにとられた表情だ。

「なあ、クロ。向こうの世界に魂を引かれたままなら、なおさらメッセージは開くべきなんだよ。完全に忘れてこっちの人間として生きるか。そうでないなら、向き合うしかないだろ。それに……どんな結果だったとしても、私とレーヤはお前が犯人じゃないということぐらい、ちゃんとわかっているよ。ほら、レーヤもおいで」

「えっ?」

「わぁ。なるほど」

「えっえっ?」

ジャンヌとリフレイア。2人に右と左から抱きしめられる。

吐息がかかる距離。

柔らかく温かい体温が伝わる距離。

ジャンヌとリフレイアの突然の行動に、混乱する。

「この先、何があっても私はお前から離れない。好きだよ、クロ」

「あわわわわ、私だってずっと永遠に死ぬまで、死んでも一緒です! 愛してます!」

そして、二人が俺の頬に口づけて、俺の混乱はマックスに達した。

完全に蚊帳の外である真犯人の男はもっと混乱しているだろう。

その真犯人の男は、跪きダークナイトに羽交い絞めにされたまま、口を半分開け、驚愕とも羨望とも形容できない表情でこちらを見ていた。

「さあ、クロ。私たちが付いている。怖がらないで……メッセージを開こう。なに、こんなのはただの言葉の羅列だ。叩かれてたって、現実に私たちがいることを思い出せ」

「そうですよぉ。こんな美女二人に愛されてるんですから、世界中に憎まれていたとしてもOKじゃないですか?」

「……レーヤのその自意識の高さは良いな」

二人が傍にいてくれるのは、目の前にある確固たる真実で、メッセージは真実だけれど、淡い幻――湖面に映る月に近いもの。

だけどそれは確かにそこにあって、だからこそ俺は苦しめられてしまった。

2人の腕の力が強まる。

まるで1人の人間になったかのように密着して、勇気を分け与えてくれる。

怖くないといったら嘘になる。

でもこれは、前に進むためには立ち向かわなければならないものなのだ。

指が震える。

メッセージの数は999+を示したままだ。

こうしている間にも増え続けているのだろう。

メッセージは古い順で表示される。

あの日、あの丘で読んだ最後のメッセージから順に。

俺は、『メッセージ』をタップした。