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作品タイトル不明

赤備えの皆を連れて行ったのは間違いだったかも

天正十九年(1591年)五月十日

相模国 小田原城

「織田家当主、織田内府様並びに先代当主の右府様より、同盟締結の祝いの品として、南蛮人が好んで飲むワインを贈呈にまいりました」

「柴田殿!良くぞ、来てくださった!誠に嬉しいかぎりじゃ!ワインとやらの話も、安土城で聞いたし、飲ませてもらったが、これが果物から出来ているとは」

皆さんおはようございます。甲斐国から3週間程かけて、ワイン10樽と共に、北条家の本拠地、相模国の小田原城に赤備えの皆と到着しました柴田六三郎です

北条家の皆さんから、珍しい物を見るかの様な目で見られておりますが、まあ、その理由は間違いなく赤備えの皆の屈強な身体でしょうね

前線で暴れまわる源次郎達が屈強な身体のは当然としても、前線指揮官の源太郎と昌幸さんまで屈強な身体なんですから、そりゃあ、北条家の皆さんからしたら

「何で?」

と、なるのも仕方ないでしょうね。ですが、今回の目的は、赤備えの皆を自慢する事ではなく、さっさとワイン樽の贈呈をして帰る事なので、渡したら帰ろうと思っていたら、

新次郎くんの祖父の北条氏政が

「いやはや、こうも早く柴田播磨守殿に会えると思わなかったぞ!しかし、まさか倅よりも若いとは思わなんだ!それで、このワインとやらを呑んでみたい!」

俺に興味を示しつつ、「早くワインが呑みたい」と急かすので、

「待たせてしまい、申し訳ありませぬ。それでは、お呑みくだされ」

俺の合図を聞いて、ワインを注ぐ小姓が盃にワインをどんどん注いでいく。100人くらいにワイン入りの盃が行き渡ると

「それでは皆、乾杯!」

「「「乾杯!」」」

当主の氏直の挨拶で、一斉にワインが呑まれると

「日の本の酒とは別物じゃ!」

「なんと芳醇な香り!」

「果物の甘みも感じるが、甘ったるくない!」

「不思議な酒じゃ!だが、美味い!」

等の、ワインの初体験の感想を家臣の皆さん、それぞれ表現しております。それじゃあ、ワインも贈呈したので、帰ろうとしたら、北条氏政から

「いやあ、柴田殿!誠にワインという酒は美味いのう!このワインは、右府殿と内府殿も呑んでおるのじゃな?」

と、聞いて来たので、

「いえ、右府様も内府様もまだ呑んでいない、約2年熟成させた物です。恐らく、日の本に出回っているワインの中では、最上級のワインかと思われます」

と、正直に答えたら、全員の手が止まる。その中で氏政が

「し、柴田殿。その様な貴重な酒を我々が最初に呑んでよろしいのか?」

恐る恐る聞いて来たので、

「同盟締結の祝いの品ですから、右府様も内府様もとやかく言わないでしょう。

それに、武田家の蔵には、今年の冬に安土城へ届けてから、堺で販売される分のワイン樽が大量にありますし、

しっかり2年熟成ワインを届けますので、北条家の皆様は、お気になさらずに呑んでくだされ」

呑んでも大丈夫だと説明して、どんどん呑んでもらいましょう。

六三郎が持って来たワイン樽が1つ空になった頃、六三郎は

「それでは、我々はこれで」

そう言って帰ろうとしたら、氏政が

「ああ、柴田殿!待ってくれ!」

六三郎を止めた。止められた六三郎は

「何かありましたか?」

と、質問するが、内心

(そのままワイン呑んでてくれよ!俺は早く帰りたいんだ!)

と思っていた。そんな六三郎に氏政は

「いや、実はな倅が武田家当主の虎次郎殿から、柴田殿のお父上が還暦を超えてから、子が産まれた話を儂にしたのじゃが、儂としては弟達にその話の具体的な内容を教えてやって欲しいのじゃ!この通り!」

酔いも回っていた事もあって、六三郎に平伏しながら頼んできた。それを見た六三郎は

「ちょ、相模守様、おやめくだされ!拙者の父上はこれといった特別な事はやっておりませぬが」

何とか氏政を止める。氏政は

「柴田殿、その特別ではないと思っている事は、他の者達から見たら特別かもしれぬ。なので、弟達の元へ向かって、少しで構わぬので、

お父上がやっていた事を指導してやってくれぬか?弟達にも家を継がせる嫡男が産まれ、育っていく喜びを知ってもらいたいのじゃ!」

六三郎に懇願してくる。氏政の熱量に負けた六三郎は

「相模守様。お気持ちは分かりましたが、拙者は織田家からの命令で甲斐国復興の名目で甲斐国に居るので、

勝手に動く事は出来ませぬ。なので、右府様と内府様の両名から、動く命令が無いと動けませぬので、拙者が御舎弟様の元に行くには、お二人の許可を得てくれませぬか?」

「大殿と殿の命令が無いと、自分は動けないよ?」と、伝える。それを聞いた氏政と氏直は

「で、では。柴田殿!右府殿と内府殿が許可したら、柴田殿は弟達の元へ向かってくれるのじゃな?」

「父上!急いで安土城へ文を書きましょう!叔父上達の子が産まれたなら、北条家は更に盤石になります!」

とてもやる気を出していた。その様子に六三郎は

(殿と大殿が悪ノリしなければ、甲斐国で働けるんだけどなぁ。でも、あの人達の事だから、「北条家に恩を売って来い!」みたいな感じで、了承しそうなんだよなあ)

内心、氏政の弟達の元へ行く事になる予想と言う名のフラグを立てていた。