軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

館林城に赤備えが全員集合する頃、松田はある決断をくだす

天正二十一年(1593年)六月五日

上野国 館林城

「そう言う事ですので、捕虜となった松田の家臣達百五十人を、お渡しに参りました」

「最上出羽守殿!誠に、忝うございます!三国峠で松田達を叩いた上杉越後守殿に引き続き、松田達を叩いてくださり、感謝しております!」

皆さんおはようございます。館林城に松田の嫡男の新六郎殿を連れて戻りましたら、まさかの最上殿が松田の家臣達を連れて、館林城に来て説明して、

その説明内容に、ドン引きしております柴田六三郎です。なんでも、松田の軍勢が上野国と武蔵国の境くらいに本陣を構えていたところを、

手の者を使って場所を確認していた最上家が新左衛門と共に夜襲を仕掛けて、約一千人を討ち取り、更に百五十人を捕虜として捕まえた。との事ですが

「しかし、柴田殿!原殿の働きは、見事としか言えぬ働きであったぞ!共に行動していた足軽達に聞いたら、横薙ぎ一発で松田の足軽を吹き飛ばしたり、

松明を兜にくくりつけて、返り血を浴びた姿が角が二本の赤鬼と間違えられ、漏らす者も居たそうじゃ!

また、原殿が単なる武辺者ではない事が分かるやり取りがあったのじゃがな、

それは「武器を捨てて投降したならば、命は助けてやる!儂に喰われたくなければ武器を捨てよ!」だったそうじゃ。いやはや、戦場でその様な機転も使えるとは

柴田殿はお若いのに、どの様に兵達を鍛えたら、その様な機転が使える兵達が育つのか、酒でも呑みながら教えてくだされ」

その内容は、新左衛門の頑張りまくった話でした。その話を聞いたあとに新左衛門を見ると

「いやあ、こう言ってはなんですが。大殿や赤備えの皆と比べると、大した事はなかったですな

それに、利兵衛殿や水野様から教えていただきました、「敵が恐れているものは最大限使って、降伏させよ!」との言葉を覚えていたので、これがその時かと

思ったのです。なので、その時は赤鬼になりきりました」

そう説明しております。周りに居た上杉殿も

「拙者達と共に松田を叩いた土屋殿も、松田の足軽達から赤鬼と呼ばれておりましたな。それを踏まえると六三郎殿の赤備えは全員、赤鬼と言っても良いかもしれませぬな!」

銀次郎の働きを含めて、俺が化け物か超人を束ねる悪の首領かの様な言い方をして来ます。やめてください、俺は何処にでも居る凡人です!家臣の皆が凄すぎるだけですから!

俺がそんな事を考えていたら、助五郎殿との話し合いは終わった様で、最上殿から

「さて、それでは此処からは個人的な話になるが、柴田殿。竹と駒は元気に暮らしておりますかな?」

竹姫と駒姫の事を聞かれました。まあ、俺にリクエストしていた縁談の事だろうな。別に隠す事でもないし、最上殿が良ければ、この場で話すか

「最上殿。お二人共、現在も甲斐国の武田家屋敷にて元気に暮らしております。そして、竹殿ですが、良き仲の殿方が居るそうですが、この場で知りたいですか?」

確認を入れると、最上殿は

「誠か!是非とも聞かせてくれ!どの家の、なんという名の武士なのじゃ?」

了承したので、それじゃあ伝えますか

「竹殿と良き仲の殿方ですが、徳川右少将様の次男の於義伊殿です。今年で20歳になり、此度の松田討伐で初陣となる若武者です」

俺の説明を聞いて、最上殿は

「あの徳川様の次男とな!柴田殿!その於義伊殿の為人を教えてもらいたい!どの様な若武者なのじゃ?竹を嫁がせても苦労させないだけの領地を持っておるのか?」

於義伊くんの色々な事を知りたすぎて、早口になっております。まあ、気持ちは分かるけどさ

「最上殿。於義伊殿は、身の丈が六尺一寸程の偉丈夫で、穏やかな人柄にございます。領地は此度の戦が終わり、元服してから徳川様からいただくはずですので、現在は領地は持っておりませぬ

ですが、拙者は勿論、此処に居る新左衛門を含めた赤備えを立ち上げた面々も、幼い頃から於義伊殿を知っておりますが、産まれた環境にも心折れずに

自らの身体と心を磨き、鍛え上げた傑物と呼んで差し支えない若武者にございます」

俺の説明を聞いて最上殿は

「産まれた環境とはどう言う事なのじゃ?」

その事が気になった様でしたので、説明したら

「なんと!その様な状況でも、自らの立場を確立する為に幼い頃から頑張っていたとは!そして、徳川様も、

双子だからと言えど、片方を寺に入れない器の大きさたるや!益々、於義伊殿の顔を見たいし、徳川様にもこの話を通しておきたい!

柴田殿!徳川様の軍勢と合流するのは、いつ頃になりそうじゃ?」

更に於義伊くんに会いたくなって、家康の軍勢に合流したい気持ちが出ております。まあ、それに関しては助五郎殿次第ですから

「最上殿。それに関しては助五郎殿次第なので」

無茶振りさせてもらいます。振られた助五郎殿は

「最上殿の逸る気持ちは分かりますが、捕虜達の尋問が終わったら出陣します。なので、しばらくお待ちくだされ」

軽く笑顔で、最上殿に説明して、最上殿も

「分かりました。娘の嫁ぎ先が良家である事に浮かれてしまい、申し訳ない」

照れていた。とりあえず、此処で一通りの話し合いは終了となった。

六三郎達が和気藹々な空気で過ごしていた頃、なんとか本拠地に逃げ帰った松田は

「くそお!何故、夜襲を仕掛けられたのじゃあ!?敵は何処の家じゃあ?」

とても荒れていた。そこに家臣が

「殿。どうやら夜襲を仕掛けて来た敵は、出羽国の最上家の様です。どうやら、柴田播磨守が手を回したと見てよいかと。上杉家も同じと見てよいでしょう」

勘違いを含めて、情報を知らせる。情報を聞いた松田は

「おのれ〜!また柴田播磨守か!そ奴のせいで九千まで増えた軍勢が、七千まで減ったではないか!野戦も山岳戦も強い軍勢を動かせるとは!こうなったら、あそこへ逃げる!」

ある場所へ逃げる決断をくだす。その決断に家臣は

「殿、あそことは?」

場所が何処か質問する。その質問に松田は

「忍城じゃ!あの城は、軍神と呼ばれた上杉謙信も落とせなかった堅城じゃ!あの城に籠城し、北条家が和睦を提案するまで籠城を続ける!」

忍城であると答え、その忍城に籠城して和睦を引き出す事を決断した。