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作品タイトル不明

新元号とお市様の帰宅

天正二十四年(1596年)二月十四日

山城国 御所

「織田右府よ。朕が頼んだ新たな元号が決まったそうじゃな?披露する前に、どの様な意味を込めたのか、教えてくれぬか?」

家康との話し合いの翌日、信長は主上に言われていた新しい元号の発表の為、御所に来ていた

しかし、主上から「新しい元号に込めた意味を教えてくれ」と言われたので、発表の前に説明を開始する場面から始まる

「ははっ!新しい元号の意味としましては、民も武士も公家も、そして主上や御一族の皆様、つまり日の本に住まう者達全員が

慶びに溢れた暮らしを末長く過ごせる様にとの意味と願いを込めました!」

信長が新しい元号の意味を説明すると、主上は

「良き意味と願いじゃ。それでは、新しい元号を発表してくれ」

信長の説明に納得して、新しい元号を発表する。信長が紙に書いた新しい元号は

「 慶長(けいちょう) 」だった。それを見た主上は

「慶長か。うむ、確かに慶びが長く続く事を文字通り望んでおる

それでは、近衛を筆頭に公家衆は屋敷周辺の民に弥生からは元号が天正から慶長に変わる事を伝えよ

織田右府、そなたは家臣達を通じて、領地の民達に弥生から元号が慶長に変わる事を伝えよ!織田家の同盟相手である徳川家と北条家にも、その旨伝えておく様に!」

「「「「御意!」」」」

こうして、六三郎が知ったら「人生が史実通りになってしまう」とパニックになる可能性の高い慶長が新たな元号に決まった

天正二十四年(1596年)二月十五日

播磨国 柴田家屋敷

「奥方様が戻られました!」

「ようやくか。まあ、とりあえずは無事で何よりじゃ」

信長が新しい元号を発表した翌日、市が宗六郎や勝四郎達を連れて播磨国に戻って来た。出発前の市の事を思い出した勝家は

とりあえず何も起きていないであろうと、期待を込めて安心していたが、そんな安心は早めに潰されてしまう

「権六様。戻りました」

市が襖の向こうから勝家に呼びかけながら大広間に入る。市を見た勝家は

「市、無事で何よりじゃ。と、言いたいところじゃが、その抱いている幼子はもしや高代が産んだ孫か?」

宗六郎が抱っこされているので、確認すると市は

「ええ。高代の産んだ、六三郎の次男の宗六郎です。ほら、宗六郎。あなたの祖父様ですよ。挨拶して来なさい」

宗六郎を下ろして、勝家への挨拶に行かせる。下ろされた宗六郎は勝家の前に急いで行くと

「あなた様が祖父様なのですね!お初にお目にかかります!柴田宗六郎です!」

大きな声で挨拶をした。その様子に最初は驚いていた勝家だったが、落ち着きを取り戻すと

「うむ。宗六郎よ、儂がお主の父の父の柴田権六じゃ。しっかりと覚えておくのじゃぞ」

いつも通りの威厳ある勝家になったが

「はい!池田の爺様や右府の爺様と違い、誠の祖父様として、しっかりと覚えます」

宗六郎のこの言葉に

「宗六郎よ、池田の爺様とは誰の事か、教えてくれるか?」

思わず質問すると、宗六郎は

「はい。拙者が産まれる前から母上を助けてくださった爺様です」

子供ながらに説明出来る最大限で説明したが、当然勝家は分からないので

「市、宗六郎が言っておる池田の爺様とは誰の事じゃ?」

市に確認すると、市は

「ほっほっほ。権六様。名字が池田で爺様扱いされるのは、勝三郎しか居ないではありませんか」

笑いながら、恒興の事だと説明する。それを聞いた勝家は

「待て待て待て、それでは右府の爺様とは大殿の事ではないか!」

軽くパニックになっていたが、市が

「権六様。兄上も還暦を超えておりますから、爺様でも間違いないではありませぬか

それに、兄上も宗六郎にその様に呼ばれても嫌な顔をしていなかったのですから、

今くらいはこのままでも良いではありませぬか?」

遠回しに「この事で宗六郎を叱るな」と言うと勝家は

「う、それは、、、」

少し言葉に詰まる。しかし、少しくらいは宗六郎を注意しないといけないと判断して

「宗六郎よ、よく聞きなさい。お主が右府の爺様と呼んでおるお方は、とても偉い、

それこそ、この日の本から戦を無くそうとしているお方じゃ

その様なお人に孫でもない宗六郎が爺様と呼んでは、周りから宗六郎の父が色々と言われてしまう。それは駄目な事じゃから

これからは「右府の爺様」ではなく、「右府様」と呼んでくれ。祖父様と約束出来るか?」

何とか子供でも納得出来る様に、「右府の爺様」と呼んでは駄目だと説明する。勝家の説明に宗六郎は

「はい!これからは右府様と呼びます!」

右府様と呼ぶと答えた。宗六郎の返事を聞いた勝家は

「うむ。良い返事じゃ。しっかりと祖父様との約束を守るのじゃぞ」

「はい!祖父様!」

とても嬉しそうに宗六郎の頭を撫でていた。その様子を見て市は

「ほっほっほ。権六様もやはり、孫には甘くなりますねえ」

笑いながら、勝家を軽くイジっていた。市の言葉を受けて勝家は

「祖父母とは、そういうものじゃ」

照れくさそうに返した。その後で市から

「権六様、改めてですが、江の夫の虎次郎殿改め、元服して勝四郎殿も連れて来ました

勝四郎殿は、六三郎が提案した江を嫁に迎える条件を見事に達成しました

なので、盛大に祝って送り出してあげましょう。良いですね?」

勝四郎も連れて来た事、江を嫁に迎える為の条件をクリアした事も伝えられると勝家は

「うむ。大殿や殿からの文で知ってあると言っても、本人が来るとなると頑張ったのだと改めて実感するのう」

感慨深げに言いながら、

「江と勝四郎殿の祝言じゃ!盛大に祝おうではないか!利兵衛、皆を動かして祝言の準備じゃ!」

「ははっ!」

江と勝四郎の祝言の準備を利兵衛に命令した。これで、市の帰宅は一旦落ち着くが、この後、勝家はまた驚かされる事になる。