作品タイトル不明
第二話「再びティセク村へ」
トリア暦三〇一七年十月十五日の朝。
昨日、十月十四日にオークの残党を見つけ、討伐が完了した。
ルナの精神状態はあまりよくなかったが、目覚めた後も闇の精霊たちが恐怖を振りまくことなく、静かに彼女を見守っている感じだった。
そして、オークたちの行動だが、俺の予想通り 影流離(シャドウストーク) に釣られた。
といっても、最初からうまくいったわけではなく、ただの影に対しては芳しい反応がなかった。影に僅かだが恐怖を振りまくイメージを加え、それでようやくオークたちが出てきた。
その際、他の魔物は特に反応しなかった。現状では仮説の域を出ないが、魔族に使役されていたオークだけが特別に闇の精霊の力に反応するようだ。
オークたちの討伐だが、シャドウストークによって城門のない城壁にオークたちを誘導した。その上で矢と魔法でダメージを与えていき、その隙に城門から守備隊、傭兵、冒険者の混成部隊約二百人を密かに後方に向かわせ、後方から一気に奇襲を掛けた。
その奇襲に合わせてシャドウストークを解除したため、オークたちは混乱し、あっけないほど容易に殲滅することができたのだ。
守備隊らの損害は軽傷者が数名出ただけだ。倍以上の戦力で奇襲を掛けたとはいえ、百匹近いオークと戦ったことを考えると、奇跡的なほど損害は少ない。
その日の夕方、ペリクリトルから冒険者と傭兵で構成された討伐隊約五百名が到着した。
既にオークたちを殲滅したと聞き、拍子抜けしたようだったが、それでも未だに魔族が見つかっていないことから、翌十五日から周辺を捜索することになった。
そして、本日、俺も討伐隊とともにティセク村に向かうことになっている。
メンバーはリディ、ベアトリス、ダンと俺の四人で、メルとシャロンはルナと共にソーンブローに居残りとしたが、これにはメルとシャロンが抗議の声を上げた。
「ルナさんはもう大丈夫だと思います。私たちもご一緒させて下さい」
シャロンがそう言うとメルも「前回も別々だったんです。お願いします!」と必死に食い下がってくる。だが、認める気はない。
「今回はあくまで案内役なんだ。ティセク村の状況を知っている俺たちのうち、誰かが行けばいい。だから、全員で行く必要はないんだ」
俺の説明にシャロンが「では、兄さんだけでもいいのではないですか? ザック様が行かれる必要はないと思います」と食い下がってくる。
俺は「確かにそうだな」と頷くが、
「だが、ロックハート家の次男が行かないわけにはいかないだろう? それにもう一度、俺自身の目で手掛かりが残っていないか確認したいんだ」
今回の魔族の捜索ではティセク村を中心に行う予定となっているが、俺たちはティセク村に案内し、現場で状況を説明するだけだ。そのため、到着後も村から出ることはなく、翌日にはソーンブローに戻るつもりでいる。
俺たちも捜索に参加してもよかったのだが、ペリクリトルから来た指揮官が既に魔族捜索計画を立てており、俺たちの出る幕はなかった。実際、五百人からなる捜索隊に俺たちが加わったとしても、大した影響はないだろう。
到着は午後三時頃で遺体の埋葬などを手伝うにしても、もう一度村の中をみる時間はあるはずだ。特にルナの生家はほとんど見ていないから、彼女の生い立ちに係る手掛かりが残っている可能性があると考えている。
「明後日には戻ってくる。それにリディ、ベアトリス、ダンがいるんだ。俺の方に問題はないよ」
未だにメルとシャロンは納得していないようで、「それでも……」と反論しようとした。だが、先にそれを遮り、
「それよりもルナの方が心配なんだ。確かにここにいれば身の安全は確保できるだろう。だが、敵が妖魔族だとすると、本当に安全なのか不安が残る。メルとシャロンが守ってくれれば安心してティセク村にいけるんだ。頼めるのは二人しかいないんだよ」
