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作品タイトル不明

前田家のじゃじゃ馬姫、最大のチャンス

天正二十三年(1595年)一月十日

播磨国 柴田家屋敷

場面は年明けに少し進み、佐久間甚九郎と池田元助が、嫁探しの為に勝家の世話になる為、播磨国の柴田家屋敷に来て、子供達が鍛えられている場面から始まる

「ほれ!しっかり走らぬと、もう一周増やすぞ!それが嫌なら、気合いを入れて走らぬか!」

「「「はいっ!」」」

「良いか、茶の席には政に関係無い茶の席と、政に関する話し合いをする茶の席の二つがあるが、此度は政に関係無い茶の席として基本的な作法を指導するが、

時間がゆっくり流れるから眠気を誘うが、例え眠気に襲われようとも、涼しい顔をして耐えるのだぞ」

「「「はいっ!」」」

「さて、町割りに関して必要な事の一つとして、先ず町の出入口にあたる場所に、見張りの者を必ず置く事、これは町に住んでいない者が来た場合、

即座に攻撃出来ない場合、敵の間者の可能性を知らせる為でもある。出入口から町の中心地にある奉行所、更に、その土地を治める領主に報告する為、

町のそれぞれの場所に見張り役の者を置く事が必要である、それが町割りの基本的な事じゃ。しっかりと覚えておく様に」

「「「はいっ!」」」

「良いですか!殿方達が戦で討死したり、負傷して動けない時は、我が子を逃す為に城内や屋敷内の女子も戦わないといけませぬ!

そこで、現在学んでおります長刀が、貴女達は勿論、嫁ぎ先の血脈を守る事になります!そして、毎日長刀を振っていると、

つる様の様に還暦を過ぎても美しくいられます!怠けては美貌が衰えて、嫁入りが遅くなると思いなさい!」

「「「はいっ!」」」

「何じゃ、これは?」

「各家の子供達が、色々と学んでおるが、何と巨大な寺子屋じゃ」

体力強化訓練を長利が、茶の湯を長益が、町割を信照が、長刀を摩阿姫がそれぞれ教えている所を見ていた甚九郎と元助から、驚きの声が出ている理由は

「佐久間様、池田様。此方が、播磨守様が幼い頃から色々学び、実践し、結果を出し続けて来た事により、各家の御当主達の「我が子も鍛えてくれ」との要望を、

右府様が大殿と色々と相談しながら、黒田様、尼子様と共に作り上げた寺子屋になりまして、現在、織田家、徳川家、羽柴家、黒田家、尼子家の子供達が学んでおりまして、

教える役目は、右府様の御舎弟様達、以前から学んでおりました他家の者達、そして拙者を含めた播磨守様の家臣の中で理財を請け負っている者達にございます」

源四郎が、2人を案内しながら子供達の学習風景を見学させている。一通り見て回った後、源四郎は勝家の待つ大広間に2人を連れて行くと

「柴田様、内府様からの文です」

「此方は六三郎殿からの文です」

甚九郎が信忠からの、元助が六三郎からの文を差し出す。源四郎が勝家に渡して、最初に六三郎からの文に目を通すと

「また、あ奴は帰りが遅くなるのか。しかも今年の年末とは」

六三郎からの文には、溜息が出る。そして信忠からの文を読み終えると

「佐久間殿も池田殿も、家臣の娘で嫁にしたいと思う女子は居ないのですかな?この隠居した年寄りに頼まなくとも、どうにか出来ると思うのじゃが」

思わず、「こんな隠居した年寄りに頼まないといけない程、嫁が見つからないのか?」と本音で聞いていた。そんな勝家に対して、

甚九郎は

「お恥ずかしい話ですが、嫁を探そうにも拙者が戦下手なせいで、家臣達から娘を嫁にどうか?と言う話も無いのです。弟の新十郎を当主に推す声もありますが、その新十郎本人は

「当主は兄上じゃ!余計な事を言うならば、奉公構いを出して、佐久間家から追放するぞ!」と拙者を立てております。ですが、拙者に嫁が居ない事を理由に

当主交代を求める声が出て来ております。拙者を立ててくれた新十郎の為にも、柴田様!拙者に嫁いでも良い女子を紹介していただきたく!」

嫁を紹介して欲しい理由を話しながら、勝家に頭を下げる。次に元助は

「柴田様。拙者の場合は、甚九郎殿より重い内容ではないのです。拙者の場合は、父上が大殿と共に出陣する機会が多かった事もありまして、

必然的に領地で留守居役を務める事になり、そこから内政を請け負う様になりましたら、父上が雑に扱って来た内政の見直しをして、改善していくうち、

気づいたら領地の内政の全てを任されていて、家臣達も拙者に嫁の話が出来ない程、働いておりまして、その間、家臣の娘達は他家の男に嫁入りした結果が、

今に至ります。なので柴田様、拙者に嫁いでも良い女子を紹介していただきたく!」

「親父が仕事が雑だったから、それを直していたら嫁を探す暇が無かった」と、父親の恒興のせいで社畜労働をした結果、嫁が居ない。とかなり切実な理由を話す

両者の言葉を聞いた勝家は

「ふむ。織田家譜代の家臣である佐久間家と池田家の当主が嫁無しでは示しがつかぬな。かと言って、儂の娘を嫁がせるのは」

色々と悩んでいた。そんな勝家に市が

「権六様、私からお二人に紹介したい娘が居ます」

「紹介したい娘が居る」と伝える。市の言葉に勝家が

「それは誰じゃ?」

誰かと質問すると、市は

「摩阿ですよ!あの子が此処に来て、早十年。最初は教わる側だったのに、今では教える側として頑張っております。そろそろ摩阿にも女子の幸せを掴んでもらいたいのです」

これまで頑張って来た摩阿姫へのご褒美として、佐久間家と池田家のどちらかに嫁がせてやりたい。と言う親心の様なものから勝家に提案していた

それを聞いた勝家は

「うむ。市の言う事も分かるが、こればかりは摩阿姫の父の又左も交えて話し合わないといかぬからのう。とりあえず、又左に文を出す

佐久間殿も池田殿も、又左が到着してからの話し合いで良いかな?」

利家を呼び出して、摩阿姫の嫁ぎ先を話し合うと決めて、甚九郎と元助にも、その旨を確認すると2人は

「「はい!よろしくお願いします!」」

了承して、頭を下げた。その様子に勝家は

「分かりました。先ずは頭を上げなされ。それでは又左に件の内容の文を書くとするか」

そう言って、書き始めようとすると

「大殿、最上様が今すぐに、ご相談したい事があるそうです。如何なさいますか?」

家臣の吉田が勝家に取次と、勝家は

「今すぐならば、大広間に来てもらえ。佐久間殿と池田殿との顔合わせも兼ねて、それが良い」

そう言って、義光を大広間へ呼び出す。大広間に到着した義光はいきなり

「越前守殿、いきなりで申し訳ない!長刀を指導しておる摩阿と言う娘、気に入ったので倅の嫁に迎えたい!是非とも紹介して欲しいのじゃが!」

「摩阿姫を気に入ったから、息子の嫁にしたい!」と言い出した。これに勝家は

「最上殿までも」

そう言いながら、天を仰いだ。まさかの摩阿姫に人生最大とも言えるモテ期が到来していた。