軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

躑躅ヶ崎館に到着してからが本番のはずが

天正二十一年(1593年)九月三十日

甲斐国 躑躅ヶ崎館

「各々方!遅くなり、申し訳ありませぬ!」

「柴田殿が到着なされたぞ!」

「此度の戦の功労者のお出ましじゃ!」

皆さんこんにちは。穴山姉弟を保護してから、1週間程で躑躅ヶ崎館に到着しました柴田六三郎です

これまでの道中で、穴山姉弟の存在を引率している復興従事者の皆さんにバレない様に、上手く潜り込ませたはずなので、今のところは大丈夫だと思っております

ただ、問題は武田家の面々は勿論、家臣の皆さんが穴山姉弟の顔を知っていたらと思うところです

道中で色々と確認したところ、3人の最年長の君花さんは、穴山の謀反か起きた9年前の時点で、10歳だったとの事で、現在19歳

そして、妹の君江ちゃんは当時生後半年だったので現在11歳、勝五郎くんに至っては首が座って間もない生後3ヶ月だったそうですが、君江ちゃんと同じ11歳との事です

なんでも、君花さんと勝五郎くんの母親が同じ人で、君江ちゃんの母親は別の人らしいけど、どちらの母親も穴山の側室で、

謀反の時に死んだ嫡男の母親が武田信玄の娘だったから、速攻で嫡男に決まったとの事らしい。君花さんが亡くなったお袋さんに、そう教えてもらったとの事だが

これ、高代さんのエピソードと一部違うだけで、殆ど同じなんだよねえ。弟と妹の違いはあるけど、年長者が下の子を守るところなんて、特に。

それを考えると、高代さんが肩入れしたのも何となく分かる。だからと言って、高代さんにあーだこーだ言うつもりはないし、甲斐姫に対しても、それは同じだ

俺の記憶の中の穴山は、権力を誇示したがる人間だった。だからと言っても過言ではないほど、己の正室が武田信玄の娘で、その正室との間に産まれた息子は、

武田信玄の孫であると、アピールしてたしな。その穴山の性格を考えると、推測にはなるが、側室との間に産まれた娘は、

何処ぞに嫁入りさせる道具にしか見てなかった可能性は高い!そして、ここぞとと言う場面の切り札として、美味しい場面でお披露目しようとしていたに違いない

そこから察するに、現在の武田家家臣の皆さんは君花さんの事を知らないんじゃないか?

六三郎はそんな楽観的な考えになっていたが、結局

(いや、駄目だ!油断は禁物だ!何処から情報が漏れるか分からないんだ!高代さんの部屋に3人を詰め込んでおけば、大丈夫だろう!でも、油断するな!)

自らを戒めて、3人の姿を見せない方針に決めた

大広間で武田家の面々や諸将達、そして武田家家臣達に挨拶した六三郎はわ大広間を出ると、嫁達の居る部屋へ移動すると

「六三郎様!お帰りなさいませ!」

「「「「お帰りなさいませ!」」」」

道乃の挨拶を皮切りに側室の4人も挨拶をして、控える侍女達も頭を下げて、出迎える。

そんな嫁や侍女達の出迎えを受けて六三郎は

「何とか、生きて帰って来たぞ」

と、全員へ挨拶を返すと、部屋の中の上座に座る。六三郎が座った事を確認すると道乃から

「六三郎様。お疲れのところ、申し訳ありません。子供達にお顔を見せてあげてください」

子供達と対面してくれと、言われる。道乃のリクエストに六三郎は

「分かった。連れて来てくれ」

了承した。六三郎の言葉を聞いて、道乃、雷花、花江の3人は部屋を出て、それぞれが産んだ子供を連れて来ると

「六三郎様、甲六郎です」

「六花です」

「六江です」

それぞれが子供の名前を言うと、

「母上?こちらの方は、どなたですか?」

六江が花江に質問した。タイミングの悪い事に、産まれる時期を前後して、北条家への出張と戦で顔を見る事が出来なかった事もあって、「このオジサンは誰ですか?」という父親としてはショックな状況だったが

「まあ、仕方ない。六江、儂はお主と六花と甲六郎の父じゃ。お主が産まれる時に少しばかり、お役目で遠くに行っておったのじゃ」

六三郎は、仕方ないと諦めて六江に説明する。六三郎の説明に六江は

「とと様?」

そう言いながら、首を傾げる。娘の様子に花江は

「六三郎様、申し訳ありません!」

頭を下げて謝っていた。しかし、六三郎は

「花江、こればかりは仕方ない。なに、これから父親らしい事をしていけば良い」

「はい。ありがとうございます」

「これから父親と覚えてもらうから気にするな」と伝えて、花江を止めた。そして、六三郎は次に

「さて、甲六郎と六花!お主達は、父の事を覚えておるな?」

念の為、2人に確認した。すると甲六郎が

「父上!何故、いつも働いてばかりなのですか!?父上は休む事を許されないのですか?」

六三郎の社畜労働を見て、休む事を許されないと思っていた様だった。息子の質問に六三郎は

「甲六郎よ、父は休む事を許されないわけではないのじゃ。しっかりと休んでおるのだがな、

お役目の数が他の方よりも多いから、休んでない様に見えるだけじゃ。決して、休んでないわけではないぞ」

「仕事が多いから休んでない様に見えるだけ」と説明する。六三郎の言葉を聞いた甲六郎は

「分かりました!父上は主家である織田家から、とても信頼されているから、お役目が多いのですね!」

他の家臣が聞いたら、ブチギレするかもしれない事を口にする。六三郎は

「甲六郎、それは違うぞ。織田家からは父を含めた、色々な家臣の方が、お役目を割り振られるのじゃ。此度は父に「たまたま」多く、お役目が割り振られておるだけじゃ」

甲六郎に説明した。それを聞いた甲六郎は

「分かりました!それでは、いつか父上と共に拙者もお役目を割り振られる様に励みます」

未来の社畜宣言をした。それを聞いて六三郎は

「少しずつで良い」

と、否定も肯定もせずに、甲六郎の頭を撫でた。次に六花へ言葉をかけようとすると、六花が

「父上!私は、何歳になった時にどちらの家に嫁に行くのですか!?」

まさかの「私はいつ、何歳で嫁に行くんだ?」と質問して来た。六花の言葉に六三郎は

「六花。まさかとは思うが、六花を嫁にしたいと言っておる方が居るのか?」

六花に質問する。しかし、六花が答える前に雷花が代わりに答える

「六三郎様。実は、武田家の皆様と、諸将の皆様が、こちらに到着した時から全員、話を持ちかけております。勿論、私達が決断出来る事ではないので、

「六三郎様が到着して、虎次郎様の元服の儀が終わってからにしてください」と先送りする形にしております」

雷花の答えを聞いて六三郎は

「雷花、よく止めてくれた。恐らく、父上と母上は「六花の嫁ぎ先は、私達も選別する」と言うじゃろう

だからこそ、今はそれで良い。余計な仕事をさせてしまい、申し訳ない」

と、頭を下げたが

(なんで帰って来たら、長女の嫁入り話が出てるんだよ!早くて10年後なら分かるけど、今は早いじゃねーか!ふざけんな!)

内心では、親バカのせいで怒りが出ていた。