そう言って二人の手を取る。実際には妖魔族がソーンブローに潜入してくるようなら、メルやシャロンでは対抗できないだろう。
城塞都市に潜入できるような敵と渡り合うには気配察知に優れたベアトリスか、魔法に対する耐性が高いエルフであるリディでなければ難しい。それでも明確な目的を与えた方がいいと思い、言葉にしたのだ。
二人とも言葉を捜していたが、シャロンが「分かりました」と頷くが、メルは未だに納得していない。
メルの方をしっかりと見つめ、「できる限り一緒にいてやって欲しい。メルにしか頼めないんだ」ともう一度言うと、ようやく「分かりました」と言って小さく頷いた。
「でも、絶対に無茶はしないで下さい」と念を押される。それほど心配させているつもりはないが、ここは素直に頷く。
「シャロンにも頼みがある」と言うと、シャロンは小首を傾げた。
「簡単なものでいい。報告書を作っておいてくれないか。父上やおじい様に報告する分じゃなく、各ギルドに渡すものを」
「分かりました。出来るだけ客観的なものでいいですよね」とすぐに俺の意図を汲んでくれた。
俺が懸念しているのは、この事実をどこにどう伝えるかだ。
今日からの捜索で魔族が見付かればいいが、既に近くにはいないだろう。また、もし見つかったとしても情報が得られる可能性は低い。
今までも何度か鬼人族の捕虜を得たことがあるそうだが、一度も尋問に成功していないからだ。
これはトーア砦――カウム王国の東の要衝、魔族との最前線――の守備隊で指揮を執っていたバイロン・シードルフ――ロックハート家の従士――に聞いた話だから間違いない。どのような拷問を行っても口を割る前に突然死んでしまうため、カウム王国軍では闇属性魔法による呪いが掛けられていると言われているそうだ。
魔族が見つからなかった場合は更に深刻だ。確かにカウム王国内での動きやオークたちの装備を見る限り、野生のオークでないことは間違いないのだが、それを立証する術がない。
実際、オークの生態が完全に分かっているわけでもなく、少し賢いオークがいたらありえると思われる可能性は高い。だが、ルナという神に遣わされた者がいる村を狙ったという事実を見る限り、何らかの意図が隠されているはずだ。ただし、この事実を公にすることは出来ない。
ルナを狙ったのであれば、今後も彼女を狙って行動を起こすはずだ。だが、それを防ぐには俺の秘密を知る者の力しか頼れない。敵の正体すら分かっていない状況で彼女の秘密を公にすることは危険を増大させるだけだ。
だから、魔族という共通の敵の危険をクローズアップすることにより、カウム王国、ラクス王国、ペリクリトルが警戒を強めてくれることを狙うつもりでいる。
そのために可能な限り詳細で客観的な報告書を作成し、各ギルドを通じて世の中に注意を促す必要があるのだ。
(それにしてもシャロンの洞察力は凄いな。そう言えば、商業ギルドの支部長に恐れられていたな。何を言ったんだろう……)
シャロンにそのことを聞くが、「私の責任でお願いしただけです」と詳細は語ってくれなかった。知り合いであるノートン商会のヘンリー・ノートンに聞いた話では特に脅迫紛いのことはしていないようだが、商業ギルドのサヴェージ支部長の引き攣った顔が忘れられない。
(少なくともシャロンは俺に対して絶対に嘘は言わない。だから、大丈夫だと思うんだが……)
若干の不安は残るものの、出発の時間が近づいたため、話を切り上げた。
午前八時。
南門の前に五百名の冒険者たちがひしめき、周囲は彼らの私語でざわめいている。その冒険者たちだが、二十代半ばから三十代半ばの者が多く、十代の 新人(ルーキー) らしき姿はなかった。
一人の槍術士が台の上に立つ。今回の指揮官であるレジナルド・ウォーベックだ。
レジナルドは使いこまれた革鎧を身に纏った四十代半ばの人間の男性で、それほど大きな体ではないが、見た目以上に存在感がある男だった。その彼が大音声で「聞いてくれ!」と叫ぶと、ざわめきは一気に消えた。
