作品タイトル不明
高代の命懸けのリクエストから始まる出産
「池田殿!高代殿は、どの様な事を希望しておるのじゃ?」
「はっ、高代殿は産婆が来ない現状から、側に残っている女子達に出産の手助けをしてもらった方が早いと判断した様で、
その為に大量の湯と、清潔な五尺程の白い布を十人分、へその緒を切る為に清潔な鋏を準備していただきたいとの事です!」
「具体的に言ってくれて助かる!皆、池田殿が言った物を急ぎ準備せよ!」
「「「「ははっ!」」」」
高代の希望を聞いた家康は、家臣達にリクエストされた物の準備を命令し、家臣達も準備の為に大広間を慌てて出て行く
一方その頃、お産の部屋に集まっていた高代達は
「皆さん、私が先程教えた様に、落ち着いて行えば大丈夫ですから!臆せずに子を取り上げてください!良いですね!?」
高代が側に居る自身と同じ側室の立場のうめ、新左衛門の嫁の甲斐、松永家の通を中心とした面々に最終確認を行なっていた
その中で甲斐は
「高代様!私は、武芸くらしか取り柄がありません。そんな私でも、誠に大丈夫なのですか?」
「脳筋な自分でも大丈夫なのか?」と、不安がる。しかし、高代は
「甲斐殿、誰もが最初から出来るわけではありません。ましてや、出産経験のある方は居ません、そんな中で皆さんだけが、頼りなのです
だから皆さん、覚悟を決めてください。子作りも出産も一人では出来ません。私は皆さんを信じます!」
甲斐だけでなく、うめ、通、更に周りの女子達に言い聞かせる様に、言葉を伝える。高代の言葉を聞いた全員
「「「「はい!」」」」
覚悟が決まった。そのタイミングで
「高代殿!十人分の五尺の白い布です!」
家康の家臣から、高代が希望してう白い布が届けられた。その布を高代は
「皆さん、その布を割烹着の様に裁断してください。皆さんの身の丈とと同じ長さにです。袖の部分も作って!そうです!」
産婆が来る服に裁断させていく。全員が裁断し終えると、
「あっ、そろ、そろ、本格的、に、子が、降りて、来ま、した。お湯の、準備を」
いよいよ陣痛が強くなって来た事を皆に伝えると、皆が慌ただしく動き出す
「高代様を出産用の椅子へ!」
「お湯の入った桶を!」
「「「「はい!」」」」
この時、推定午後3時頃。高代が「ヒッ、ヒッ、フー!」とラマーズ法の呼吸をしながらいきみだす。お湯をはった桶も大量に準備され、遂に
オギャー!オギャー!オギャー!
子供が産まれた。本格的な陣痛が始まって、僅か1時間後だった。しかし高代は
「まだですよ!通殿!臍の緒を鋏で切ってください!」
疲れているのに、冷静に指示を出すと通は
「はい!」
鋏をしっかり持って、臍の緒を切る。無事に切られて、清潔な布を子供の臍にあてて、出血を抑えた事を確認した高代は
「皆さん、ありがとうございます。無事に産まれました。うめ殿、子を」
子を抱いていたうめに渡す様、促す。うめから子を受け取った高代は
「ふふっ。産まれたのは男児でしたか、これで六三郎様も4人の子持ちになりましたね。うめ殿、次はあなたですよ。三十路手前でも、しっかり身体を鍛えておけば私みたいに無事に出産出来ますからね
そして甲斐殿。いつかあなたも新左衛門殿の子を産むでしょう。私が近くに居たら、うめ殿も甲斐殿も出産を助けます。だから、頑張るのですよ?」
「「はい!」」
うめと甲斐を激励した。通に対しては
「通殿。あなたも良き殿方に嫁いで、その方が柴田家家臣ならば、私が出産を助けます。だから、頑張るのですよ」
「はい!」
通の将来についても激励した。こうして、六三郎の次男が産まれたわけだが、名付けをしなければならない六三郎が居ないので高代は
「この子の名付け、どうしましょうか?嫡男で兄の甲六郎殿は「甲斐国で産まれた」かや、六三郎様は甲の字を使っておりましたけど、
遠江国で産まれたからと言って、遠の字を使っては遠くに行ってしまいそうな不吉な名付けになりますから、江、浜、松のどれか、それとも柴田家の通字である勝の字を今から使いましょうか?
皆さん、何か良い考えはありませんか?先ずは言ってみるだけでも良いのですよ?」
色々と考えたけど決めきれないので、うめや甲斐達にアイディアを求める。すると通から
「高代様、名付けでしたら高代様の字を使うのも良いと思いますが。それか、高代様の御実家の朝倉家の字を使ってもよろしいかと」
「高代の字か、高代の実家のの朝倉家の字を使っても良いと思います」とアイディアを出された。通のアイディアを聞いた高代は
「あら!通殿、素晴らしい提案ありがとうございます。弟達はすでに幹部してますが、朝倉家に繋がる男児に使う字として示しておきたいので、決めました!
この子の幼名は、「 宗六郎(そうろくろう) 」とします!宗六郎の存在は弟達の嫁取りに良い刺激となるでしょうから、弟達の尻を叩いてでも、嫁取りを頑張ってもらいましょうか!
話が少しばかり長くなりましたが、うめ殿、甲斐殿、通殿。池田様へ無事に産まれた事と幼名が決まった事をお伝えしてください。池田様から徳川様へお伝えされるでしょうから
私はしばらく休みます。しばらくは3人と池田様がお願いしますね」
「「「はい」」」
こうして産婆無しでの出産は、奇跡的に問題無く終了し、六三郎の次男、宗六郎が産まれた。