軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第11話 熱病めいた使命感

――――ゲーム開始から7612年後

【 神々の試煉(ゴッズ・オーディール) 】地下350階。

私が【 神々の試煉(ゴッズ・オーディール) 】のダンジョンに潜ってからさらに気が遠くなる時間が経過した。なぜこんなに時間がかかったのかって? 各階層が広大になっているのはもちろんだが、各階層に異常な性質があったからさ。

11階から50階が、床がマグマの灼熱ゾーン。

51階から100階が、周囲を凍てつかせる氷結ゾーン。

101階から150階までが、歩くたびに砂の槍が突き上げてきたり、砂が生き物のように襲いかかってくる砂漠ゾーン。

151階から200階が、ダンジョン内が水で満たされている水没ゾーン。しかもこの水は次第にHPを奪う水だった。

201階から250階が、風の刃が辺りに降り注ぐ、風刃ゾーン。

251階から300階が、常に雷が降り注ぐ落雷ゾーン。

具体的な取得方法は省くが、このすべての状態異常について同化系を獲得してから攻略を開始した。結果、【熱同化】、【氷同化】、【土砂同化】、【水同化】、【風同化】、【雷同化】のスキルを獲得している。

そして様々な種類の竜がいるゾーンである301階からの階層を攻略し、こうして350階へと到達したのだ。

部屋の中心の魔法陣には、小型の美しい黄金の竜が存在した。

私が黄金のドラゴンへと近づいていくと、横たわったまま、眼球だけをギョロリと私に向けて威圧してくる。中々の圧だ。この周囲の竜とはまさしく格が違うのだろうさ。

私は300階の試練で、【雷虎王】を殺して得た【雷切】を鞘から抜き放つ。これは【ニホントウ】という異界の剣らしく、今の私の剣術にしっくり馴染んだのだ。

「さあ、黄金の竜よ! 魂が沸騰するような殺し合いをしよう」

【雷切】の剣先を黄金の竜に向けって叫ぶと、奴は億劫そうにノソリと起き上がり、私に鎌首をもたげる。

『第8試練、黄金竜ファフニールを倒せ、が開始されます』

いつもの無機質な女の声が頭の中に響き渡り、私達の闘争は開始された。

今、349階へ命からがら退避したところだ。

「ふはっ! ふはははははっ!!」

冷たい石床に仰向けに倒れ込み、腹の底から笑い出す。

負けた。完膚なきまでに敗北した。身体能力云々ではない。奴に対する私の斬撃は悉く、無力化される。刃そのものが通らないのはもちろん、斬撃から生じる衝撃波すらも無効化されていることからも、剣という攻撃そのものが通じないのかもしれない。いわば、【物理耐性】、いや【物理無効】といっても過言ではないものなのだろう。

このままではいくら鍛えて身体能力を向上させても奴は倒せぬ。

いいぞ! あれの討伐が私の次の目標だ。

私は意気揚々と地上へ戻る。

ともあれ、あの【物理無効】的効果をどうにかしなければ私に勝利はない。刃が通じないのならば、他の手段を考えねばならぬ。

そういえば、このダンジョンを攻略するにあたり、魔導書を含めた本を数多く獲得していたな。魔導書については私の【この世で一番の無能】のギフトのせいだろう。どう手を尽くしても、契約ができずアイテムボックスに放り込んでいたのだ。

通常、魔導書は契約するものであり読むものではない。どこで習ったかは忘れたが、そうだったはずだ。

だが、あの魔導書には契約以外にも文字が書かれてある。ならばそれを読み解くことにより、私にも役立つ魔導の知識が得られるのではないだろうか。

もちろん、普通、魔導書の原文を読もうとは誰も思わない。そんなことをすれば、脳が焼き切れてしまう危険性があるから。

だが、その程度の危険で躊躇するような私ではない。むしろ、それが達成不可能な困難であればあるほど、やり遂げて見せるという熱病めいた使命感が沸き上がってくる。やらないという選択肢などないのだ。

私はエリクサーを口に含みながらゴロンと横になると、魔導書を読み始めた。