「今回の仕事は魔族の捜索だ! だが、まだ別働隊がいるかもしれねぇ! いつも以上に気を張ってくれ!」
そう叫んだあと、更に今回の任務について説明を行っていく。
「班長連中から聞いていると思うが、再確認だ。期間は五日。食糧は本隊が運ぶ……ティセク村まで行って、村人たちの埋葬を行う班と捜索しながら進む班に分ける……」
彼の説明では五百人の冒険者を十個の班に分け、本隊である二つの班、約百名が物資を携えてティセク村に直行し、村人たちの埋葬を行うとともにベースキャンプを設置する。他の八つの班約四百名はティセク村行きの道を外れて東に向かいながら魔族の痕跡を探る。俺たちはティセク村への直行組に入ることになる。
さすがにベテランが多いためか、伝達が終わると混乱することなく、出発していく。
俺たちはジャスパー・バレットというベテラン剣術士のパーティと行動を共にすることになった。
ジャスパーは四十代前半の片手剣使いで、傷だらけの革鎧に小型の 丸盾(ラウンドシールド) 、無精髭を生やし、頬に大きなギザギザの傷がある剣呑な雰囲気の人間の男だ。話してみると、ぶっきらぼうなしゃべり方だが、俺たちの配置に細かな配慮をするなど、見た目とは異なる男だった。
そのジャスパーが出発と共に声を掛けてきた。
「恐らく戦闘にはならんと思うが、そっちの戦力にも期待している。特に妖魔族が出た時は全属性持ちのお前さんに期待している……」
特にこちらから説明したわけではないが、俺が全属性持ちの魔術師だと知っていた。後で聞いてみると、ドクトゥスでティリア魔術学院の首席が冒険者をやっている話はペリクリトルでも有名だそうで、ロックハートの名ですぐに気づいたそうだ。
更に凄みのある笑みを浮かべ、「きれいどころを連れたハーレムパーティだと有名だからな」と言われ、答えに窮してしまった。
(確かにペリクリトルとドクトゥスはアウレラ街道で繋がっているし、商隊の往来も多いから噂が流れるのはおかしな話じゃないんだが……どんな噂が流れていることやら……)
森の中に入るとベテランたちの雰囲気が一気に変わった。周囲を警戒する彼らの動きに隙が全くなかった。その動きはガイに匹敵していたのだ。
ロックハート家の従士ガイ・ジェークスはうちで一番の 斥候(スカウト) だ。元々ペリクリトルで冒険者をやっていたとはいえ、ラスモア村で鍛えられたガイに匹敵するというのは驚きだった。
これにはベテランのベアトリスでさえも「こいつらは凄いね。ドクトゥスじゃ、ここまでの連中はいないよ。さすがは総本部のお膝元ってところかね」と驚いていた。
一つ一つの動きに無駄がなく、更に各パーティの斥候たちの連携がうまい。事前に打合せを行っているのだろうが、ほとんど言葉を交わすことなく、索敵範囲を分担していたのだ。
これも後で聞いたのだが、俺たちが組み込まれたレジナルドの班はペリクリトルでも特に優秀なパーティが集められており、ほとんどが二級か三級の冒険者だった。
傭兵と比較して冒険者の武術スキルのレベルは低くなる傾向があるため、実際の戦闘力は割り引いて考える必要があるが、一流どころの冒険者がこれだけ集まっていることは驚きだった。
武術スキルのレベルが低くなるのは訓練に時間を割ける傭兵に比べ、冒険者は魔物を捜したり罠を張ったりするため、どうしても訓練時間が短くなることが原因だ。もちろん、その分を実戦経験で補うのだが、一定以上のレベルの魔物と遭遇する機会はそれほど多くない。
十五歳で四級の俺が言うのもおかしな話だが、三十歳前後で三級の冒険者になっているということは十代の頃から危険な依頼を受け、成功させているということなのだ。
