軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

赤松家は全速力で移動している頃

天正二十年(1592年)五月二十三日

播磨国 某所

「急げ!!黒田家の屋敷は姫路なのじゃぞ!ぐずぐずしておったら、臣従の挨拶の期限が過ぎて、我々赤松家は、織田家から敵と見なされて攻められるぞ!」

「と、殿!この速さで進んでは、馬が使い物にならなくなってしまいます!此処は一旦、馬を休ませる為に休息を取りましょう!」

「むっ。仕方ないか。半刻程、休息を取る!今のうちに馬に水を飲ませ、餌を食わせてやれ!」

「「「ははっ!」」」

黒田家の屋敷を急いで目指しているのは、播磨国と但馬国の境に領地を持つ、 赤松次郎則房(あかまつじろうのりふさ) を当主とする赤松家の面々

急いでいる理由は、黒田官兵衛が家臣に届けさせた、調略という名の、恫喝的な臣従要請の文だった。文が届けられた当初は、赤松家も虚偽の文だと相手にしなかったが、

周辺の領主達が。黒田家屋敷に移動を開始した事、報そして黒田家屋敷周辺に大軍が駐留している事を手の者から報告されると、

黒田官兵衛からの文が虚偽ではないと確信し、文の中に書かれていた

「五月のうちに黒田家屋敷にいる織田右府様に臣従の申し出に来い!来なければ、五万を超えた大軍で攻めるぞ!」との内容に恐怖を感じたからだった

そんな理由ではあるが、赤松家を残す為に当主の赤松則房は、黒田家屋敷を目指していた

そんな則房に家臣が

「殿!そろそろ、半刻になります」

出発を促すと、則房は

「うむ!それでは、黒田家屋敷を目指して出立じゃあ!」

「「「「ははっ!」」」」

黒田家屋敷を目指して、再出発した。

一方その頃、黒田家屋敷には赤松家に先駆けて、ある家の当主が信長に臣従の挨拶に来ていたが、その状況は、通常とは大きく異なっていた。その理由とは

天正二十年(1592年)五月二十九日

播磨国 黒田家屋敷

「織田右府様!臣従の申し出が遅いばかりか、この様な見すぼらしい姿で臣従の申し出に参った事、申し訳ありませぬ!」

信長に臣従の申し出の挨拶をしているのは、別所家当主、 別所小三郎長治(べっしょこさぶろうながはる) 本人なのだが、信長は

「別所小三郎よ、臣従の申し出、しかと受けた。じゃが、何故に戦に敗れた様な見た目なのじゃ?何か重大な理由があるのではないのか?申してみよ」

臣従の申し出を受けると、長治がボロボロになっている理由を尋ねた。尋ねられた長治は

「お恥ずかしい話ですが、黒田但馬守殿からの文を受けて、拙者は早い段階で臣従する事を決めていたのです

ですが、臣従する事に反対していた叔父の別所山城が謀反を起こしました!拙者が三木城から出られない様に、周囲を固めていたのです

出ようとしたら攻撃を受けて、城に戻されるを繰り返されていたのですが、家臣達の奮闘もあり、何とか拙者だけでもと脇目も振らずに走った結果、

見すぼらしい姿ながら、こちらに到着出来たのです」

理由を包み隠す事なく、全て信長に話す。全てを聞いた信長は、長治に対して

「別所小三郎よ、お主が求める事は、城を取り戻し、叔父を含めた反抗勢力を殲滅して欲しい!そう言う事じゃな?」

求めている内容を確認する。聞かれた長治は

「ははっ!その通りです!叔父、いえ、あの男が実権を握ってしまっては、領民達が悪政で苦しめられてしまいます!そうなる前に!あの男を!」

信長の顔を見据えて、はっきりと言い切る。長治の言葉に信長は

「良かろう!別所小三郎、お主の願いを叶えてやろう!じゃが、今すぐではない。準備の為に、出陣を開始するのは水無月の初頭頃とする。それで納得してくれるな?」

その様に返す。信長の言葉を聞いた長治は

「ははっ!右府様のお言葉を信じて、それまで待たせていただきます!」

出陣を待つ事に従う。こうして、播磨国の反抗勢力の1つが見つかった事で信長が軍議に入ろうとした時、

「右府様!赤松家の方々が、臣従の申し出に来ました!そのまま、大広間へお通ししますか?」

官兵衛の家臣が、赤松家の到着を信長に伝える。それを聞いた信長は

「そのまま来てもらおう!連れて参れ!」

「ははっ!」

赤松家の面々を連れてくる様、命令する。命令を受けた家臣は赤松家当主の則房と数名を大広間へ案内する

大広間に到着した則房は、上座に居る信長を見るなり

「織田右府様、拙者、播磨国と但馬国の境に領地を持つ赤松家当主の赤松次郎則房と申します!臣従の申し出が期限切れ寸前になった事、

誠に申し訳ありませぬ!我々赤松家、織田家に臣従させていただきたく!」

期限ギリギリに到着した事を詫びつつ、その流れで臣従を申し出た。そんな則房に信長は

「そこに居る黒田官兵衛から、領地が遠い事は聞いておる。じゃが、良くぞ間に合った!赤松家の臣従の申し出、しかと受けた!

それでじゃが、赤松次郎よ。早速じゃが、紹介しておこう、そこに居るのは、お主の前に臣従を了承した別所小三郎じゃが

この者自身は織田家に臣従する考えであったが、この者の一部の家臣達が謀反を起こし、居城を乗っ取られながらも、命からがら此処まで来て臣従を申し出たのじゃ

そこでじゃ、今から出来るかぎり早くやるべき事は何じゃ?答えてみよ?」

「今から何をすべきか答えよ」と質問を投げかける。しかし、先祖代々武闘派の赤松家当主の則房からしたら簡単な質問だった様で

「右府様。それは、別所殿に謀反を起こした愚か者達を殲滅した上で、居城を奪い返すべきです!」

信長が求める答えを出す。答えを聞いた信長は

「流石、赤松家当主じゃな!見事じゃ!この頃合に到着したのも、何かの縁じゃ!赤松次郎よ、別所小三郎に謀反を起こした愚か者達を殲滅する戦にお主の赤松家も出陣せよ!」

則房に赤松家も出陣しろと命令する。その命令に則房は

「ははっ!領地は小さいながらも、赤松家が武断の家である事をお見せしましょう!」

とても嬉しそうに、出陣命令を了承した。こうして、播磨国の最初の攻撃目標が決定した。