軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

出立しようとしたら、あの人達も着いて来た

高代さんに声をかけて、少しでも不安を解消させたら、急いで出立の準備を整えて、いざ出立!

と、思っていたら、

「柴田様!幻庵様より、武蔵国に居る間の護衛をする様に命じられました!我々風間家の同行、お許し願えますでしょうか?」

まさかの風間殿が家臣と共に武蔵国に居る間、同行する。なんて言って来ました。まあ、武蔵国に居る間だから、そんな長期間一緒に居るわけじゃないし、いいかな

「分かりました。それでは、護衛と同行、よろしくお願いします。それで、ひとつお頼みしたい事があるのですが」

「どの様な事でしょうか?」

「風間殿本人でも、家臣の方でも構いませぬ。鉢形城から、甲斐国との境までの領民に、五里毎に握り飯と松明を準備してもらう様に、お頼み出来ませぬか?」

俺のリクエストに、風間殿の顔が少し焦る

「そ、それは何故でしょうか?」

「はい。実は拙者も、側に居る3人も数年前に西国随一の大大名である、毛利家との戦にて、「十日で百里を走り抜く」と言う、中々の無茶をしたのですが、

此度は、片道だけでもそれをやって、一日も早く甲斐国に到着したいのです!その為に、道中での握り飯と、夜間の明かりである松明を準備していただきたく」

俺の説明に、風間殿は

「し、し、柴田様?鉢形城から甲斐国までは、およそ二十八里ありますが、それは我々でも走り切る事は可能でしょうか?」

何故か、参加する気らしい。でも、無理にやらせて「足が疲労骨折しました」なんて事になったら大変だしなあ、仕方ない

「無理に参加せずとも、自信のある方のみの参加で構いませぬ!自信の無い方は、我々が希望した、道中の飯と松明を領民に頼む役割でも構いませぬ!!

はっきりと申しますが、拙者は織田家から託されたお役目を遂行させる事、そして、そのお役目が「源三殿に嫡男を抱かせてくれ」という内容だからこそ、

そのお役目を邪魔する愚か者を絶対に許しませぬ!そして、これから産まれてくる新しい命の邪魔をする愚か者は、早く叩きのめしたいのです!

なので、皆様も共に二十八里を走るか、事前準備の為、通る村の領民に話をしてくるのかを、今、決めてくだされ!」

六三郎は遠回しに「走らないなら、別に構わないけど、それなら事前準備をよろしく!」と言ったつもりだったのだが、この六三郎の言葉を聞いた風魔衆は

(なんという強い意志!)

(自らのお役目を邪魔する者は容赦なく殺すと言うなど、この様な武士は北条家には居ない!)

(これ程の覇気を、自らの戦の為ではなく、北条家の内乱を鎮める為にぶつけてくるとは!)

六三郎の言葉を過大評価気味に捉えていた。そして、風魔衆の頭領、小太郎に至っては

(成程、この数ヶ月間、柴田殿に感じていた違和感は、これだったか!日の本の殆どの武士は、己の立身出世の為に動いているが、柴田殿は全てが織田家、

いや、他者の為に動いておる!源三様にお子が出来る為、見た事の無い動きを教えたり、食生活を改善させたり、

新太郎様が、新しい酒を呑んでみたいと希望したら、出荷分以外の酒を、寝る間も惜しんで作り、呑ませて

御本家から来た若者達が、身体を動かすのもやっとな程の疲労が溜まっていたら、疲労が取れる飯を作ったりと、

お人好しと言えば、それまでかもしれぬ。味方や領民も巻き込んで、皆で利益を作り出し、その利益を皆で分け合う。という、

まるで幼い頃に聞いた、足利尊氏公の様な武士かもしれぬ。だが、明確な違いがあるとすれば、尊氏公の様に、いきなり全てを放り出す事が無い事かもしれぬ

尊氏公の様に慕われながらも、朝から晩まで働いて、味方や領民の事を最優先に考えるとは!この柴田殿が、

北条家と同等の領地を持っていたら、きっと家臣の中から天下取りを唆す愚か者が出て来たかもしれぬが、何故だか

柴田殿は、その愚か者の声を聞かずに、いつも通りに働いている様に思えて仕方ない!いかんいかん、余計な事を考え過ぎた!

これは、我々風魔衆も試されておるに違いない!だが、恥ずかしい事に、全員は走り切れぬ!ならば)

六三郎を室町幕府初代将軍、足利尊氏の様だと、とてつもない過大評価をしていた。しかし、現実に戻り

「柴田様!拙者と一部の者が、共に走ります!なので、自信の無い者達は、先に領民達の元へ行かせます!それで、お願い出来ますでしょうか?」

六三郎に、「自分と一部の者が走る」と宣言した。その言葉を聞いた六三郎は

「分かりました。それでは、領民への交渉に行く方々は、今すぐに出立してくだされ!」

「早く行って、領民と交渉よろしく」と頼むと、小太郎は

「走り抜く自信の無い者は、馬を使い、今から出立せよ!柴田様や家臣の方々の健脚は、夜間も走れば、四日で甲斐国に到着するぞ!急げ!」

「「「「ははっ!」」」」

数人の風魔衆に、領民どの交渉に出立させる。慌てて出立した風魔衆を見た六三郎は

「それでは、半刻後に出立しましょう!一刻を争う時ほど、心と頭を冷静にしないといけませぬからな!

源次郎!銀次郎!新左衛門!久方ぶりの長丁場じゃ!気合いを入れておけ!」

「「「ははっ!」」」

こうして、風魔衆も六三郎の長距離移動に付き合う事が決定した。