俺たちも警戒を強めながら、獣道のようなティセク村への道を東に進んでいく。途中で俺たちが倒したオークの死体を見つけるが、既に三日経っており、ほとんどの死体は食い荒らされていた。それでも何とか魔晶石は回収でき、その数は五十個に達していた。
ジャスパーのパーティの斥候、ラディスが感心したような声で話しかけてきた。
「たった六人でこれだけの数を倒したのか。それも逃げながら。大したもんだな」
ラディスは三十歳くらいの猫獣人で、腰にはショートソードとともに五本の投擲剣が差してある。更に特徴的なのは、先に小さな重りが付けられた細めのロープが束ねて結わえられている。
(登攀で使うんだろうか? それなら背嚢に入れておけばいいだけだし……)
疑問に思うものの、聞く間もなく、すぐに離れていった。
出発してから四時間ほど経ったところで昼食を兼ねて休憩を取ったが、それまでほとんど魔物に襲われることはなかった。もちろん、百人以上の武装した人間が移動しているから弱い魔物は逃げているのだろうが、三日前のことを考えると、全く別の土地のように感じる。
更に二時間ほど移動し、予定通り午後三時頃にティセク村に到着した。
村に入ると腐敗した人体の匂いが立ち込め、吐き気を催す。特に嗅覚が鋭いベアトリスは露骨に顔を顰めていた。村人たちの遺体は三日前でも更に損傷していたが、今では骨と僅かな皮が残るだけの無残な状態だった。
さすがにベテランで構成された討伐隊に嘔吐する者はいなかったが、それでも皆、言葉が極端に少なくなっている。そんな中、指揮官であるレジナルドが淡々とした口調で指示を与えていった。
「各班の斥候は周囲の警戒を! 他の連中は遺体を埋葬してくれ! 魔晶石とオーブの回収は忘れるな!……道具はそこらにあるものが使えるはずだ……」
レジナルドの命令で一斉に動き出す。
遺体の数はおよそ五十あり、埋葬する場所に運ばれていく。
俺たちはレジナルドたちに状況を説明するため、偵察や埋葬を行う必要はなかった。だが、あることを思い付く。
(鍬や鋤じゃ、時間がかかるな。俺の魔法の方が手っ取り早い……)
そう考え、レジナルドにその旨を提案した。
「私の魔法で穴を掘った方が早いと思います」
「土属性持ちか? ああ、全属性持ちだったな」というが、すぐに首を横に振る。
「魔力は温存しておいてくれ。魔族の行方が分からん以上、少しでも戦力は減らしたくない」
彼の言っていることは正しいが、ただ穴を掘るだけならそれほど魔力は消費しない。
「五十人分くらいなら、大して魔力は使いませんよ。後で休憩すれば十分に戻ります」
レジナルドは「そんなものなのか?」と言い、自分のパーティの魔術師に確認するが、その魔術師は土属性を持っていないため、首を横に振ることしかできなかった。
俺が「道具の数も少ないですし、夜まで掛かってしまいます」と言うと、「よかろう。だが、無理はするなよ」と言って了承した。
埋葬場所は村の北側にある空き地で、人が入るよう二メートルほどの幅で深さ一メートルほどの穴を掘る。一つずつ掘るのは面倒であるため、二十五メートルの長さの溝を作る感じで穴を掘っていった。
「すべての大地を支えし 土の神(リームス) よ。大地を穿つ力を我に与えたまえ。我は御身に我が命の力を捧げん。 穴掘(ディグ・ア・ホール) 」
呪文を唱えながら地面に手をつくと、ゆっくりと地面が割れていく。後ずさりながら溝を掘っていくが、埋め戻すことを考え、両サイドを盛り上げていく。
二十分ほどで穴を掘り終えると、周囲には人垣ができていた。
「凄いものだな。さすがは あの(・・) ラスペード先生が千年に一人の天才と呼ぶだけの事はある」
魔術師の一人がそう呟くと、野次馬たちも同じに頷いていた。
レジナルドが「よし、遺体を埋葬してくれ」と命じると、冒険者たちが一斉に遺体を溝に運び込み始める。レジナルドはそれを見届けると、「よくやってくれた」と労いの言葉を掛けてくる。
