「帰ったら結婚しよう」と言った幼馴染のあなたに向けて、私は「他に愛する人が出来ました」と別れの手紙を書いた
作者: 間孝史
あらすじ
「君が邪神を倒して帰ってきたら、結婚しよう」成人の儀で《剣聖》のスキルに覚醒した少女・セリア。勇者パーティーの一員として邪神討伐の旅に出ることになった彼女は旅立ちの前夜、思い出の丘で幼馴染の薬師アルと想いを告げ合った。薬草で作られた仮初めの指輪を薬指に巻き、二人は再会の約束を交わし――――そして、それから数年後。邪神は討たれ、セリアは世界を救った英雄となる。けれど彼女は、故郷へ帰らなかった。『他に愛する人が出来ました。私のことは忘れてください』故郷で待つ幼馴染へと送ったのは、そんな別れの手紙だけ。本当は、今でも彼だけを愛している。けれど邪神の呪いを受けたセリアに、残された命はわずかであった。だから彼を、自分の死に縛りつけたくはなかったのだ。しかし返ってきたのはアルからの返事ではなく、育ての親である村長からの短い手紙。『とにかく一度帰ってこい。来なければ、必ず後悔する』冷酷な態度を装い、故郷へ戻ったセリアを待っていたのは、最愛の人との再会ではなく――彼の名が刻まれた、小さな墓標だった。セリアは知らなかった。自分たちが邪神と戦っていたその裏で、アルもまた、誰にも知られず彼女のために命を懸けて戦い続けていたことを。これは互いを想いすぎた幼馴染たちが、それでもいつか約束の場所へと帰るまでの物語。
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