軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

超脳筋は奇跡を起こす

信長が氏政に胸の内を話していた頃、銀次郎と新左衛門にも動きがあった。先ず、銀次郎はと言うと

天正二十一年(1593年)二月十五日

越後国 某所

「風間家の方々!!いよいよ、上杉家の屋敷が近いですぞ!残り五里程ですから、気合を入れてくだされ!」

「あ、あと、五里もあるのですか?」

「たかが五里ですぞ!百里に比べたら、大した事はありませぬ!ですが、無理をさせるわけにはいきませはぬから、今日は休息にあてて、明日一気に五里を走りますぞ!」

「は、はい」

「や、休める」

「誠に、ありがたい」

かなり無理をしたのか、護衛のはずの風魔衆が疲れ果てていた。越後国に入ってから、領民達に聞きまくって、

上杉家の屋敷まで残り約20キロ程の距離に来ていたが、風魔衆を休ませる為、この日は休息に当てる事にした

一方、新左衛門達はと言うと

天正二十一年(1593年)二月十七日

出羽国 某所

「風間家の方々!最上家の屋敷まで、残り八里まで来たのですから、気合いを入れてくだされ!進みますぞ!」

「まだ、八里もあるのですか?」

「百里に比べたら、八里など大した事はありませぬ!しかし、無理をさせてしまっては元も子もないですから、仕方ないですが。今日は休息としましょう!

明日の早朝、すぐに出立して、最上家の屋敷に到着しますから、「しっかり」と休息を取ってくだされ」

「ひ、久しぶりの休息じゃ」

「もう、動きたくない」

「誠に、ありがたい」

新左衛門に至っては、風魔衆が動きたくないと言う程のスパルタだった様で、最上家の邸まで残り約32キロの時点で休息を取る事に決めた

天正二十一年(1593年)二月十六日

越前国 上杉家屋敷

この日、上杉家ではある慶事が発表された。その内容は

「殿!誠ですか!?」

「誠じゃ!のう、茶々!」

「ええ。皆様、喜平次様のやや子を授かりました」

茶々が景勝の子を妊娠した事を発表していたからだった。それを聞いた直江兼続達家臣は

「遂に!遂に!殿のお子が!」

「なんとめでたい日か!」

「万歳!万歳!」

「殿と奥方様に何かあってはならぬぞ!」

とても盛り上がっていた。そんな温かい空気の中、

「殿!柴田様の家臣の方が、文を持ってまいりました!」

家臣の1人が、銀次郎達の到着を伝える。そを聞いた景勝は

「名は分かるか?」

「土屋銀次郎と名乗っております!」

「土屋殿か!良かろう!大広間へ連れて参れ!」

使者が銀次郎である事を確認したら、すぐに大広間へ連れて来る様、命令する。そして、銀次郎が到着すると

「土屋殿!久しぶりじゃな!」

「銀次郎!久しぶりに会いましたが、相変わらず壮健そうですね!」

再会にとても盛り上がっていた。しかし銀次郎は

「越後守様!茶々様!お久しぶりにございます!再会はとても嬉しゅうございますが、実は殿から越後守様へ、この文をお渡しする様に言われ、持って来た次第にございます!」

文を渡す役目を忘れていなかった。文を受け取った景勝は

「土屋殿!文を読むから待っていてくれ。では、「上杉越後守殿。息災か?茶々の兄の柴田六三郎じゃ!茶々と仲睦まじく暮らしておるか?まあ、喜平次殿ならば大丈夫じゃろう

改めて本題に入るが、実はこの文を書いている頃に、織田家の同盟相手である北条家で謀叛が起きた!ただの謀叛ならば、この様な文は送らぬ

だが、此度の謀叛の首謀者の松田とやらは、上野国北部に攻め込み、殆どの地域を征圧しておるが、この松田とやらが南部に攻め込む事が、この件をややこしくしておる

その理由として、北条家は武田家に対してある問題を起こした結果、上野国南部を割譲する事を決めたのじゃ!つまり、松田が上野国南部に攻め込んだら、

武田家の領地に攻め込んだ事になる。そうなったら武田家は出陣しないわけにはいかぬ!

しかし、松田の軍勢は進軍を開始した時点で五千人との事じゃが、上野国北部を征圧したならば、最悪の場合、一万人を超える可能性が高い!

更に、上野国南部には館林城という堅城がある!そこを松田に奪われては、戦が長引く!それは巡り巡って関東が終わりの無い泥沼の戦になってしまう事を意味する!

儂としては、そんな無意味な戦をしたくない!その様な戦をしていては、武田家当主の虎次郎殿に妹の江が嫁ぐ為の条件を守れなくなってしまう!

なので、喜平次殿!目の前に居る土屋銀次郎に出陣する振りの文を渡すだけでも構わぬから、松田の軍勢を足止めする為の協力をしてくれぬか?」との事じゃが」

景勝が文を読み終えると、茶々が

「喜平次様!!お願いです!出陣してくださいませ!」

「出陣してくれ!」と頼んできた。茶々の言葉に景勝は

「茶々。出陣を求める理由は何じゃ?」

出陣の理由を聞くと、茶々は

「妹を、江を、許嫁である武田虎次郎殿へ嫁がせたい!その思いです!」

真っ直ぐな目で、理由を言いながら景勝に訴える。そんな茶々の訴えに景勝は

「分かった。義兄上の、六三郎殿の元へ出陣しよう!」

出陣を決断する。景勝の言葉に、茶々は

「ありがとうございます!」

平伏して感謝を述べるが、景勝は

「なに、将来の義弟である武田虎次郎殿を助ける為の戦であり、北条家に恩を売る戦でもある。恐らく、戦の主力は六三郎殿と北条家になるじゃろうから

儂達は、六三郎殿に越後国の特産品を近いうちに作ってもらう事を褒美としよう。それでは皆、出陣じゃあ!」

「「「「おおお!」」」」

上杉家からは、松田を足止めする為の文だけで良かったのに、まさかの出陣する事が決まった。驚いている銀次郎に景勝は

「土屋殿!帰りは儂達と一緒に馬に乗っていけば良い!その方が早いじゃろう」

と、声をかける。その声を聞いて安心したのか、肩の力が抜けた銀次郎は

ドサッ!

と倒れたが、兼続が脈を測って

「気を失った様です」

と判断したので、一先ず、銀次郎を休ませて、出陣準備に取り掛かった。