「お陰で時間短縮となった。ところで、魔力の方は大丈夫なのか? 素人の俺でもかなりの魔法に見えたが?」
俺は 頭(かぶり) を振り、「問題ありません」と答え、「余裕はありますので、このまま状況の説明を行います」と言ったが、俺の言葉にレジナルドは苦笑いを浮かべ、「とりあえず、休んでいろ」と笑った。
「お前さんのパーティメンバーに状況は聞く。二人もベテランがいるんだ。お前が説明せんでも大丈夫だろう。というより、もう少し要領よくやってもいいんだぞ。普通の魔術師はここまで働かん」
俺が働きすぎだと言いたいようだ。実際、魔術師は魔力を温存するため、できる限り休息をとっている。俺の場合、 魔力(MP) の残量が見えるから、そこまで気を使う必要はないが、感覚でしか分からなければ同じように休んだかもしれない。
レジナルドはリディたちを呼び、三日前の状況を確認していった。
俺は休むほどでもないため、気になっていたルナの生家を見に行くことにした。
村の中をもう一度ゆっくりと見回すと、小さな集落であると改めて分かる。茅葺の小屋のような家々が防壁とは言えない木の柵の中にぽつんぽつんと建てられている。畑の大きさも小さく、土もパサついており養分が足りない感じだ。
未だに死の匂いが漂っているが、遺体を埋葬し始めたため、先ほどまでのような強烈な異臭ではなくなっている。
狭い村であるため、すぐにルナを見つけた家に到着した。
ルナの両親の遺体も既に運ばれており、遺体を隠すために覆った布が風に揺れていた。
家は小屋と言っていいほどの大きさで、入口を入るとすぐに土間のような台所になっている。その奥には作業場兼寝室なのか、作業用の台と寝台が一つ、そして、長持のような木製の箱が置かれているだけだった。
箱の蓋はオークたちに開けられており、乱雑に衣類が撒き散らされている。
食器棚や作業台の引き出しを確認していくが、食器や道具類が僅かにあるだけで、ルナの出生に係る情報は何も見つからなかった。というより、手紙はおろか、メモとなりそうな紙すらなかったのだ。
最後にルナが隠されていた毛皮の保管庫を開け、中を見ていくが、それらしきものは何も見つからなかった。
唯一気になった物は丁寧に布に包まれた鳥の羽根だ。カラスのような漆黒の羽根で大型の猛禽類ほどの大きさがある。
お守りか、何かのまじないなのだろうかという考えが頭に浮かぶ。何気なく“参照”のスキルを使ってみて声を上げそうになるほど驚いた。
“月魔族の風切羽”
頭に浮かんできたのは月魔族の羽根だという事実だった。
(月魔族……妖魔族の仲間なのか? 初めて聞く種族だが……)
俺は困惑していた。確かに妖魔族は謎が多く、翼魔族という種族がいることが分かっている程度で、どのような種族がいるか全く分かっていない。
(月魔族が魔族であることは明らかだが、それよりもルナのいた家に魔族の羽根が大切に保管されていたことの方が驚きだ。ルナは明らかに人間だった。参照で確認しても人間と出ていた。ならば、なぜ……)
俺は困惑しながらもその羽根を 収納魔法(インベントリ) に入れ、更に捜索を進めていった。
三十分ほど探したが、やはり手掛かりになる物はその羽根しか見つからなかった。
(どういう意味なのか。ルナが何か知っているかもしれない……いや、もし、何も知らなかったら……もし、ルナが何も知らなかったとすると、自分が魔族と関係があると思いつくかもしれない、そうなると、自分を狙って襲ってきたと考えるかもしれない……あれだけショックを受けた少女にそんな事実を聞くわけにはいかない。時間を掛けてそれとなく聞くしかないだろう……)
ルナの生家を後にする。最後にもう一度振り返り、心の中で彼女の両親に誓った。
(これからはお二人に代わって、俺が守ってみせます。安らかにお休みください……)
俺は話をしたこともないルナの両親にそう誓った。